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大吉しかないおみくじ

作者: 篠原

チャリーン

     パンパンッ

「(次こそ!東大うかりますよーにッ!!)」


今回で4回目の受験。田舎の親からは今年で最後にして帰って農業を手伝えと昨日電話があった。それはつまり俺に落ちろってことか。

4という不吉な数字にも負けず、今回は小さいが有名な神社にもきてお願いをしにきたんだ。

絶対今年こそ受かってみせる!


「っても、受かるかなぁ・・・俺・・・」


とりあえず、おみくじ引いてかえって勉強するか・・・

でもこういう時凶とか吉とか引いたらなんか泣きたくなるよな。


そう思いつつ、時期てきに少々おかしいがおみくじを引きに行く。


100円入れて、受験用の運気をあまり使わないためにも一番上にあったものをぱっととる。


「(これで凶だったら母さんに土産でもかって帰ろう・・・)」


最初からあまり期待をせずに開けてみたが


「これって・・・大吉!?」


期待が少なかった分、少々嬉しかったりする。

じゃぁ、とりあえずコレは・・・


「えっと、確かこれって木に結ぶんだっけな・・・」


とボソッと呟いたつもりだったんだが・・・


「それ、結ばずそのまま持ち帰ってはどうです?」

「のわぁ!!?」


び、びっくりした・・・なんだこの神主。昔は兵隊でもやってたのか・・・?


気配無く近づいてきたのはここの神主だった。

なにかと思うと、俺が持っているおみくじをさすともう一度


「それ、結ばず持ち帰ってはどうです?」


さっきと同じことをいった。いや、別に老人でもなくまだピチピチ20代だから聞こえてますって。


「え・・・なんかご利益とかってあるんですか?」


とりあえずそこまで言うのだから理由があるはず。一応きいといたほうがいいだろうな。


「いえ?でも木に結んでしまうより、自分で持ち帰ったほうが嬉しくないですか?」


理由そんだけかよ!!?

これでも二十歳過ぎた野郎が大吉おみくじ引いて喜んで持ち帰るほど幼心は持ち合わせていないのだが・・・


「え、でもこーゆうのって木に結ぶといいことあるっていいますよね?」

「まぁ、そういう噂もありますね」


伝統、噂扱い。コイツホント神主か?

ハッまさか、コイツの子供も東大うけるってんで俺を蹴落とす算段か?

とりあえず今は持ち帰って後で結びに来るか・・・


「わかりました。親切にありがとうございます。では、俺は勉強があるので」

「東大受験、頑張ってくださいね」


やっぱりな。その手はお見通しだっつうの!


しかし、そういって帰った後不思議なことが立て続けに起こった。

今まで部屋をひっくり返す勢いでさがしたはずなのに見つからなかったシャーペンが机の引き出しから見つかったり、なくしたと思っていた必勝鉢巻がふとんの下にあったり、勉強が異様にはかどったり・・・

そんなことが立て続けにあるもんで、俺はあのおみくじを結ぼうにも結びにいけず、そのまま受験当日、受験会場まで持っていった。


数日後。


ついに結果発表の日

今もクセか本能かあのおみくじを持ってきたが・・・


とりあえず群がる人を掻き分け自分の番号を探す。

中には見終わって泣いてかえるものも居れば、喜んで抱き合っているやつもいる。クソッ蹴飛ばしてやろうか・・・

そう思いつつも一生懸命自分の番号を探す。



――――――あった


もう一度さがしてみるが、やっぱりある。何度も確認してみる。やっぱりある!!!


「よっしゃぁ!!合格!!!!」


意気揚々と帰り、田舎の母さん父さんに電話して落ち着いたあと、このおみくじを引いた神社に自然に足が向かった。


何故ココに来たかわからずぼーっと鳥居をみているとまた


「受かりました?東大」

「のわぁ!!?」


気配無く神主のオッサンが近づいてきた。

俺も非常識な人間ではない。


「あの、アドバイスありがとうございます。おかげでうかりました」

「あぁ、それはよかった」

「これ持って帰ってからたくさんいいことがあったんですよ。あの、コレってなんか意味あったりするんじゃないんですか?やっぱり」


あれはどう考えても奇跡にしては出来すぎだと思ったから聞いてみたんだが・・・

神主は笑ったまま俺が引いたおみくじ箱を持ってくる


「前も言いましたが、大吉は持ち帰ったほうが嬉しいじゃないですか。それだけです。それに・・・」

「?」


そういって神主は俺におみくじ箱を渡す。なんだ。持って帰れてか?


「これ、大吉しかはいってませんから、運試しとかできませんし」


・・・・・・はい?


「え、じゃ、もしかしてどれをとっても・・・」

「大吉しかだせませんよ?むしろこの中から中吉とか出したほうが運がいいかもしれませんね」


いや、そこ爆笑するとこ違うくないですか?

結局、おれは一人ではしゃいでただけっつうか・・・恥かしッ!!!!!


とりあえず退散!!

しようときびすを返し、階段を下りようとしたとこでふっと思った。


「俺・・・ここで東大受けるとは一言も言ってない・・・」


なぜあの神主のおっさんは俺が東大うけることを知っていた・・・?


そう思ってどういうことか聞こうと思って振り返ったら、その先にはさっき見ていた寺とはちょっと違う寺があった。

奥にはいって神主をみつけて訪ねても、さっきと打って変ってよぼよぼ爺さんだし。

おみくじひいたら中吉だった。



数日後、俺と近くに住んでいるという先輩にあったのでこの話をしてみると、その先輩もあったことがあるらしい。

優しげな顔をして、おみくじは絶対持って帰れという謎の神主と・・・


結局先輩もなぜかわからないままその謎の神主は消えていたらしい。

しかし、どうしても謎が残るのがいやで、他にもあったという人物をさがすと、必ずその神主を見た人はその年受験に合格するらしい。


ますます謎だった。けど、


俺は非常識な人間ではない。本当は直接本人にあっていうのが礼儀だが、みつからないものはしょうがない。今度あったらもう一度言うとしよう


「俺の前に出てきてくれて、」




              ありがとう―――


本人的には前向きにいきたかったのですが、なんか変な感じに・・・ていうかすこしミステリーチックになったのは気にしないであげてください。

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― 新着の感想 ―
[一言] 面白かったです。若干展開があっさりとしていましたがきれいにまとまっていてよかったと思います。これからも頑張ってください。
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