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01 三浦家

場所は現代日本、神奈川県のとある街並みに住む少年は妹二人に半ば強引に連れられて夏休みもそろそろ終盤に差し掛かってきた時期に両親二人、そして少年の五人は家族で神奈川県西部に位置する丹沢にキャンプに行くことになっていた。


「うぉすげえ自然って感じだなぁ」


この少年の名前は三浦いつき、樹木のじゅ、と書いて『樹』である。

最初は暑いし家でダラダラしていたいなど愚痴を常にこぼしていたものだが実際に来てみると鮮やかに手のひら返しをして自然の美しさに見とれ、感嘆の声を漏らす。


キャンプの予定場所はまだまだ先であるがトイレ休憩という名目で物珍しさに両親が道の駅に車を止めると全員各々の興味のある場所へフラフラと勝手にどこかへ行ってしまったわけである。


別段なにか見てみたいお土産があったり喉が渇いていたりトイレに行こうとも思わなかったので家族が歩いている間自分たちの今まで乗っていた車の近くにある小さなベンチに腰掛けて青く澄み渡り雲ひとつない空、風がなびくとサワサワと心地よい音を奏でる樹木、耳をすませば近くに流れる沢からの水が流れる音が聞こえてくる。


「ぅお兄ちゃんっ!どこほっつき歩いてたのさっ!探したんだよ!?」


店から出てきた妹は樹のことを見つけるなりそうそう後ろから抱きついてくる。

樹の鼻先に妹の後ろに束ねたポニーテールの髪の先がくすぐり、だんだんと成長してきた小さいながらも確かな柔らかさを持つ胸が一気の背中に押し当てられる。


「んだよ、お前らが勝手にフラフラどっかいったんだろー?俺はずっとうちの車の近くにいたぞー」


「んもぅつれないなぁ兄ちゃんは〜…女の子に冷たくしちゃだめだぞぉー?」


「お前は妹だ、俺にとっちゃ女の子に入らねーよ…そもそもお前だって中三なんだから男の一人や二人作ったらどうだ?」


「茜は別にいいんですぅ〜!それに兄ちゃん!茜は浮気とかする気はないぞぉ?」


「あぁそうかい、お前の彼氏になるやつは安心できそうだな…っと」


樹は両腕を伸ばして茜のことを押しのけると軽く伸びをする、この白い健康的な太ももを惜しげも無く晒す短パンに上には『全力疾走』と描かれた黒いTシャツを着た少女が妹のうちの一人、『茜』である。


「お、お兄ちゃん…?そこにいたの…?」


もう一人の妹が店から出てきてオドオドとした様子で茜の後ろに隠れてひょっこりと顔をみせる、長いロングの黒く艶やかな髪が風に揺られ白いワンピースと麦わら帽子をつけた彼女はどこかお人形のようである、樹の妹小学5年生の『楓』である。


「おぉ、戻ってきたかー、んじゃ親父と母ちゃんもそろそろかなー?」


「…ん…もーすぐ…戻ってくる、よ?」


「あーらあんた、せっかく来たのに何も見ていかないの?」


「俺はこんな山奥くんだりまで来て親父に大量のお土産担がせてる母ちゃんに言われてもなぁ…」


店からブロンドに輝く髪を揺らしながら樹の母が店から出てくる、淡いピンクのタンクトップが胸元を、ぴっちりとしまった足をジーンズが強調し、道行く人々が誰しも注目する。母親の『桔梗』である。


その後ろを中年の男性が後をよろよろと荷物を運びながら追いかける、その様はまるで奴隷が労働させられているかのように惨めな構図になっていた。彼こそがこの家の大黒柱となる父親であり、実は大手不動産会社に勤めており綺麗な奥さんもいてこんなでもわりかし人生勝ち組な方に分けられる人間ではないだろうか。


「おーし、んじゃ行くの?」


「お、そうだなぁ、父さんも大きいの出して行すっきりしたしな、あと20分ほどでこのまま道なりに進めばキャンプ場だし行こうか」


「父ちゃん…そういうのはトイレって言っときゃいいんじゃないかなぁ…」


「お父さん…汚い」


「あんたねぇ…はぁ…」


「ぐ…っ!?樹!?樹は父さんの味方だよな!?」


「やだよ、俺は誰の味方でもねーよ」


バタン、と一足先に車の中へ興味のなさそうに入っていく、まさかこれから行くところで居候を二人家に引き入れることになるとは全くもって知る由もなく…

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