表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/1

Act.1 鋼の少女と漆黒の魔王

作者より:

はじめまして!JUPITER製作委員会です。

小説を書くのはなにぶん初めてなので…

小説というよりは、映画の脚本みたいな書き方になってしまいましたがお許しを。

未熟で大変申し訳ありませんが、お楽しみいただけましたら嬉しいです。

よろしくお願いします。


プロローグ


――暁の空に、赤い閃光が走った。

それは、魔法でも科学でもない「第三の力」の目覚めを告げる信号だった。


惑星JUPITERには、ふたつの法則が存在する。

魔力によって形づくられた世界と、物理法則に従う科学の世界。

何千年にわたって並び立っていたふたつの文明は、いま――戦争の只中にある。


魔族。彼らは魔力によって大地と命を支配する種族。

その頂点に立つのが、魔王ミーティア=モス。見た目は少女だが、38億年以上の時を生きた最強の存在。


そして、人類。科学を武器に立ち上がった者たち。

彼らは科学の粋を結集させ、感情を持つ少女型戦闘用アンドロイド「メティス」を創り出した。


さらに世界の均衡を保つ最後の希望として立ち上がったのが――

若き勇者、アイル。人類にとって救世主とも呼ばれる存在だった。


「魔族との和平交渉はすべて失敗に終わりました。このような手段は取りたくはないが、仕方がありません。我らが力を示すときです。

立ち上がりましょう。人類、そして我々の未来のために!」

――湧き上がる歓声。アイルの行動と言葉は、いつも人々を希望で満たした。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・



「作戦コード:エクス・ゼロ開始。対象座標 ニ 

〈メティス〉ヲ 投入」


――時刻、08:34。気温15度、風速3m。

魔族前線領域、第七層空間、カッシーニ平原。


鋼鉄のカプセルが天空から撃ち出され、赤い尾を引いて落下していく。



中には一人の少女がいた。

その瞳は深い紫色。無表情だが、どこか儚げな雰囲気を漂わせている。

彼女の名は――メティス。

人類が魔族に対抗するために創り出した、唯一無二の「心を持つ戦闘用アンドロイド」である。


「命令:敵 最新型ドラゴン部隊ノ殲滅。 

任務失敗時 自壊プロトコル ヲ 起動セヨ」


メティスは自らの使命を反芻するように、頭の中で繰り返す。

彼女は命令に従うだけの兵器ではなかった。

しかしそれでも、「なぜ自分が戦うのか」はまだ理解できていなかった。


着地と同時に、周囲の空間が揺れる。

濃紫の霧が立ちこめ、ドラゴンを従えた魔族の尖兵たちが次々と現れる。


「対象、十二体……殲滅開始」



メティスの紫の瞳に赤色が宿り、戦闘モードに入った。

数分後、地に伏すドラゴンたち魔族の影――メティスの動きに迷いはなかった。

戦闘モード解除。


だがその時。


――音楽が聞こえた。


地面の下から、まるで地鳴りのような重低音。

異常だ。分析不能の周波数。攻撃とも違う。

そして次の瞬間、空間が割れた。


「Hey! 今! 黙示録級ソロパート突入しとるがや!

邪魔したらその場でヘドバン強制参加だがね!!」


紫電をまとう黒衣の少女が、ギターを引っ搔き重低音に乗って空から舞い降りた。

禍々しい山羊のような角に、鋭い八重歯。


魔王、ミーティア=モス。


見た目は少女そのものだが、彼女がこの戦線の主であり、魔族の王であることに疑いはなかった。


メティスは即座に戦闘モードを切り替える。

敵性存在。即時排除対象。

だが。


「おみゃあ……アンドロイド、かや? 人類もどえりゃあもん創り出したね。名前は?」


「……メティス」


「ふぅん……にゃるほど、きゃわええ顔して鋼鉄のハート」


魔王がゆっくり近づいてくる。

魔力の波動が空間を歪ませ、周囲の時間すらもねじれたかのように感じられる。


「ねぇ……おみゃあ、音楽、好きかや?」


その問いに、はしばし沈黙する。

応答すべきか、情報なのか、罠なのか。

しかし、気づかぬうちに口が開いていた。


「……メタル ハ ……心地ヨイ 振動」


魔王は目を丸くし、数秒後に破顔した。


「うっひょ!でらやべー!気ぃ合うじゃん? 今日からおみゃあ、ウチに来りゃあて! 戦闘とかどうでもええかんね、よけりゃあバンドとか組まんきゃ?!」


そして、メティスの視界が白く弾けた。

魔王の空間魔法によって、彼女は一瞬で転移させられた――魔族の本拠地、深紅の玉座へ。



一方その頃。

人類の指揮本部では、彼女の消失信号にざわめきが走っていた。


「消えた? あのメティスが、魔王によって連れ去られた……?」


司令部に混乱が走る中、ただ一人、落ち着きを崩さない男がいた。


白い外套に身を包み、瞳に静かな炎を灯した青年。

彼こそが、若き勇者――アイルであった。


「やはり動き出しましたか、魔王。

メティスを取り戻さねば――」




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ