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第一話「Like A Rolling Stone」

第一話「Like A Rolling Stone」

「うわぁぁぁぁぁぁぁ」

嬉しさのあまりに俺は友達二人と叫びながら廊下を走る。

春休みなので学校内に人気は無く叫びながら走っても誰も僕らを咎めない。

高校一年の春休み、念願の部活設立を認められた。

中学2年生の時、友達の水上琢己と空本慎一郎と俺の三人で見たさんピンCAMPというDVDを見てRAPに興味を持ち、俺と水上はRAPを始め空本はDJを始めた。

高校に行ったら軽音部などに入り三人で本格的にHIPHOPグループとして活動しようと約束していたが、ここ城東高校には軽音部などはなく一年間部活設立の為に先生に顧問への依頼などをしていた。

しかしHIPHOPは世間では野蛮なイメージのせいか中々首を縦に振る先生はいなくて雑用を押し付けられてばかりだった。

「やっほー、たくみーなにしてんのー?」

喜びのあまり廊下で小躍りしてた俺たちを呼び止める声が響いた。

同じクラスの蓮見さんだ。

少し茶色がかった髪に男女分け隔てなく明るく接する子だ、というより水上のやつ名前で呼ばれてんのかよ、俺なんて親族以外で名前で呼んでくれる女性なんていないぞ!!

「響子じゃねぇか、なんで春休みなのに学校にいるんだよ?」

こ、こいつ名前で呼ばれるだけじゃなく名前で呼ぶだと?

知らぬうちに水上は僕より遥か先のステージに進んでるらしい、チビのくせに。

「今日はねー、なんと部活動活動許可が下りたのだー!!」

「まじかよ、なんの部活だよ」

「ふっふっふー、それはねー」

「響ちゃーん」

奥から女の子が走ってくる、いやあれは走ってるのか?すごくゆっくりだけど。

「はぁはぁ、急に走らないでよ」

「ごめんごめん、ちょっと叫びながら走ってる変人を見つけたからさ」

あれを見られていたのか、なんか舞い上がってるところを見られるのって恥ずかしいな。

「友達?」

あとからきた女の子が連見さんに尋ねる、なんだが話し方や仕草が全体的にやわらかいな、のんびりというか。

「うん、同じクラスの人たち」

「はじめまして、E組の清水愛美っていいます、よろしくね」

それぞれが軽い自己紹介をし、とりあえず五人で話しながら靴箱のほうへと歩いていった。

「そういえば凛ちゃんはー?」

「なんかサッカー部の人に話しかけられてたよ、たぶん告白だと思ったから私は響ちゃんのほうへきたわけ」

「凛ちゃんモテるねー、あれっあそこにいるの凛ちゃんじゃない?」

蓮見さんが指差したほうを見てみると土井さんとさわやかな男が話していた、男のほうはみたことないしタメ口みたいだから三年生か。

「あれ告白してるんじゃない?ちょっと覗いてみようよ」

蓮見さんってアグレッシブだな、しかしみんな気になるのか静かに物陰から様子を窺った。



「悪いけどあなたとは付き合えない」

「なんで?どこが気に入らないの?教えてくれ、がんばって直すから」

「知らない人に告白されても迷惑なだけ、諦めて」

「じゃ、じゃあさ友達から始めようよ」

「今さら友達とか無理よ、諦めて」


「おいおい、あいつクールすぎるだろ恨みかうぞ」

「でも土井さんが断ってくれてよかったね、俊平」

おい空本、そんなこと言ったらみんなにばれるだろ

「えっ?もしかして城戸くんって凛ちゃんのことが」

蓮見さんと清水さんが騒ぎ出す、勘弁してくれ

「ねぇいつから好きなの?どこが好きなの?」

「おい!土井がこっち来るぞ」


「なにやってんの?」

土井さんが冷たい目でこちらを睨んでいる、どうしよう盗み聞きしてたのがバレたらイメージが、なんとかしなければ

「えっと」

「覗いて見てたなんて最低」

言い訳する間もなかった、土井さんはそのまま歩いていく、蓮見さんと清水さんは謝りながら追いかけていくがたいした面識もない俺たちは立ち尽くすだけだった。

「終わったな」

水上がポンッと僕の肩に手を乗せる、終わってねーよ、マイナスになっただけだ。



あの出来事のせいで春休みはなんだか重い気分のまま過ぎていった。

始業式、俺は水上と空本とまた同じクラスになった、中一の時からずっと同じクラスだから5年連続か、名簿を見たところ蓮見さんも同じクラスらしい。土井さんは清水さんと同じクラスで俺とは二つの隣りのクラスだ。

この日は授業もなく自己紹介をして下校となった。

しかし今日から俺は帰宅部ではないのだ、顧問となってくれた不破先生が部室を用意してくれたらしいので職員室まで三人で向かった。

「おぉよく来たね、それじゃあ部室まで案内するよ」

不破先生は社会を受け持ってるおじいちゃん先生だ、公立高校なら定年を超えてるだろう、歩くのがすごくゆっくりで水上がはやく行こうぜと煽っている。

「そういえばほかにも部活設立申請してた子達がいてね、活動内容が似てたからいっしょに活動してもらうよ」

「はぁ?誰だよそいつら?」

水上が食い気味に聞く、もうちょっと聞き方があるだろ。

「たしか君たちと同じ学年だったよ、バンドを組むとか言ってたねぇ、だから部活名はワールドミュージック愛好会にしたからね」

「せんせー、見つけたー」

不意に聞こえた声の方を向いてみるとなんと蓮見さんがいた、いや後ろにまだ人がいるなあれは清水さんと土井さんだ!!

「職員室で待っててって言ったじゃーん、さがしたよー」

「おい!もしかしてバンドのやつらってもしかしてこいつらかよ」

「あぁそうだよ、知り合いならよかった、仲良くするんだよ」

え?土井さんとおなじ部活?一年間部活設立のために頑張ったご褒美か?

「あー、春休み以来だね」

空本、なんで春休みのこと言うんだよ、なかったことにして自己紹介でいいじゃないか。

「お前ら……あの時の覗き魔か」

How does it feel

初めての執筆です、感想や助言などよろしくおねがいします。

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