自己紹介
家の中にお邪魔させていただくと、外見からは想像できない...いや、なんというか汚...くない、えー、そう個性的な部屋が広がっていた。
左手前には古い本が多数散らばっており、奥には横長い椅子に人が寝ていた。
「ヴァジェ様お客様です、それも人間のおそらく私よりも強い。」
何言ってんだこのじいさんは、あんたの方が強いだろこういうのは。
じいさんの言葉に寝ていた人は体を起こしこちらを向いた。
うん、どっからどうみてもそこら辺の女の子にしか見えなかった。
「あぅーん。客?ようこそわたちの...私の家へ。」
噛んだな。寝ぼけててかわいい。
「ヴァジェ様、人間ですよこの旅のお方は。」
「人間だとやはりまずいですかね?」
「そのなんというかヴァジェ様は...」
「に、人間!?」
凄い速さで俺のもとに駆け寄ってきた。
「いまさら何よ!もう渡すものは何もないわ。さっさと帰って頂戴。」
「ヴァジェ様、このお方は私が招待した人間です。」
「クロウが言うんなら安心できるわ。あなた名前は?」
なんか見た目に反して慌ただしいやつだな。
「あ、こういうのは先に名乗ったほうがかっこいいって聞いたことがあるわ...」
ぼそぼそなんか聞こえた。
「まぁ、まずは私から、私は『名無し』のヴァジェ・エルド。魔族で魔法の研究を仕事しているわ。」
「そのヴァジェ様に仕える『執事』のクロウ・エルドです。ヴァジェ様の身の回りやこの家の管理など幅広く仕事をしています。数日ですがどうぞよろしくお願い致します。」
そんなきちんとした挨拶されたら俺もちゃんとしたやつを名乗らないとな。
「記憶を最近おおまかに思い出したので抜けているところはあると思いますが、
俺はユナト、年齢は23歳で妹と弟がいたと思う。確かオリジナルを...」
オリジナルをと言った瞬間激しい揺れが来た。
何かが迫ってきているそんな気がした。
俺の肩がトンと押された。
後ろを振り向くと仮面をかぶった何かが立っていた。