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龍は私を守護してくれる ~神秘のお守りと、幼馴染との再会から始まる冒険譚  作者: 無海シロー
第一章 伝承 ~鬼浪一族編

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17.キロウの正体

「阿義?」

 一刀は番場に訊ねる。

「ヤツらの尻尾を掴んだよ」

 笑みすら浮かべ番場は頷く。

 大祭終了後、一刀は大場、出雲とともにJESに戻っていた。

 大祭で起きていた全貌を知るためでもあったが、その一方でキロウの正体を暴くべくJESの総力を挙げて分析と調査が進められていたからである。

 三行神社周辺にある防犯カメラの映像をすべて集め分析した結果、ひと月以上前からキロウと思われる不審者達の映像が数多く見つかっていた。

「ずいぶん前から、キロウは三行神社を狙っていたようだ」

「恵が神社でキロウと遭遇していましたよね。あれは最初から恵が目的じゃなかった?」

「元々の目的は神社にあり、そこに恵ちゃんが現れたことであの時は標的が変更されたんだろうね」

「やっぱり神社には何かあるのか」

 大場が腕組みし考える。

「その割に神社からは何の届も通報もありませんでしたよね?」

 出雲は龍玄寺襲撃や雁埜家放火のような事件は神社では起きていないことを指摘する。

「神社にも表沙汰にしたくない理由があるのだろう」番場は答える。

「痛い腹は探られたくないってことか」

「龍の力とか言っても、誰も信じませんよ」

「だからこそ龍の力以外、他にも何かあるんじゃないかと思ってしまうじゃないか」

「面倒くせぇなぁ」

 出雲の突っ込みに一刀は頭を掻く。

 神社襲撃を企てた者たちが何も持たずに逃げ去っている様を映している防犯カメラの映像も発見されていた。

「独自に防衛手段を持っている可能性もあるな」

「最新のセキュリティがあの神社にあるようには見えないけど?」

 一刀は感じたまま言ってみた。

「警備会社に依頼している様子はないな。ただ技術班からは不明のエネルギー波が計測されているとの報告もあるよ」

「不明って、なんですか?」

「不明なものは不明。そう平田さんには逆切れされたよ」

 番場は苦笑いするしかなかった。

 今回の事件では技術班は相当苦労しているようだ。

「キロウの襲撃方法を考えると並のセキュリティでは太刀打ちできないかもしれないな」

「三行神社には他にも何かが眠っている。お宝?」

「龍神絡みか、それとも天地仁左か」

「それをキロウが狙っていた」一刀は考える。「大祭に関係があるとしたら……、そういえば恵は?」

「まだ神社にいるようだ」

「大祭はとっくに終わっているのに?」

 宮司が一番司に大剣を渡した時点で大祭は終了なはずだった。午後からは町内を神輿が練り歩くのと奉納の舞が行われているはずだが、司の役目は終わっているはずだ。それ以外に神事が行われるという話は聞かないし、一刀は知らない。

 誰か付いていなくて大丈夫なのかと一刀は番場に問いかける。

「恵ちゃんなら大丈夫だろう」

 念のため監視の連絡員は神社に残してきた。

「根拠はあるんですか、番場さん?」

「勘でしかないがね」番場は肩をすくめる。「三行神社には恵ちゃんを害するものはいないはずだ」

「それにしても、たいしたものだよ、恵ちゃんは」大場は頷く。「大の大人ですらきつい儀式を成し遂げて、一番になるんだからな」

「まあ、あいつは昔から体力バカなところはありましたからね」

 小学生ながら大人に混じって龍玄寺の石段を走って何往復もしたことすらあったのだから。

「あの石段をか?」

 出雲も呆れる。

「それでも、あいつが一番司になるとは思いませんでしたが」

「下馬評では守護地区の司の方が有利とされていたようだからね」

「恵ちゃんの活躍が、三行神社の内情を知るきっかけになればいいのだが」

「本殿で何が行われているのか気になりますね」

 連絡員を配置していたが、本殿の中にいるであろう恵の様子まではうかがい知れなかった。

「そっちにも踏み込んだ方がよさそうな気がする」

 一刀はそう口にした。

「そうしたいところではあるが、私たちが行ったとしても何も得られないだろうな」番場は逃げられるかかわされてしまうだろうと苦笑する。「それよりも問題はキロウだ」

「恵ちゃんに危害を加えるだけではなく、大祭をもぶち壊そうとしていた」

 大勢の人を巻き込もうとしていたことに大場は憤慨している。

「大剣が欲しかったのか?」

「あれって恵に聞きましたが、一番司がもらう大剣は木製の模造品だということですよ」

「今回は本物が出るのかもしれない」

「まさか」

「恵ちゃんにそれを渡したくなかったということも考えられるな」

「たとえ剣があったとしても、それが何になるんですか?」

「裏の儀式でもあるんじゃないか?」

 一刀の問いかけには出雲は鼻を鳴らし答えた。

「それにしても大型トラックまで用意しているとはね」

「最後の手段だったのだろう」

 大祭自体を無かったことにでもしようとしたのだろうか?

「宮本に化けたとしても、すぐにばれるようでは意味がない」

 それが分かっていても宮司が最後まで大祭を止めようとしなかったことは解せなかった。

「宮司の対応も問題だが、キロウは雑すぎる」一刀に出雲も同意する。

「それだけ焦っていたということだろう」と番場。「だが、そのおかげでキロウの尻尾を掴むことが出来た」

 暴走させたトラックからJESは手掛かりを得た。

 ほんの些細なことではあったが、そこから正体にたどり着くことが出来たのである。

「それが阿義?」

 一刀の言葉に番場は頷く。

 阿義総合武術道場。

 剣術や格闘術を教える道場で、早馬の三階建てのビルの屋上にその看板は掲げられている。

「あそこですか」一刀は顔をしかめる。「胡散臭いし、他の流派にケンカを売りまくっているって話ですよ」

 事実、一刀は龍玄寺にも阿義の連中が現れ、道場破りまがいの行為を行っていったことがあると師範代から聞かされたことがある。

「最近、噂を聞かなかったけれど、まだ道場は続いていたんですね」

 道場に通わせていた保護者らからの苦情もあり、未成年者の入門はなくなったと聞いている。

「どうも裏の筋と繋がりがあるようだ」

「武道家としては最低ですね」

「館長は阿義幻斉」

 年齢は五十一歳。

 モニターに映し出された写真を四人は見る。

「こいつが親玉?」

「だろうな」番場は頷く。「革命家を名乗り、若い頃は南米に渡りゲリラとして戦っていたこともある。公安もマークしている人物だ」

「ようするに危険人物ですか」一刀は呆れる。「こいつで決まりじゃないですか」

「阿義がどこで、鬼浪や天地仁左のことを知ったかだな」

「鬼浪の末裔なんでしょうか?」

「調査中ではあるが、その線が強いとみるべきだろう。阿義の家は元々武士の流れであるらしいからな」

「寝た子を起こしたのが何だったのかは知らないけど、そのまま眠っていてほしかったよ」

 一刀はため息をつく。

「さらに裏で動いているものがいる可能性もあるな」

「番場さんそれは」

 番場の呟きに出雲は反応する。

「暗躍している連中が他にもいるんですか?」

「可能性の話だ、一刀。阿義幻斉が鬼浪として企てたことだとしても、あまりにも少人数すぎるからな」

「そのために大きな力が必要だったんでしょう?」

「ただの伝承、宝くじよりも低い確率だったかもしれないがな」

「たとえ、阿義を炊きつけた奴がいたとしても、ここでうだうだ話をしていても始まらない」大場は関節を鳴らす。「直接聞くしかないでしょう」

「そういう方向になりますか」

 一刀は顔をしかめる。

「行くんでしょう?」

 大場は番場を見る。

「オレもですか?」

「何のためにここにいる? この四人で行くに決まっているだろう」

 出雲は突っ込まずにはいられなかった。

「令状はないが、証拠は現場で見つけるさ」

「乱暴だ」

「そんなの待っている暇があるか?」

「ないですね」

「それに俺たちは正義の味方だ」

「へ~いぃ」

 素直に面と向かって返事をするにはまだ決意が足りない一刀だった。

 番場が立ち上がると、大場と出雲がそれに続く。

 一刀は面倒くさそうに立ち上がると、彼らとともに部屋を後にするのだった。

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