魂だけで 叫ぶ
いや、すんませんホント。
何が二週間投稿だ……………ほんっとごめんなさい(^-^;)
もう一つ。三月までとても忙しく、執筆する時間が取れないと思います。申し訳ない……!!
出来たら書きます!ごめんなさい(T^T)
──何年経ったのだろう
黒い水に溺れている男は思考する。
──いや、何百年だろうか…今にもあの時のことは鮮明に思い出せるというのに───
──アイツに会いたかった
──最後だけでも…と
──なんで
──会えなかった
──私は……いつ消えるんだ……?
──まだ消えないのか
──一人は嫌だ…
──いつまで、此処に
──あぁ……
──死にたい
──死にたい
──死にたい
──死にたい
──しにたい
──しにたい
──しニたい
──しニたイ
──シニたイ
──シニタイ
─
もう…こんな所に居たくないッ…!!
もう嫌だ…助けてくれ、※※※ッ………!!
………今、ワタシはダレのナマえを…呼ンだんダ?
†††
意識を落とす。視界が開く。体は動かない。ただ、見ているだけ。
ただ彷徨い歩き、命あるモノを見つければ殺す。それだけを。
†††
「───ッ…!!早くッ!奥へ逃げろッ!」
門から入って来た化け物から逃げていく使用人達。私は…食い止めるのが仕事だ…。
「ふッ……!!」
化け物の懐へ瞬時に入る。切り上げ、首を断ち切る。…次。
まだまだ湧いてくる。
三体同時か…。私は中腰になり下から斜めに切り上げ、バックステップ。
「『残刃』ッ!」
残る斬撃が化け物共を断ち切り、絶命させる。
まだ…来る。
「『飛斬』」
斬撃が飛び、廊下を埋め尽くす化け物共を断ち切った。
「ッ…!!何体居やがるッ!」
だが、奥からまだまだ押し寄せてくる。
「『飛斬』ッ!『飛斬』ッ!『飛斬』ッ……!!!!!」
回転切りをしながら三連続。上中下、三つの平行な斬撃が飛んでいく。
これで…終わったか……。
もう化け物共は残って居なかった。ズルズルと壁にもたれかか
った私は疲れ果てていた。
ポケットからジャラジャラ音を出すビンから3錠取りだし呑み込む。
マジィな…だが……体力は回復した、もう来なければ良いが…。
その時だった。
ドォンと音を出して廊下の壁が崩れる。私は咄嗟に後ろへ飛んだ。
「なんだッ…!!」
瓦礫と土煙で見えない。何が…居る?剣を構える。警戒は最大限に。
風が吹く。土煙が目に入り拭う。その瞬間土煙が割れた。
シュンッと飛んできたのは木の枝。いや、幹と言うべき太さだ。視界が暗転した一瞬の出来事。私は反射的に横へ飛ぶ。
ジュバッと私の腕を掠めた。鎧を切り裂いて腕を切られる。
あり得ない。ただの木にこの鎧がっ?冗談だろ!?
慌てて後ろへ飛び、腰のポーチから回復薬を取りだし腕へかける。半分は飲み込んで体力を回復させた。
油断はしない。下手すれば……死ぬ。そうこうしてるうちに化け物の姿が見えた。木に浸食された…竜。
一人で勝てる自信は無い。さっきの一撃で大体の強さが分かった。こいつは団長クラス、私には手に余る。
………使うか。
私は追加で丸薬を取りだした。こいつは適合すれば鬼人の如き力を一時的に手にすることが出来るが…適合しなかったら…死。
どっちにしろ使うしか無い。
私は飲み込んだ。
体が熱い。ちぎれそうになる。足先から虫が這ってくるように体が作り替えられていくのが分かる。
皮膚が溶け、爛れながら再生していく。あまりの辛さに私は倒れ伏した。
竜は攻撃をやめない。飛んでくる木が私の体を貫く。右腕は半ばから断ち切られた。左足は根元から失った。腹。胸。肩。全てを貫かれ、あまりの痛さに視界が歪み、落ちそうになる。
だが、体は再生をやめない。再生した肉が木を圧迫し、押し上げ体から引き抜いていく。左足はぐちゅぐちゅ…と音を立てて生え、右腕は繋がっていく。
いつしか痛みも、辛さもなかった。あるのは体の底から湧き上がってくる力の奔流。あふれ出しそうで、器からこぼれ落ちそうなソレは私に劇的な変化をもたらした。
視界はゆっくりと変わり、すべてが遅く…いや私が速くなったような。持っている剣の柄を握りつぶしそうになる力。
これが…適合した力か……。
また飛んでくる。だがあまりにゆっくり過ぎて避けるのは容易だった。さらに飛来してくる木には当たる寸前に剣の腹を押し当て軌道を変える。避ける、避ける、避ける。私は竜の懐へ入った。魔力を剣に流す。そして…突く。
「『貫衝』」
竜の体に大穴が空いた。ドサッ…と竜が倒れる。勝った……。
あぁ…終わった…。私は疲れ果て、視界が、落ちる──寸断に何かが…いや竜が押し寄せてくるのを見ながら意識が落ちた。
†††
何度思い出そうと結果は同じ、何故意識があるのか…何故こんな場所に……何故…何故…何故…!!
激情しても、意味は無いのに……。
ジジッ…とノイズが奔る。
†††
私は戸を開け、家へ入る。
「ただいま」
「おとーさんお帰りー!!」
勢いよく私の懐へやってきた娘を抱きしめもう一度ただいまと言った。
「あら、お帰りなさい。ご飯出来てるわよ~」
「あぁ、ありがとう。頂くよ、楽しみだ…※※※のご飯は美味しいからな。なー、※※※。」
娘ははにかんでうんと元気よく返す。
三人で暖かくご飯を食べる…幸せな時間。
†††
なんで…こんなことを思い出す…。幸せな時。今では名前すら浮かび上がってこない愛しい妻と娘との時間…。
アァ…地獄じゃないか…私がなにか…したか…?
†††
「やっ…やめろッ!!ぐぁぁぁぁぁああ!!!」
「ヒッ…やめろ…こっちに来るなッ!!あっ…アッアッ…あぁぁあぁぁぁあ……」
「やめて…私達が何をしたって言うのッ……いやぁ…こな…来ないでッ…!!ぁぁぁあぁぁぁあ……」
また…殺した。
調査隊か…?いや…どうでもいいか…。
生者を妬むかのごとく惨殺する…まるでアンデット…いや、アンデットだったか…。
体は動かない。深い…暗い…海の底に沈んで、ずっと沈み続け…いや、落ち続けている。底なしの海にどっぷり浸かって、もう逃げ出す事なんて…出来やしない。
†††
それから少したって…不思議な少女が現れた。白髪で闇に溶けながらも爛々と光る紅の目を持つ少女。姿を捉えるのも定かでは無いほど不安定な少女をめがけこの体は剣を振りかぶり…斬った。
バリンッ…と聞いたことも無い不協和音が少女の体から発せられ青い光となって砕け散ったのを見たときは唖然となった。
何が…起こった?
しばらくした後斬り殺した筈の少女が現れたときはあまりの驚きに瞠目した。
少女は呟き、私に向かって突進してきた。
『ククッ…さて貴様は何回目で墜ちる?』
少女がするべきではない凶悪な顔よりも私は…波が…私がいる場所に少女が入ってきたことに驚愕した。
ジャバッ…と私に向かって水をかき分け手を伸ばして…消える。
そうか…また…殺したのか。
だが、少女は何度も繰り返し蘇り私の場所へ入ってくる。
何度目だっただろうか…いつの間にか私は暗い海で動けるようになっていた。
少女の必死に伸ばす手を掴むために、私は上へ、上へと浮かび続ける。
足が痛い…痛いなんていつぶりだろうか、いや、今は浮かべッ!!
あと少し…あと少しで届くッ!!手を伸ばして、指の先が…少女の手と──触れた、その瞬間、ドパッ!!っと水が弾け、消え、少女の指の先から魔法陣が浮かび上がる。一つ、二つ…三つ…幾重にも重なり、絡み、一つになって行く多重魔方陣。そこからドロリとした液体が溢れ、私の体を取り巻いていく。不思議と嫌な気はしない。あるのは安心感と幸福感と何かが消えていく感覚だけ。
あぁ…これで、やっと救われた……。
そして私は、解放してくれた恩と新たな名をくださった少女に心の底から仕えることに決めた。
我が名はアーサー。私は主を守るためならば何をすることも厭わない。




