メイド長の願い
コメントありがとうございます(∩´∀`∩)
誤字脱字報告ホントにありがたいです!
暇を見つけて書いていきます。いまバタバタしてるのでなかなかかけないんですけどね…(T^T)
頑張ります!
「──あら?お茶冷めちゃうわよ?」
「っ…わ、ホントだ冷めちゃう」
思いのほかジーンさんの話しが壮大で意識が飛んでたみたいだ。にしてもそんな数百年前の出来事をこんなに感情豊かに話せるなんて……ホントに数百年経過してるのか?ゲームの設定とかでは無く…。
いんや、考えても仕方ねぇわ。数百年経過してようがどーでもいいしなー。にしてもホントによくできてんな、この世界。
「ふふっ…食べかす付いてるわよ?」
「えっ…!?どっ、何処ですか?!」
マナーに関してはきびしーく教え込まれたから正直いって…怖ぇ。てか、恥ずかしいし。
ジーンさんは自分の頬を指さして、ここよと教えてくれた。
ホントに付いてる……パクッと食べて、恥ずかしさで顔が赤くなるのが分かる。
あーもう!いつ男だって言えば良いんだよっ!タイミングはかれねぇーよ。ハァ。
ふと、疑問になった事を聞いてみることにした。
「ジーンさんってなんで成仏しないんですかね?」
ジーンさんはうーん……と頭を軽くひねった後答えた。
「特にしたかったこともないしねぇ……。強いて言うならやっぱり弟子の育成かしら?…でもレイちゃんで弟子は出来たし…ホントなんなのかしらね?分からないわ~。」
「う~ん……何か気がかりな事ってあったりします?」
「そりゃあるわよ~。娘の事とか旦那の事とかいろいろよ。特にギルってばどこに居るのかしらね……私はここを動けないしねぇ。」
俺はそこで名案を思いついた。
「じゃあ!お…僕がギルさんの手がかりを探してきますよ!」
ジーンさんは困った様子で
「えぇ…??残ってるかも怪しいわよ?もう数百年も前のことだし…」
「いえ…!なにかギルさんって分かる目印ってありません?それさえ分かれば探して見せます!」
「ギルの手がかり……あぁ!!騎士の剣はね柄の部分に家紋が掘られているのよ。それなら分かるかも。えっと…ギルの家紋はこれよ、これ。」
そう言ってどこからか取りだした紙に書かれた模様を見る。
その家紋は狼が空へ吼える図だった。
「おっけーです!これ探してきますね。」
「あっ…魔物には気をつけるのよ?」
「それは問題なしですよ、じゃっ、行って来ますね」
「ええ、気をつけてね…!」
俺はジーンさんに見送られながら中庭を後にする。行くのはまだ行っていない場所。黒騎士を探して冒険といきますか…あー、とっとと戦闘してぇなァ…!!
†††
「──さて…まだ行っていない反対側には来たけども…あるかなぁ、手がかり。って…ハイドッ!……あぶねーハイドすんの忘れてたわ…。」
スタスタと歩いていると新種の敵が見えた。即座に物陰へ隠れ、様子を見る。
敵の姿は灰色の毛を持つ狼。さしずめグレイウルフってとこか。さぁて、殺していきますかーっと…。
足音を立てずにゆっくりでは無く普通のスピードで歩く。事前に奇襲切りは着けてある。さ、優雅に殺しますかぁ…。
残り後およそ三メートル。するとグレイウルフが少し気付いた様子を見せたので即座に縮地。今回は壁に向かって斜めに。この廊下は横幅が六メートルほど、グレイウルフは壁ぎわにいるため一メートル足らずの縮地で壁に音もなく着地。すぐさまもう一度縮地。今度はグレイウルフの首筋めがけ飛ぶ。
通り抜ける寸前にハイドアタック。高所からの位置エネルギーと、速度による重い刃がグレイウルフの首…急所を直撃する。グレイウルフは一撃でHPゲージが消し飛んだ。
うっわ恐ろしいダメージやろこれ……。
ピロリン♪レベルアップしました
んっ…レベルアップか……びっくりするわー…。本当急だからドキッとしちまう。
ええと…ドロップアイテムは
《灰狼の毛皮》《灰狼の牙》《灰狼の爪》《灰狼の魔核》だな。毛皮は三つに牙は四つ。爪は六個に魔核は一つ、なんか多くねーかこれ?てか、ドロップアイテムみんの初めてだったわ。まぁ、こんなもんなのかなー。よし、次次ィ!
……お?あれって…。
見えたのは黒いシルエット。よく見ると黒騎士であることが分かる。
うーし…殺せねぇだろうけどいっちょやるか!剣の柄を見りゃ良いんだしな。…距離は目測で二十メートル程、縮地じゃ届かねぇ。レベルアップしても無理だろうしな…。限界までハイドで近づくか、アーサーの時は三メートルまで近づけたし。
さっ、ゆっくりいくぞー。ジーンさんに習ったように足音を立てず優雅に、やっぱこの歩き方ヤバいわ。暗殺と相性良すぎだろ。
っと、あと六メートルぐらいか、あと二メートルしたら縮地で真横を通り過ぎながら家紋を確認すればいいか。
もう少し…三…二…一…ゼロッ…!! 家紋はっ…チッ…狼じゃねぇ!!
所々ハゲていたが狼ではなかった。
あーもうっ!追っかけてきてるし…ってやっぱ黒騎士速ぇ!!
でも俺だって成長したんだよ…負けるかっつーの。
グングン引き離し、ついに付いてこなくなった。おっし、勝ったな。って、何に勝ったんだか…。
にしても外れかー、まぁ、一発目で当たるとは思って無かったけどなぁー。残念。
調子乗ってジーンさんに言ったのは良いけどホントに見つかんのか心配になってきたわー。
はぁ…気を取り直して次行こっと。
†††
そういやこっちに来たことないけどお宝あるかなー。出来れば服が欲しいよ……。てか、よく考えたらここ王城じゃんか、そりゃ日常的な服があるわけ無いよなぁー…はぁ、あほらし。
んー……小部屋は沢山あるんだけど良い物全然ねぇな。ベッドやらカーテンやら、何もかも経年劣化しやがって、ここゲームだろ…しかもラスダン一歩手前見てぇな場所の癖してケチな物しかねぇし。
……待てよ?ラスダン一歩手前って思ったけどそんなとこ初期リスポにするわけねーだろ普通、って事はここ初期でも行くことの出来る場所ってことだろ?運営共も公開前インタビューとかでリアルを追求し、バランスを追い求めました。とか言ってたし……よくよく考えたらそうなるけど…そうなるけどね?そしたらどんだけ中盤とかの敵ってどんだけ強いんだよ……。
他にも思うとこあるしな?レベル差経験値とかまるで俺みたいな境遇の奴にあるようなもんじゃん。ちょっと調べてみっか。
ええと…ネット検索からの『AWO ビギナーズ 周辺エネミー』で検索っと。お、出て来た出て来た。
「なになに…周辺エネミーのレベルは……平均レベル4だって!?」
う…うせやろ?ここら辺の敵ってどんだけ強えんだよ。って世界地図も載ってんじゃんこのサイト。初めて知ったけどビギナーズって人族の初期リスポなのね。他にもエルフとかの他種族の初期リスポ地点のこととか書かれてるし…。世界地図とか周辺地図スクショしとこ。サイトがいつ運営に消されるか分かんないから出来るだけ保存した方が良いよね。
にしても…マジでここ何処なの?そこら辺後で世界地図みて考えるか……。
†††
その後は敵はいたがやり過ごしてまっすぐ進んだ。すると二階への階段が左へと曲がる角に現れた。
うーん…左行っても良いんだけど上行こうか悩むな…。よし!ここは上に行くか。
って…あれ?俺ってリスポーン地点の場所からグルーって反時計回りに一階に来たんだったよね?だったらここ上がったら一週して戻ることになるんじゃね?
俺は上の階を確認した。やはり俺のリスポーン地点である部屋が見える。
なんだよ…一週しちゃってたのかー。二階はあんま見るとこもないしな───よし左側に行くか。
それからてくてくと歩き続けて、五分程。黒騎士とエンカウントした。さっきみたいにやり過ごして確認だけでも良いんだけどつまんないんだよなぁ。どうしようかな…あ、アーサー使お。アーサーをタンクとして使ってヘイト集めてもらおうかな、で、俺は縮地使って暗殺でぶっ倒す。一応確認はして狼じゃなかったら倒すことにするけどね。いやー、高ぶるなぁ!!
よし…!出でよ!アーサー!!君に決めた!
ギュルルルッ!と言う音と共にアーサーが現れる。やっぱ鎧のデザインも何もかもがかっけぇわー。
うっし、じゃあ行くか!
「アーサー、よろしく頼むよ。さぁ行くぞッ!」
「カカッ!」
マジで!?返事してくれたんだけど!?こりゃ負けてらんねぇわ。やってやんよ。
まずは…アイテム化しておいた血晶爆をアーサーに黒騎士に向かって投げて貰う。よし…当たった!狙い通りにぶつかった血晶爆は黒騎士をよろめかせることが出来た。その隙を狙ってアーサーが突撃する。
俺は黒騎士に感知されない距離を保ち回り込んだ。黒騎士は気付かずにアーサーの切り払いを迎撃した。振りかぶった黒騎士の剣を確認、柄を見たところ…狼じゃない!遠慮無く殺してやんよッ!
やはりアーサー強ぇ…だが、やはり弱体化していたようで少し押されていた。さて、こっからどうすっか…、幸いまだ気付かれてない、だけど不用意に近づいたら無意味になっちまう。ここは縮地で気付かれる前に一撃入れるか…さて、弱点は何処だ?……鎧の継ぎ目か、キツいな…縮地のスピードに乗った状態で正確に狙えるか…、よし、アーサーに一度体勢を崩して貰うか。
アーサーに渡した血晶爆の数は三つ。そのうち一つはさっき使ったが、残る二つは特別製で、《血晶武器魔法》で作った棒に先を尖らせたニードル型の血晶爆をくっつけたモノだ。そいつはぶっさして棒に魔力を流せばニードルが爆発して内部を破壊するという恐ろしいモノで、ふざけて作ってあまりの強さにビックリした思い出がある。コイツを鎧の継ぎ目にぶっさして貰えれば……!特にヘルムと首の隙間に突っ込んで欲しい。弱点だしダメージも多少はあるだろう。それまで俺は待機だ…。アーサー頑張ってくれ!!
†††
『アーサー、よろしく頼むよ。さぁ行くぞッ!』
主の声が私を昂ぶらせた。相手は私の元同僚、名前は……あぁ、やはり思い出せない…。
『お前良い嫁さん貰ったなオイ!』
『おい※※!!こっちだ!』
何度も死地を共にした記憶はあるのに…いや、アイツも私と同じように囚われているのなら楽にしてあげるべきだ。私の剣には浄化の魔力が付与されている。それに主のあの魔剣…まるで聖剣のような清浄な魔力だった…あれでも成仏出来るはずだ。
さぁ、今楽にしてやるッ!
まずは主から戴いた紅玉を投げつける。ッバンッと音を立てヤツの…黒騎士のヘルムにあたり爆発する。もう二つの赤い針は今使うべきではない。ヤツがよろけた、今だッ…!!私は剣を構え全力で疾走する。0.5秒とかからずに肉薄、速さと重心による一撃を放つ。だが、ヤツは即座に抜刀、よろけた体を腰を深めることによりすぐさま抜刀の姿勢に入ったことによる渾身の一撃で私の剣は受け止められる。ぐうっ…腐っても流石は黒騎士部隊の一人ッ…弾かれる事はなんとか無かったが相手の方が力は上…鍔迫り合いは分が悪いか…。
私は相手の剣をずらし、流す。柔よく剛を制する…それが私の剣、流れるように相手の剣をずらし、体をよろけさせ殺すのが私だ、この際私は倒すことではなく、主の一撃のため、隙を作るのが役目。ならばッ!ずらし、重心が不安定な相手の腹を回し蹴りで吹き飛ばす。吹き飛ぶヤツに肉薄し、空中で切り払い、撃墜する。激しい音を立て墜落したヤツは剣を取り落とした。即座にその剣を主の元へ蹴り渡す。主の術で回収して貰うためだ。
倒れふすヤツの首元の継ぎ目に向かって針を突き刺した。即座に魔力を流し爆発させる。バァンッとヘルムが吹き飛んだ。あとは…主の番だッ!
†††
黒騎士のヘルムが音を立て吹き飛んだ。よくやった!アーサー!
こっからは俺の番だ…行くぞッ!俺は縮地で壁へ飛びヤツの顔めがけもう一度飛ぶ。奇襲切りはかけた!あと少しでヤツに剣が届く…!二……一……今ッ!
「ハイドアタックッ!」
シュパッとヤツの顔面を縦に切り裂いた。その勢いのまま股まで切り裂く。俺はヤツの体を縦に真っ二つにした。
物凄い勢いでHPゲージが減っていく。真っ二つだ、一撃だろう。
「終わった……ッ!!?がぁ!?」
斬られ、吹き飛ばされる。何だッ!?前に吹き飛ばされながらチラリと後ろを見ると真っ二つになり、血を吹き出しながら剣を振り抜いた後のヤツが見える。
てめぇ…クソがッ!
「アーサー!死にぞこないを殺せッ!」
そう言う途中からすぐさまアーサーは動き、黒騎士にとどめを刺した。
やべぇ、レッドゾーンにはなったけど出血ダメージが止まらねぇ…。せっかく勝てたのに死んでたまるか!相打ちなんてかっこわりぃ!
あー!クソッ!無理かっ!最後にアーサー戻さねぇと…《収納:アーサー》!!
ちょうどその時、俺のHPは尽きた




