ご注文はチュートリアルですか?
やっとチュートリアルに来れました………。
「…んん……。……ん?」
目を開けると真っ暗で、狭い場所に入っている事に気づいた。下はふかふかのベッドみたいになってる。
俺はペタペタと手探りで開けられる場所を探していると、上にギィっと動いた。
「よいしょっと……。は?何処だよここ?」
蓋みたいなものを横にずらして外に出ると、豪奢な部屋のど真ん中だった。入っていたものは棺桶で、かなり豪華な見た目だった。
んん?あれ?最初にログインする場所って確か……。『始まりの街 ビギニング』だった気がするんだけど……、どゆことや。
とりあえず俺は部屋の外に出ることにした。扉を開けるとそこは廊下になっていて、壁には穴が開き、ボロボロな感じだった。
「ほんっと、何処だよここ………。って、うわぁ。」
俺の服を見ると、絹の上質な衣だったのだが完全にネグリジェだった。スケスケやつな。慌てて部屋に戻った俺は立てかけてあった鏡を見たが。
「あー、マジか。」
俺の姿は……鏡に映っていなかったのだ。確かに吸血鬼は鏡に映らないって聞くことあるしな、すげー。もしかして影もか?うおお、影が無い…すげーな。てかなんで映んねーのに鏡あんだよ。
「って、メニューで見れば良いじゃんか。えっと《メニューオープン》。」
すると
◦マップ
◦ステータス
◦スキルメニュー
◦装備
◦インベントリ
◦設定
◦チュートリアル
◦ログアウト
◦GMコール
と出てきて、とりあえずステータスを表示すると俺の今の姿が映ってる画像と、ステータスが出てきた。
「ふーむ、こんなの装備してんのか。あ、装備見よう。」
俺は武器などを装備してないのに気付き、装備画面を開いた。武器の欄をタッチすると
『〖ビギニングダガー〗が装備可能です。』
と言うログが出てきたのですぐに〖ビギニングダガー〗
を装備した。ちょっと重みのある感じが左腰にきて、俺は抜いてしっかり見てみた。木で出来た短剣で、なんでこんなに重いのって感じの玩具みたいなやつだった。
それで俺は〖ビギニングダガー〗のステータスを確認した。
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〖ビギニングダガー〗
攻撃力4 耐久力∞ ATK+1
初心者用の短剣。不壊の加護を世界神にかけられている。
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頼りないな………。防具はどうだ?
〖宵闇のネグリジェ〗ATK+2 AGI+20 隠密効果上昇
〖宵闇のパンツ〗INT+5 DEX+7 隠密効果上昇
〖〗
〖〗
〖普通のスリッパ〗
………強くね?このネグリジェ。ぱないの。
ま、他にプレイヤー居ないしいっか。これで探索しよう。
「隠密ってどうやって使うんだ?はぁ、チュートリアルすっか。」
面倒くさ……。チュートリアルボタンをタップすると一瞬浮遊感がきて気がつくと真っ白い部屋にいた。
『チュートリアルを開始します。種族吸血鬼確認。まず、武器を装備してください……装備完了を確認。では短剣術のチュートリアルから開始します。』
隠密がやりたかったんだけどな……、まぁ、どうせやるからいいか。
『短剣術LV1では〖〈ARTS〉スラッシュ〗が使用可能です。スラッシュと言いながら振り下ろしてみて下さい。』
「スラッシュ!」
すると紅色の軌跡を宙に描きながらあり得ないスピードで短剣が振り下ろされた。
『〖〈ARTS〉スラッシュ〗はどの方向にも切り上げ、切り下げが可能な使い勝手の良いスキルですので、練習しておくべきと思われます。
では次に隠密に行きましょう。隠密LV1では気配を薄くすることが出来ます。〖ハイド〗と言ってみましょう。』
「ハイド」
今度は俺自身の体が透けて見えるようになった。手のひらから床が見える、これは夜に大活躍するだろうなと思った。
『この状態では毎秒0.5MPを消費しています。その効果は視覚を主に使っているモンスターなどから察知されなくなります。嗅覚や、音などを使って察知するモンスターには聞きませんのでお気を付けてください。』
「なるほど。すげえな。」
『次は気配察知です。気配察知LV1では半径5メートルの敵、味方の気配を察知出来ます。LV1では敵味方判断出来ませんのでご注意下さい。これはパッシブスキルとなり、常に発動しています。』
うーん、敵味方判断できないのか、でもLV1ではとか言ってたからLV上がれば出来るようになるのかな。
『次は軽業です。これもパッシブスキルで跳躍力にブーストがかかり、ジャンプが本来より1メートルあがります。また、LVが上がるごとにジャンプできる高さは上がります、体重の減少、かかる重力の減少、また軽業スキルがあることで解放される〈ARTS〉もあります。短剣術スキルにもありますので頑張って解放してみてください。』
今の段階で+1メートルされるのか……結構便利だな。使えるぞ。
『最後に歩法です。これはパッシブスキルと、アクティブスキルの両方となります。まずパッシブスキルから、このスキルのパッシブスキルは歩く、または走る時の音を軽減、森などの地形も楽に歩くことが出来ます。LVが上がると音無音化など、とても強いスキルとなるでしょう。
アクティブスキルについてですが、LV1で縮地が出来ます。LV1なのでまだ最大3メートルまでしか進めませんが、とても強力です。縮地の発動に関しては、縮地と念じれば発動可能です。ではやってみましょう。縮地と念じて下さい。』
よし、縮地!!
すると足が自動的にたたまれ、前傾姿勢となった。体が地面すれすれで地を蹴り、前へと加速する!
一瞬で前へと進んだ………。このスキル強いぞ……!てか楽しい!
『出来たようですね。LVが上がると水の上も歩けるようになるかも知れませんよ。
では種族のチュートリアルに移ります。
吸血鬼とは、夜にステータスが2倍になります。ですが太陽の光に当たると毎秒100のダメージをうけ、ステータスは通常から二分の一になってしまいます。そうならないためには太陽の光を浴びないように肌を出さない服装になるのが対策法です。およそ8割隠れていれば大丈夫ですが。また、神聖魔法のダメージは2倍になり、神聖属性の攻撃も2倍になります。また、人族とは敵対していますので気を付けましょう。
次に種族スキルについてです。
吸血スキルは吸血するために必要で、吸血自体は1週間に一回すれば大丈夫です。1週間を過ぎるとステータスall三分の一の状態となってしまいます。また、吸血すれば一時的にステータス上昇の効果もあります。
次は霧化です。これは自らの体を霧に変えることができます。霧状態では物理攻撃無効となりますが、魔法攻撃の受けるダメージは3倍となりますので注意しましょうまた、このスキルのLVが上がれば、霧の一部分を物体化することもでき、本物の翼を生やし空を飛ぶこともできます。
再生についてです。再生はLV1で毎秒HP20回復することが出来るパッシブスキルです。
最後に血魔法スキルについてです。血魔法とは、自分の血を操り形作ったり、固めて武器にすることも出来ます。LV1では血を武器にできる《血晶武器魔法》が使用可能です。では使ってみましょう。自分の血を出して、武器になるように想像するのです。』
俺は空中に現れた短剣を使って手首を切って血を出した。すると不思議なことに血液が宙に浮いているのだ。
俺は短剣になるように想像すると、空中に浮いていた血液が集まり、透き通る血液の結晶で出来た紅の短剣となった。そして、
〖《血晶武器:タイプ-ダガー》が完成しました。〗
というログが流れた。
『この魔法には一回100MP使って武器を生み出します。自分の想像の通りに自由に作ってみてください。
これでチュートリアルを終わります。元の場所に転送します……』
そして俺はまた一瞬浮遊感に襲われて、元の部屋に戻っていった。
よし、まずはこの建物を探険しよう、なにかあるかもしれんしな。
早くPKしてみたいなぁ。楽しそうだ…。ククッ……。