さみしい話
なぜか昔から迷子になりたがった
自分の知らない土地へ行き、さみしい中華料理屋に入り、ホイコーローとかネギラーメンとか、旅愁と財布のバランスのとれたものを注文する
どうでもいい漫画なんぞよんで油でベタベタの裏表紙の煩わしさを感じなくなったら自分が汚れた旅行者であることを認めた証拠
着丼したもやしラーメンのあんかけの味が薄いの見越していきなり醤油とラー油をかけた後に箸を割る
ライスの大をあとから注文して残ったスープをぶっかけてレンゲでモシャモシャかきこんでそのたびに昔見たお茶漬けのCMを思い出す
店を出る時間は3時過ぎで中華料理屋に入ったのは2時過ぎであり店側としてはそろそろ
店閉めてゆっくりしたいわけで迷惑な客なのだったが、こちとて一介の風来坊にてこれにてゴメン的にさらりと立ち去るように見せかけてなかなか漫画が面白く席を立たない
黄昏流星群とか包丁人味平とか俺節なんかは中華料理屋で読んでファンになったわけで、ある意味文化発信の地でもある
さてすでに店を出てるわけだが、あえて向かうべきは変電所、駐車場など野良猫が集まりそうな場所である
正直夕方3時過ぎ、今の季節は10月末であるから陽も傾いて帰ることも頭によぎるのだが明日の仕事も早いのだがそれでもあえての敢えてなのである
猫 野良猫の人を完全に信じきっていない目は下野した浪人に通ずる潔さがある
そんな時は自分も士官のあてのない浪人となり心を通じ合おうとするのだが無理である
このままもやしラーメンと野良猫の思い出だけで帰るのは心残りなのだが辺りは薄暗くなりそろそろ帰らないと的な雰囲気満載です