表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/8

第1話:私と先生の約束

第1話:私と先生の約束


 九月二日 二十二時三十分


「さて、そろそろ出発の時間だよ。出発しようか?」

 先生がバイクのエンジンを入れ、私にヘルメットを渡しながら言う。


「わかりました。よろしくお願いします」

 私は先生に軽く一礼を入れると、手渡されたヘルメットを両手で受け取る。


「……その他人行儀な態度——見慣れているとはいえ、お姉さん少し悲しいなあ」

「そうですか……」

「そうだよ。まだ一ヶ月とはいえ、週三回は家庭教師で来ているんだから、もうちょっとフレンドリーに接して欲しいなぁ」

「…………」


 相変わらず、彼女は私にお節介。性格が明るい人は、少し苦手だ。


「ヘルメットの付け方は知ってる? 顎のベルトを固定するのを忘れないようにね」

「分かってます。子供扱いしないでください」

「何言っているの。あなたは子供。社会や大人にわがままを好き放題言うことが出来る特権を持った、れっきとした子供よ。もう少し、甘えてみるとかしてみてもいいんじゃないかな?」


 彼女がそう言うと、私のヘルメットに軽くピンッとデコピンを入れ、ヘルメット越しに私の方を見つめてくる。

「……そういうモノですか」

「そういうモノ。家庭教師は勉強に関しては嘘つかない」

 彼女は右手をグーにすると、親指を立てて私に見せる。


「今のは勉強じゃ無いと思いますが……」

「人生の勉強よ。私は英語以外に心理カウンセラーの授業も専攻しているから、コレも授業の一環」

「……これから夜のツーリングに駆り出されるのも、勉強の一環ですか?」

「ええ、私の特別課外授業。あなたにぜひ体験してもらいたいことがあってね」

「……こんな夜遅くにですか?」

「ちゃんと親御さんの許可もいただいているから大丈夫。安心して私のバイクに乗るといいわ」


「……お手柔らかに、お願いします」

「お手柔らかに、爆走します」


 ——何というか、強引だ。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ