メイド長の願い その二
ヤバい、めっちゃ遅れた。
書く時間増えたのに全く進まず早くも2カ月経ってました……!!
ホントにすいませんーー!!
「あ~……相打ちとかありえねー…」
ふかふかのカーペットにだらんと寝っ転がりながら呟いた。
てか、何で真っ二つにしても生きてんだよ…おかしいだろオイ!
にしてもすっごいグロかったな…背中側の皮と少しだけの肉でギリッギリ繋がってたんだもの。これホントに15禁なんですかねぇ?
…はぁ、ドロップ確認すっか。
てことで獲得したのはこれ!
◦黒騎士の鎧(破損)
◦黒騎士のヘルム(破損)
◦黒騎士の鉄靴(破損)
◦黒騎士の大盾
◦黒騎士の騎士剣
とまあ、黒騎士シリーズが一気に出たわけなんだけど…おかしくね?普通シリーズの内どれか一つってのがネトゲの相場だと思うんだよね?幸運スキルのせいなのかどーなのか…ま、貰えるもんは貰っとこ。
あと、驚いたのがコイツ。
◦死人の血
って、アイテムなんだけど、吸血鬼の種族スキルっつーか特徴に血を摂取しなくてはいけないだとかあったけど、こうゆーやつで血液を補充しろってことなんでしょかね?人から直接吸ったりする訳では無く。
ま、今はまだ必要なわけでもねーし、使わずに取っておくことにした。
正直なところ黒騎士シリーズが出たのはスッゴい嬉しい。今は破損状態で着れないけど、修復出来たらメイド服の代わりにしたい…切実に…!!でも、なんだかんだ言ってこのメイド服にも愛着湧いてきちゃったんだよなぁー。着心地めっちゃめちゃ良いし。あー、やっば、このカーペットふかふか過ぎて眠くなってきた…あー、いいやこのまま寝ちゃおー。タイマー二時間に設定してっと……おやすみー、すやぁ。
†††
『おはよー!こんちわー!こんばんわー!おやすみー!おきてええええええええ!!!』
「んんぅ……んー、よく寝たー……。」
ピッとアラームを切って体を起こす。ふわぁぁ…と欠伸が漏れた。
パンっと軽く頬を叩き眠気を飛ばす。
「うっし!今日も旦那探し行きましょか!」
向かう先はまだ行ったことのない場所。ついさっき俺が死んだ場所の奥地だ。さぁ、れっつらごー!
てくてくてく。
歩いて10分ほどで先程の場所についた。こっから先は完全に未知の領域…わくわくするわぁー。出来ればアイテムほちぃ……。
少ししたら黒騎士とエンカウントした。
黒騎士との距離はおよそ十メートル、柄だけみてソッコー逃げ出そうかとも考えたけど、アーサーのいない自分一人だけで何処まで行けるのか試したいんだよなー。倒せはしないだろうけどね。
てことで戦法を考えてこーっと。まず、俺は黒騎士に気付かれた瞬間に勝ち目は無くなる、そのためにさっきはアーサーにタンク役でタゲを取って貰ってたんだけど…ハイドじゃ3メートルまでしか近づけなくて、一瞬で近づいたとしても黒騎士に気付かれて終わりだし…あー、一つだけ思いついた、これで行けるっしょ。……たぶん。
てなわけで黒騎士に気付かれるギリギリまで近づいてみた。で、なにをするかというと血晶爆をタゲ取りに使う。他のゲームとかで石を投げてターゲットを移すってのがあるからたぶん出来るんじゃないかと思った訳なんだけど。
うん。多分出来る…と思う。よし、やろか!
ぽいっと黒騎士の横を通り、投げた血晶爆は廊下を3メートル程転がり、爆発した。狙い通り、黒騎士は爆発した方向を警戒する。
俺はもう一つなげ、爆発する一瞬前に縮地。黒騎士がこちらに気付く前に間合いに入る事が出来た。狙いは首、ヘルムと鎧の隙間。俺はノワールを胸に引きつけ、グッと力を入れ突く。俺の放った突きは狙い違わず首へ突き刺さり、ドッと黒騎士のHPゲージが減っていく、だが、これだけではまだ足りない。
俺は突き刺さったノワールをそのままぐるりと一周。即座にバックステップをし、退避する。どちゃり、と後ろ向きに倒れ、その衝撃で黒騎士の頭部がコロコロと俺の足下まで転がった所でバリィィンと不快な音を立てて爆砕した。
「かっ…勝った……??え?マジで?」
ちょっと信じられず、俺はログを確認し、倒した事実を飲み込んだ。
「うおっしゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああ!!!マジか!倒しちまったって………………あっ」
血の気が引いてくってこの事なのかと頭の片隅で思いながらやらかしたことに気付く。
「柄の模様…確認してねぇ………」
ヤバい…マジでヤバい。もしも旦那だったらもうほんとオワタ。えっ…どっしよ、マジでどっしよ。マジでどうすりゃ良いって…あっ!アイテム!ドロップアイテム確認すれば…!!
◦黒騎士の騎士剣
◦黒騎士のヘルム
◦黒騎士の鎧
◦黒騎士のグリーヴ
◦死人の血
あった!即座にタップし、オブジェクト化する。無骨で実用性にこだわりつつ、宮廷でも失礼の無い程度の装飾に見とれながら柄を確認する……そこに描かれていたのは、ドラゴンだった。
「っぶね…良かった…マジ助かった~」
あー…良かった。ジーンさんの旦那さん殺してたらもう本当に終わってたわ俺……。
にしても何体黒騎士いんだよ……今んとこ会ったのは4人だしなー。
うーん……、よしっ!ジーンさんに聞きに行くか!お茶飲みたいし~。
てなわけでジーンさんの元にれっつごーって事で。
†††
「───えっと……四人だったかしら…?」
ただ今ジーンさんとお茶しながら話を聞いてたんだが……四人?え?マジで?だって俺が会った黒騎士って…アーサーでしょ…ぶっ殺した人と見逃した人とぶっ殺した人の…四人ッ!?え?まじ?てことは……。
「さ…召喚アーサー!!」
「えっ…ちょなに??」
急なことに慌てるジーンのことなんて今はどーでも良くなって、アーサーの体をペタペタ触りまくった。
剣の柄を確認すると……狼でした。
えー…えー……えーーーーー………。マジかよ。
「ジーンさん……この人、ギルさ…」
俺が言い終わるよりも早くに、ジーンさんがアーサー…いや、ギルさんに抱きついた。
「っ…!…ッ!!ギル…ギル、ギルぅ……あい、会いたかったぁ…!!……ひぐ…ぐす…うん…うん…うん…!!ギルぅ…!!」
ぽけーっとしてると、どうやら霊体同士話せるようで二人で話してた。二人はずーっと抱き合ったまま話していて、夕日が沈んだ後も抱き合っていた。
†††
「レイちゃん…。」
抱きしめ合う二人を背後に、ぽけーっと月を眺めていた俺は、ジーンさんに呼ばれて振り向いた。
ジーンさんはギルさんの隣に立って俺にむけて深々とお辞儀をした。
「うえっ!?ちょ…ジーンさん何してるんですか…!!頭あげて下さい!」
「ふふっ…ありがとうレイちゃん。やっと…やっとギルと会えて、話せて…とっても楽しかったの。レイちゃんのお陰よ、ホントにありがとう……。」
「いや……ッ……!?!?」
「あ…ら……?」
ふわりと笑ったジーンさんが光りはじめ、だんだんと薄くなっていった。
戦闘シーンむっずいぇぇえ……




