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第3話 父と息子
「二人とも、そろそろ夕飯の時間だよ。
今日はリーニャの大好きな
ジル特製の海老のシチューだよ。」
客間で言い争う姉弟に、
父のヨハンはのんびり声をかけた。
シュナイダー家は一応伯爵家だが、
おそろしいほど田舎にあり、
慎ましい生活をしていたので、
通いのメイドが数人いるだけで、
食事は大体母親のジルが作っていた。
「やったーーー!!ヾ(・◇・)ノ!!」
リーニャは客間からピューッと飛び出して、
一目散に食堂に駆け出した。
「やれやれ。
リーニャはいつまでたっても子供だな。」
ヨハンは苦笑しながらそういうと、
「エリオル、お前もおいで。」
とにっこりエリオルに笑いかけた。
「はい。父上。」
エリオルはおとなしく父の側まで来た。
「お前も苦労するね。」
ヨハンはそう言うと、
去年自分の身長を追い抜いた、
背の高い息子の金色の頭をなぐさめるように撫でた。