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気怠くにじむ

掲載日:2024/04/13

 ここのところ暑さが見え隠れしていた。別に自暴自棄な気分ではなかったが、早めに稼働させた扇風機が首を左右に振っているのを見ていると、僕は自分が消えてなくなることばかり考えるようになっていた。回転している羽に切り刻まれて、自分の破片が遠くへ吹き飛ばれる妄想。この妄想は案外、清涼剤であったりもする。そうして僕は四六時中、自分が消えてなくなるイメージが頭から離れなくなった。

 暑さに馴染めないまま過ごす休日は、眼球の裏から血が噴霧するような気怠さで扇風機のカバーを外し、回転の激しい羽の中へ頭を突っ込んだ。意外にも血が床を汚すことはなく、僕の体は骨など入っていなかったかのようにすんなりと進んでいった。そして羽の向こうへ通過するころには僕の体はすっかり消えていて、替わりに細かいシャボン玉が、いくつもの僕自身として扇風機の上をぷかぷか浮いていた。後ろにまだ残っていた下半身も、きれいに扇風機の回転に飲みこまれ、その先でシャボン玉ができるたびに濡れた唇を弾くような音が連発する。生まれているのに弾けているのだ。どのシャボン玉の部分でそんな感想を持ったのか知らないが、風に吹かれて窓を出ていく僕や、それを眺めているだけの僕が浮かんでいた。

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