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龍は私を守護してくれる ~神秘のお守りと、幼馴染との再会から始まる冒険譚  作者: 無海シロー
第二章 伝説 ~天地仁左編

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48.敵の正体

 首領の目的



「恵ちゃんたち大丈夫でしょうか?」大場は先頭を歩く番場に訊ねる。

「大丈夫だって。彩さんも一刀も強いだろう」しんがりの出雲は大場の肩を叩く。

「だけどなぁ」

「心配するのもいいが、任せろよ」なおも後ろを振り返る大場に出雲は呆れたように言う。

「そうだぞ。信頼することも大事だ」番場は頷く、

 この班分けは番場の勘がそうした方がいいと告げていたからだ。

「向こうにもトラップはあるが、この先に待っている敵に比べれば問題ないはずだ」

 堂々と歩いていくがトラップもないし、待ち伏せもなかった。恵たちの方に主力があるのではと思ってしまうくらい何もない。

「静かすぎるだろうここは」番場は後方の二人に向かってニヤリと笑うのだった。「油断させる手立てかも知れないな。気を抜かずに行こう。

 さして気にもせずに番場は進んで行く。余裕だった。


 しばらく進むと行き止まりだった。

「何もない?」大場は言う。

 ここに至るまで通路の両側には扉がひとつもない。

「どうします?」出雲は番場に訊ねる。

「決まっている」そう言って番場は革ジャンのポケットからナックルを取り出していた。

 それを右腕にはめると壁に向かって拳を振るう。

 まばゆいばかりの閃光とともに壁が崩れ破壊された扉がそこなある。

「さて奥へと進もうか。出雲、大場任せたぞ」

 中へ入った瞬間から超音波のような声がして、ヘドロのような臭いが鼻につく。

 超音波男と強胃酸男が部屋にひしめき、三人を待ち構えていた。

「「了解」」

 出雲もナックルを嵌め、大場は腰に下げていたレーザープレードを使うとまずは番場の前に出て血路を開こうとしていた。


 超音波も人をも溶かす胃酸も事前に恵と一刀から報告呆けていたので対策はしている。

 超音波男の向ける顔の向きと口の開閉を見ながら超音波攻撃を避けて、その胸元にナックルを叩き込む。

 先程の様に爆発はしなかったが、その強い衝撃に耐えられず超音波男は自戒する。

 超音波男も胃酸過多男も改造されて完全にそれぞれの意志が無くなっていた。ただひたすら相手かまわず他者に向かって自らの武器を口から放つのである。

 敵味方関係なかった。

 出雲はさほど広くない部屋の中でうごめく超音波音男だけを相手していく。

 時には後頭部と顎を掴み反動を使って首をひねる。容赦はなかった。

 大場もレーザーブレードを何本も駆使しながら彩がおこなったような遠距離から攻撃をして強酸を体内から噴出させるか、または懐に潜り込むと胸元を切り裂いた。

 そのことによって胃にためられていた胃酸があふれ出して、強酸を撒き散らしながら周囲を巻き込んで自滅していくのだった。

 出雲と大場の奮闘から奥への道が切り開かれる。

 番場はまっしぐらに進み、その奥にいるだろう首謀者を追い詰めていく。


 番場は奥の扉に辿り着く。

 自動では開かなかったので、再びナックルを使用して部屋の中へ颯爽と飛び込んだ。

 部屋の中央に天井まで届く直径一メートルほどの柱が立っている。

 人の気配は全くない。

『よく来たな』

 天井付近で何かが明滅していた。音声もその辺りから聞こえてくる。

「君がFBトリガーの首領か?」

『その通りだ。JESの手先め』

「JES由喜多支部長番場明だ」ニヒルに番場は笑う。「聞く耳もたないかもしれないが、大人しく降参して欲しい」

『我々を裁くというのか?』

「裁くのではない無力するだけだ。社会的な脅威を無くすためだ」

『脅威だと、笑わせるな貴様らの方が脅威だろう。過剰な戦力を持ちつづけ、いつ世界に向かって牙をむくのか分からないからな』

「君たちのように人類の脅威になるものに対抗するために我々は日々進化し続けるだけだ。君たちのような組織が生まれ続ける限り戦い続けるだろう」

 果てしの無い鼬ごっこである。

『我々は世界に平和と安寧をもたらすために力を付け、人類の発展のためにこの力をふるうのだ。邪魔は許さない』

「人を勝手に改造したりすることや、薬物を使った人類操作は人の意志を無視している。それは許されざることだ」

『環境を破壊し続け、人の住めない星にしようとしている奴らが何を言うか。貧富の差、社会格差を生み出し、人を正義の名のもとに虐げる者達の先兵が』

「君たちの力でそれを解消しようとはしないのか? 人の意志を無視し、人類の進化を妨げること以外でな」

 番場は柱に向かって人差し指を突き付ける。

『天地仁左の力は我々のものだ。貴様ら等に渡しはしない』

「諦めた方がいい。君たちは早田健三に裏切られている。鍵となるはずの秘宝の剣を失い、手駒も失っている」

 説得などは無理だろうが、それでも降伏を番場促した。

「君の話し方からすれば、元々君は人間だったのだろう。AIのそれではないからな。その柱にあるのは脳のみだけなのだろうな。置いた命を生き永らえさせるためにそうしたのではないかな? 早田健三らによって」

『だからどうしたというのだ。私を破壊するか?』

「破壊はしない。今までのことを全て話してもらうだけだ」

 番場は指を鳴らす。

 すると柱の明滅は止まった。

 再び、彼は指を鳴らす。

『貴様、何をした?』

「あなたはすでに孤立して、この部屋から逃れることは出来ない。ここが君の牢獄になる」

『そんな訳が無い!』しばしのタイムラグがある。『おのれ、この基地を爆破してやる』

「無駄だよ。この基地のシステムはJESが掌握している」

 番場は柱に向かってパンチを入れると柱の一部が崩れ、その中からカプセルにいれられた脳が培養液に浮かんでいた。

「視覚だけは失わないようにしてある」番場は背を向けると歩き出す。

 隣の部屋の制圧も出雲、大場によって終了していた。

「状況終了」


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