中央魔都、情報局
「ヴァジェさん、クロウさん、いつものやつです。おや、そちらの人間は?」
ここにいる誰よりも大きく、細めの体をした謎の人がいた。
「そちらは中央魔都、情報局のシュヴォーさんで、主に地方に住んでいる私たちのような者に、気になるトピックや事件などを伝えてくれる魔人よ。私たちよりもそれは強いわ。」
「はい、私はシュヴォー。主にサンディ村周辺を担当しています。ここの次はサンディ村に行こうと思っています。それでこの人間は?ここは中央魔都から離れていて、人間領とも近い場所ですが、なぜ人間がここに?」
嘘はつかないほうが身のためだろう。正直に言おう。
「俺の名前はユナト、記憶をなくしていたが半分ほど取り戻した。年齢は23歳で妹と弟がいたと思います。魔法を使ったり、多少の剣技などを使います。」
「人間にしては珍しいですね。」
「シュヴォーさん?でいいですか。」
「あぁ、普通にシュヴォーでいいですよ。何か?」
「先ほどここの後にサンディ村に行くとおっしゃってましたが、俺がここに来る前に通りかかったときは燃えていたというか、燃えた後で魔獣がいました。俺も知ってる村だったので魔獣は倒しましたが、村人とかはいませんでした。」
「おやおや、それはちょっとまずいですね、魔獣がいて村は燃え尽きていたと。」
何かにメモをしていた。
「サンディ村が燃え尽きていたの?あそこの料理大好きだったのに、悲しいわ。」
「レシピは知っておりますので再現可能でございます。」
「あそこの村で作られたのをそこで食べるからおいしいのに、クロウあなたわかってないわね。」
後ろでぶつぶつ言っていた。
「魔族領に滞在するのですか?」
「えぇ、もしかしたら今後の生活にもよりますが長く滞在するかもしれません。」
「ではこちらに名前を記入してください。」
そういって魔族領滞在許可書と書かれた紙を渡された。
とりあえず悪い人ではなさそうだったので、名前を書いて渡した。
「ありがとうございます。ではサンディ村の件とあなたの許可書の件、いったん魔都に持ち帰らせていただきます。ではまた後程。」
そういって俺にお辞儀をし、二人には手を振ってそのまま行ってしまった。