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俺と君の繋がりは今  作者: 因幡の黒兎
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新たな紡ぎ

せめてここまでは投稿しておいた方がいいですよね?

余計にゆっくりになりますが第一話だけはあげてみます。

何処か緑の木の葉が生い茂る木の下で、二人の少年少女が何かを話そうとしていた……


少女は顏を下げ、赤くしながら何かを言い出そうとしている。


少年は、少女が何を言いたいのか分かっているらしく、冷たい表情をしていた。


二人とも制服である。制服姿の男女がこの状況で校舎裏にいる…… となれば、行うことは一つである


「……赤神君……あっ、あの!」


少女はついに決意したのか、自分の思いを伝えようとする。


「…………」


赤神と呼ばれた少年は少女を見ている……

しかし眼には光が無く、まるで死人のようだ。


「は、初めて会ったときから好きです! ……付き合ってください!!!」


少女はその眼に気付かないまま思いを告げる……


赤神はその思いに対し、すでに考えていた返答を率直に伝えた。


「……そうゆうの興味ないから」


赤神はその場を後にした。


少女は赤神が見えなくなってから、全身から力が抜けたかのように膝を曲げ、座り込み……


声を押し殺すようにして泣き出した。


赤神は自分の教室へ向かう。

しかしその心中は穏やかではない……


「(こうゆうのは嫌いなんだよ…… 悲しませるだけだし…… 好きなわけでもないけど…… でも……)」


先程、赤神は死人のような眼をしていると言ったが間違いだったようだ。


「(俺が…… 俺だけが幸せになるわけにはいかないんだ……)」


色々な物をしっかりと見ている。しかし自らそれを抑制している……

誰かのために、自ら生きることを放棄するかのように……

だから死人のような眼に"している"

というのが正しいのかもしれない。


赤神はふと呟く。


「……零」


赤神は絶望したかの様な暗い表情で教室へ戻っていった。


◇◇◇◇◇


少女が呼び出したのはHR前だったようで、赤神が教室に戻り、しばらく経つと先程の少女が戻りちょうどチャイムが鳴り、HRが始まる。


ここは神王学園

周りを多くの自然に囲まれた県内屈指の進学校である。


そんな進学校のため、通常転入などあり得ないのだが。


「この度、このクラスに転入してきたのは都内有数の進学校────」


教師が転入生の説明を始める。

しかし赤神はそんなことには興味がなく、窓の外を見ている。


「(今年で五人目か……)」


先程振った少女やその他の振った少女達の事を考えて、もっと優しい振り方があったんじゃないかとよく思っていた。


「────です。ではどうぞ」


ガラッ


そんな考えをしていたら教師の説明が終わったらしく転入生が教室内に入ってくる。

その容姿は一瞬でクラスのほぼ全生徒を虜にした。


「本日より、神王高等学校へ転入いたします、黒月 美咲 です。皆さん、よろしくお願いします」


丁寧な言葉遣い、毎日一時も欠かさず、隅々まで管理をしているようなそのきめ細やかな肌、絹のようになめらかな黒の長髪、見つめられるだけで心を奪われてしまうかのような優しい瞳、全体として調和がとれている見事なボディライン。


何処ぞの御嬢様にも相応しい彼女に、とある少年の眼まで引いた。


「(なっ…… 何で零が!)」


赤神は、一瞬取り乱す、がすぐに落ち着きを取り戻し


「(いや……違う……零は黒髪じゃなかった……瓜二つの赤の他人か……)」


そのまま再び窓の外へと顏を向ける。

黒月と名乗る少女と似ている彼女の事を思いながら。


「(あの方は一体何を?)」


赤神は気が付かなかった。

黒月に動揺を気付かれてしまった事に。


◇◇◇◇◇


チャイムが鳴り放課後のHRが始まる。

赤神は教師の話を聞いてはいないため、いつもの様に外を見続ける。

しかし今日はいつもと心境が違うようだ。


「(……どうしてあんなに似ているんだ)」


今日一日、赤神は授業中も、黒月の事について、そして記憶の中にいる少女について考えていた。


赤神はまともに授業を受けてはいない。

だが、教師に何か言われることはない……

注意する必要がないほどの不良、というわけでもない。

ただ純粋に赤神が天才、であるからにすぎない。


勉学にしても身体能力にしても、常に学年トップ、いや全国上位を維持している赤神に対して文句を言う教師はいない。

そのため赤神は授業中でありながら別の物事に取り組むか寝ている。


そんな赤神が窓際で何かを考えて続けても気にする教師も生徒もいない。


今となっては"いなかった"、だが……


HRが終わり皆が帰り支度をしているとき黒月は考え事をしていた。


「(あの方は何を考えていらっしゃるのでしょうか?)」


黒月は赤神が、何故自分を見たときに動揺していた事について疑問を覚えた。

もし、自分によって不快感等を与えてしまったのであれば謝罪したいと思い、それについて考えていた。

以前、会った事があるのかと思い数々のパーティーを思い出したが記憶にはない。

一番考えがしっくりくるのが、親の会社 黒月財閥によって破綻した中小会社の息子、というのだが……


「(あの方の瞳には……)」


憎しみや恨みがない。

それだけは分かっていた。


そのため赤神が一体何に動揺したのかが、HRのときから考えているが分からなくなっていた。

黒月が教室に入り赤神が自分を見たときに動揺したのは分かっている。そのため黒月自身に理由があるというのは分かるのだが……


「(失礼かもしれませんが…… 直接理由を尋ねるのでしかないのでしょうか)」


黒月は直接、赤神に動揺した理由を聞こうとしたが


「く〜ろづ〜きさん?どうしたの?そんなに考えてて……悩み事?」


黒月に話しかける少女がいた。


彼女は天乃 美子

黒月とは対象的に活発的な少女で、赤神達のクラスである2-Bのリーダー的存在である。

髪少し茶に近く、女性にしては少し短い黒髪、運動をしているためか細くもしっかりとしている身体。

そして何よりも人前では笑顔を絶やさない強い心。

そんな彼女を嫌う者など一人もおらず、天乃の意見で話し合いが決まる事もしばしばある。


そんな天乃は周りの人にも気を配っており、友人の悩み事を聞き、解決する事もある。


そのため黒月が、何か悩んでいると思ったから悩みを聞きにきたのである。


「あっ、ゴメン。自己紹介がまだだったね。私は天乃 美子。呼び方は何でもいいよ」


黒月は突然話しかけられたため少々驚きながら、警戒しながら話す。


「あ、あの天乃さん、話しかけてもらったのは嬉しいのですが……何か御用ですか?」


「いやぁ、さっきからずっと黒月さんが何か考え事をしてるみたいだから何か手伝えたならなって、そしてそのまま友達になっちゃおうってね!」


天乃は持ち前の明るさと笑顔で黒月の緊張や警戒を解いていく。


「(この方は、凄く優しい方ですね。何も裏で考えてず、全てをさらけ出すように……なら、この態度は失礼ですね)」


「ふふっ、ありがとうございます。では、神王高等学校での初めての友達は天乃さんですね」


黒月はそんな天乃とすぐに友達になった。


「友達になってくれるんだね、ありがと!そんな黒月さんには恋の悩みから対人関係、渡部のテストの点数まで、私の分かる事なら何でも相談にのるし教えちゃうよ!あっ!でも私の恋については答えられないかな〜」


「おっ、おい! 何で俺の点数を知ってんの!?」


「さあ? 何でだろうねぇ?」


クラスメイトが笑いだす。

黒月も微笑むが赤神が微動だにしないのを見た後に


「では、一つ質問してもいいですか?」


「いいよ、いいよぉ。黒月さんは何を聞くのかな? 渡部の国語の点数かな? 数学の点数?それとも一番悪い英語かな?」


「もういい加減にしてくれ! しかも一番悪いの英語じゃないし!」


「で何かな?」


「人の話を聞けぇい!」


天乃は黒月の質問がそこまで個人的な問題ではないと感じとり冗談を交えながら話を聞く。


「あの、あの窓際にいる方はいったい……」


黒月は赤神の名前さえ知らないため、少しでも赤神の事を知ってから話そうと思い、簡単だと思われる質問をしたが


「窓際っていうと、赤神の事かな? う〜ん…… 赤神についてはよく知らないんだよね……」


天乃は頭をかき、少し困った顏をして答える。


「赤神さん……ですか」


「うん、赤神 ケイ。家族構成も住所も不明。分かってるのはとんでもない天才、ということと大きなファンクラブがあるだけ、かな〜」


「ファンクラブ? ですか?」


黒月は目を丸くして質問をする。


「そう、ファンクラブ。赤神って見た目が凄くいいからね〜、この学校の女子の4割ぐらいがファンクラブメンバーらしいよ。それに、最近赤神に助けられた女の子がいるらしくてね。下校中に変な奴らにからまれた所を赤神が『邪魔だ・・・』とか言ってそいつらをボコボコにして追い払ったって聞いてる。そんな優しい一面があったという事が分かって人気はうなぎ登り。今ではメンバーはもっといるかもしれないね〜」


天乃は少しニヤける・・・が


「そうですか」


黒月はそれに気付かずゆっくりと返事をする。


「(そのような方が何故私を見て取り乱したのでしょうか……)」


赤神の事を少し知ったら、余計に赤神が分からなくなってしまっていた。

そして色々と考え出したとき天乃が


「でも、そんな赤神の事を聞くなんて…… もしかして、赤神に一目惚れでもしたのかな?」


天乃は手を口に当て小悪魔のように笑う。

黒月は肌が少し色白のためか、顏が赤くなっているのが分かりやすかった。


「いっ、いやそういう訳ではないのですが……」


「じゃあどうゆう訳なのかなぁ?」


「それは……」


黒月はしばらく天乃に尋問をされ続けた。

考えなしの見切り発車してしまいました……


どうしたらいいと思いますか?

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