オーリゴ・ノウ
「ところでユナトさん、あなたさきほど何か言いかけてませんでしたか?」
クロウさんが聞いてきた。
「えぇっと、オリジナルを研究...?探す...?みたいなところに所属していました。」
「あんたそれってオーリゴ・ノウの人間?」
「なんですかそれ?」
「あんた知らないの!?いや所属してたと言ったわね。クロウ捕らえて!」
その一言でクロウさんからとてつもない魔力を感じた。
感じたというよりも莫大な魔力の塊がクロウさん自身から溢れ、具現化していた。
「私も本能的にというか感じる部分があって良かったです、お嬢様。」
「私はシュヴォーさんを呼んでくるわ。まだそう遠くには行ってないはずだから。今日はラッキーな日ね。」
「ではユナトさん、おとなしく捕まってもらいます。」
お嬢さん...いや、ヴァジェさんはそういって見た目からは想像できない速さで家の敷地を出ていった。
オーリゴ・ノウって本当に何なんだ。
っえ!
横から黒い棒が飛んできた。
「ユナトさんあなた相当危険な人間ですね?」
「何するんですか!?当たったら危ないじゃないですか!」
「オーリゴ・ノウに所属されていたということは相当な手練れ、この『執事』クロウ、お嬢様が戻ってくるまでの間あなたを拘束します。」
「本当に知らないのに...。」
クロウさんは見た感じ魔力で何かを飛ばしてくる戦闘スタイルだと思う。
目に見えるほど濃い魔力、あれに直接触れるのはもっと危険そうだ。
「一の手。」
やばい、何か来る!
クロウさんから鋭い何かを感じた。
村で戦った魔獣は、短剣を飛ばして魔法に耐性があったように見えた。
さっき飛んできた黒い棒は仕掛けがあると考えている。
遠くの方で棒から魔力を感じる。
「二の手。」
魔力が消えた!?
違うこの感じは圧縮されているのか。
次が来る前に先手を打たなくては。
何を使う。
魔法か剣か。
俺とクロウさんの距離はそこまでは離れていない。
「クロウさん少し眠ってくれ。」
俺は魔獣に使った炎の魔法を使った。
「これは...!でも熱くないですよユナトさん。いくら炎の魔法を使っても魔人である私に...は!?」
クロウさんは驚いた表情をして片足をついた。
「これは驚きました。長年生きていたこの私でも知らない炎ですか。
流石ですね、所属していたとはいえ見たことのない魔法を使ってくるとは。
これは何の魔法ですか?しかも無詠唱、やはり...。」
良い案を思いついた。
でも時間を稼がないと...。