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この作品には 〔残酷描写〕が含まれています。
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~妖怪~奇怪な能面師

作者: キシ
掲載日:2010/02/21

短編第二作目です。

少し、ぐだぐだですがどうぞ。

怪。

妖怪。

魑魅魍魎。

世の中、科学では解明できない事象が数多い。

しかし、世の中こんな諺もある。


『火の無いところに煙は立たない』


そう。噂になるならばそれなりの事があるもの。

無論、妖怪の類もね・・・・・




今宵・奇妙なお面使いのお話を御覧入れましょう。どうぞごゆるりと・・・・・・・











人が多く行きかう街・東京。

右を向いても左を向いても人、人、人。

この町ほど怪事件とは無縁なところは無い。


しかし、そんな最先端の町とは無縁な格好をした男が一人。

藍色の甚平を纏い、時代外れのから傘を広げ、履いた下駄を鳴らしながら東京の町を歩いていた。

時折、口にした煙管を吹かしながら・・・・

生きかう人は、そんな男を横目で見て、『変な人』という目で見る。

そして、男が空を見上げて一言・・・・


「おやまぁ・・・。こんな、大都会に怪(あやかし)の香りが・・・・。一仕事しますかな。」


そう言い、男は足を動かし何処かへ向かう・・・・





雨が降りそうな、空。

学校の窓からそんな空を見る一人の女子学生。

彼女の名は・大鳥 比奈美(ひなみ)

どこにでもいる、ごく普通の女学生である。


「比奈美。今日の帰りカラオケ行かない?」


比奈美の友達が彼女を、遊びに誘う。

しかし、それを生活指導の教員が止める


「おい、お前ら。帰りはまっすぐ帰れ。最近通り魔事件が多いんだ。お前らだって狙われないとは限らないんだぞ。」


そう、この東京では、最近謎の通り魔事件が多発している。

犯人は当然のことながら不明。

事件に有った被害者は何れも、口では言えないような姿で発見されている。

しかし、全員に共通して同じな被害があった。それは、『皆顔面をそぎ落とされている事』

単なる狂気の犯罪なのかは不明であるが、今のお茶の間を騒がせるには十分な事件であった。


「は~い。分かりましたよ。センセイ。」


比奈美達はとりあえず返事だけはするが、まっすぐ帰る気など無かった。



放課後、少し暗い雲がかかっているが、雨は降る様子はない。

比奈美達は、先刻話した通りにカラオケに行く事にしていた。


「さー!歌うわよ!!」


比奈美の友達がそう、はしゃぐ。


「ねぇ、比奈美。あの人おかしくない?今時、紙性の傘だよ?それに甚平に下駄。変なの~。」


比奈美の横を歩く友達が目の前から近づいてくる男の事を、小声で笑う。

そして、男が比奈美達の近くまで近づくと、足を止める。


「もし。少し、よろしいですか?」


男が比奈美に話しかける。


「え?は、はい。」


「この、近くでマッチを扱っているところはありますか?何分火を切らしてしまいまして。」


懐から煙管を取り出し、比奈美達に見せる男


「そ、それなら、この先にコンビニがありますよ。」


「それはご親切に。では、失礼します。」


比奈美達を横切る男。

そして、背中越しに男は比奈美達に一言


「そうそう。今日は、早めにお帰りになった方が良いですよ?最近はいろいろと物騒ですから・・・。」


「?」


それだけ言うと、男は再び歩き出した。

そして、比奈美達も歩き出した。




数時間後。

比奈美達はカラオケを満喫し終えた後だった。

そして、外はすでに暗くなっていた。


「あぁ~。面白かった!」


「もう、喉が掠れちゃったよぉ~。」


枯れた声で話す友達達。

街灯が照らす夜道を歩く比奈美達。


「でもさぁ、さっきの男の人。あの人なんかおかしかったよね?」


「うん。もしかして、あの人が最近の事件の犯人だったりして。」


「まさかぁ~。」


そんな、憶測を話しながら比奈美達は帰り道を歩いていた。








「おやおや。人の忠告を受けずにこんな時間まで。」


外套が切れた電柱の上に立つ甚平の男。

口にした煙管を吸い、自分の下を歩く女学生達を見る。


「・・・・・そろそろ、ですかね。」


そう言い、男は電柱の上から姿を消す。

それは、まるで陽炎のように・・・・






「じゃあね、比奈美。」


「うん、明日ね。」


友達と別れ、一人帰り道を歩く比奈美。

しかし、何時も何にも感じなかった帰り道のはずなのに、何か不安に感じていた。

昨日まで、何にも無かった街灯が所々、電気が切れている。

しかし、全てと言う訳ではなかった。


「・・・・・なんか、今日は怖いなぁ・・・・」


一人である事と、いつもと違う帰り道に不安が積もっていく。

そんな時だった。

前から、一台の自転車が近づいてくる。

乗り手の服装を見れば、彼女の不安はすぐに消えた。

そう、自転車の乗り手は警官だったからだ。

最近の怪事件のためか、こうして警官が多く町のパトロールをしている。


「おや?君、こんな時間までどうしたんだい?」


一人歩く比奈美に声をかける警官。


「友達と遊んでて、今帰る途中なんです。」


「そうですか。・・・・最近物騒ですから本官が自宅まで御同行いたします。」


そう言い、警官は自転車を降り、比奈美の横について歩き出す。


そんな警官に行為に、比奈美の不安は大分晴れた。

一人では無いというだけで、これほど安心する時は無かった。





しばらく歩くと、自分と警官以外に足音が聞こえてきた。

足音、と言うより、下駄の独特の音だ。

つかず離れずの距離を保ち、その下駄の音が聞こえる。

再び、比奈美に一つの不安がよぎる。



『さっきの男の人が、事件の犯人とか?』


友達が冗談で言った言葉が、冗談に聞こえなくなった。

そんな時、小さな声で警官が比奈美に話す。


(もう少ししたら、走ります。)


(・・・・・はい。)


警官の言葉に声だけで答える比奈美。



街灯が消えている電柱の下に着た瞬間。


「走って!」


警官の声を合図に、比奈美と警官は走り出した。

警官は、押していた自転車をその場に残し、半歩遅れて比奈美の後に続いて走る。


後ろをついてきた下駄の主も、2人を追うように駆ける。





どれほど、走ったのか。

比奈美自身にも分からなかった。


息も上がり、足を止めて、呼吸を整える。

後ろを見ると、警官も居た。

全力で走っているのにも関わらず、少し呼吸が荒れている程度だった。


「・・・・どうやら、巻いたようですね。」


「は・・・・い・・・。」


荒れる呼吸の中、返事をする比奈美。

安心した。ひとまずの危機を脱したからだ。

しかし、


「ですが、おかしいですね。結界を張っていたので人が居るはずがないのですが・・・。」


警官が後方を見ながら、何かを話す。


「結界?」


警官の言った単語を復唱する比奈美


「えぇ。人に見つかると面倒ですから、私が人を襲う時は必ず結界を張るんですよ。」


比奈美の背筋が凍りつく。

なぜ?

少なからず、この警官と一緒に居る事が危険だと、本能が告げていた。


「あぁ。逃げても無駄ですよ。それどころか、叫ぼうと誰も来ませんから。」


警官からゆっくり離れる比奈美。

それを追うように、警官が近づく。

被っていた帽子を脱ぎ、見えた顔は、人でならばありえなかった。


警官の顔は、まるで液体が垂れるように剥がれ落ちていく。その、『液体』と一緒に目、鼻も一緒落ちていく。

唯一残った機関は口のみだった。

しかし、その口も三日月のように口角が吊り上っている。


警官の顔は無かった・・・。


人ではない。


比奈美の足が止まる。逃げようと思っても足が動かなかった。


「さて。貴方の顔を頂きますか。・・・・・御覧の通り私には顔が有りませんから、私に似合った顔を集めているんですよ。」


顔の無い警官の手が比奈美の顔に伸びる。


逃げようにも足が動かない比奈美。

恐怖に耐えきれず、彼女の眼には涙が浮かぶ・・・・


















しかし、警官の手が比奈美に届く事は無かった。


「?????あれ?私の・・・・腕は?」


警官は何が起きたか分からなかった。

それは比奈美も同じだった。

風が吹いたと思ったら、警官の腕が無くなっていた。


数秒後。空中から警官の腕だったものが降ってくる。

それと同時に、警官の腕の断面から血ではない液体が溢れ出る。


「ぎゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」


獣の悲鳴に酷似した警官の悲鳴。

空を見上げる比奈美。

月明かりを背に、電柱の上には一人の人物が。

顔には、能面に使う狐の面。

右手には怪しく光る刀。

左手には、時代外れな紙性に傘。

甚平を来た人物が、電柱の上に立っていた。


「貴様ぁぁぁぁぁぁぁぁ!!どうやってこの結界の中に!!」


警官の問いに答えない男。

代わりに、電柱の上から飛び降りる。

重力を無視したように、優雅に着地する。


「・・・・・哀れな妖怪の魂、ここに切り捨てん・・・・。」


「ほざけ!!」


男に襲いかかる警官。

切られた腕の断面からは、触手のようなものが生え、男に襲いかかる。

それを、神速の剣捌きで全て切り落とす男。


「己が欲求のために、罪なき者を殺めた罪。妖怪・のっぺらぼう。貴様に、裁きを言い渡す。」


甚平の裾で、自身の顔を隠す男。

顔を見せた時、男の顔の面は狐ではなかった。



鬼の面。


「貴様の魂・閻魔の槌にて砕かれよ。」


「ひぃ・・・・!」


警官が、後ずさりする。

そして、脱兎のごとくこの場から逃げ出すが・・・・・



三歩だっけだった。

たった三歩駆けた瞬間。

警官の体は、宙に舞った。


何時の間に移動したのか分からなかった。

般若の面をかぶった男は警官の居た場所に立っていた。

そして、比奈美の頭上には、男が持っていた傘が浮いていた。



「・・・・・今宵、妖怪の雨が降ります。お気をつけよ。」


男がそう話、刀を振ると、宙に浮いていた警官は、液体の雨に変わった・・・・・・














放心状態な比奈美。

切り裂かれた警官の亡骸はどこにもなく、血ともつかない液体の痕跡すら無くなっていた。


「ご気分はいかがですか?」


傘を手に取り、傘の中に刀を仕舞う男。

鬼の面はいつの間にか無くなっており、素顔が見えた。


「だ、大丈夫です。・・・・・・あの、さっきのは・・・」


懐から煙管を出し、吸い始める男。


「妖怪ですよ。人を襲う、悪質な。」


「なら、貴方は?」


比奈美に背を見せる男。


そして、振り向く時、彼の顔には面が・・・・


「なぁに、ただの妖怪を裁く事が出来る能面使いですよ。・・・・・・・それと、申し訳ありません。妖怪に関わって、生きていた人は・・・・・・死んでしまうんですよ。」


「え?」


比奈美に背を向けたまま、歩き出す男。











あの人、何を言ってるの?

私が死ぬ?

あれ?

視界が変。私倒れたのかな?あの人が横に見える。

なんか・・・・・意識が・・・・・と・・んで・・・・く・・・・・・・













煙管を吹かし、歩く男。

手にした傘。中に仕込まれている刀を仕舞い直し、隙間から、先刻切った女性の血が流れ出る。


「一つの妖怪を消したならば、一つの妖怪を作る。・・・・・さて、あの子はどんな未練を残して、どんな妖怪になりますかな・・・・。」


人が寝静まる夜。

男の下駄の音が小さく響く・・・・

ホラー物を書いてみたいと思い、『モノノ怪』と『地獄少女』を見た結果、こんな感じになりました。

しかし、完全オリジナルは難しい。

もう少しネタを煮詰めてから、書けば良かった・・・

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― 新着の感想 ―
[一言] 最後が少しひんやりくる感じが私は好きです! そして、地獄少女おもしろいですよね!
[一言] 切ない終わり方ですね。 でも設定は面白いので、ぜひもっと修行していただいてオリジナル作品を煮詰めてください。 ちなみに『般若』は女性のことです。 男性だと単純に『鬼の面』の方がいいですね。 …
2010/02/21 01:54 退会済み
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