第18話 遅れてきた参加者
リーニャとエリオルは会話もないまま、
早く時が過ぎて、
ヨハンが迎えに来てくれて、
ジルのいる我が家に帰れるのを待ち望んだ。
二人には長い長い時が経ったように思えたが、
実際には半時もたっていない頃、
奇妙なお茶会にもうひとりの参加者が現れた。
金髪に綺麗な翡翠色の瞳をしたヨハンと同じくらいの年頃の男性だった。
男性は数人の伴をつれてニコニコしながらリーニャとエリオルに近づいてきた。
「こんにちは。」
男性は整った顔に笑顔を浮かべてリーニャとエリオルに挨拶をした。
瞬間、リーニャは椅子から飛び降りてエリオルの手をつかんで庭の奥に向かって走りだした。
「あねうえ!!!?」
エリオルは訳もわからず引っ張られて転びそうになったが、
リーニャが急にエリオルを引っ張って走り出すのはよくあることだったので、
なんとか転ばずに姉について走り出した。
「なんかよくわかんないけどとりあえず逃げよう!!!」
リーニャは男性の声を聞いた瞬間背筋がゾッとした。
理由はわからなかったが、
とにかく逃げ出さなければと思った。
リーニャは脇目も降らず一目散に走った。
エリオルはリーニャに手を引かれて走りながら後ろを振り返った。
「こら!!!!お前達待て!!!!」
男性の御供がそう怒鳴ってリーニャ達を追いかけようとしたが、
男性はそれを制止するような素振りをしていた。
リーニャとエリオルはどこに向かっているのかわからないまま走り続けた。