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まさかの裏切り

「待ってたぞクロウさんと...ん?知らない人たちがいるな。仲間を呼ぶのは賢い選択だ。」

「われは『戦団』のミューン、魔族総将である。今すぐ降伏しろ。おまえが伝説の《古今魔法創造協定》に所属し、その幹部と名乗る者か。はっきり宣言しよう。その龍の一声は我には通用せん。そしてわれがここにいる限り発動しないということもな。ちなみに昔の事件でわれはおまえの仲間である『不遇』のキーンを討ち取っている。今宵も討ち取って見せよう。」

「キーン?誰だそいつ。俺たち幹部のやつにそんなやつはいない。それに幹部クラスのやつはこの指輪を装着している。もしかしてそいつ、ネックレスを身に着けていなかったか?」

「あ、あぁ。銀色のネックレスをしていた。それがどうしたというのだ。」

「銀色のネックレスは下っ端の証、金色の腕輪をしているやつは組織を脱退したやつら、そしてこの数字が刻まれた指輪を持っているのが幹部と幹部クラス。ざっとこんな感じだな。」

「そ、それではあの強さで下っ端だったとでもいうのか!?」

「そもそもあの戦い...いや殺戮において俺らはいなかったし、ただの下っ端育成の場にしか過ぎなかったしな。」

「そ、それじゃあ我は.........いやまて、そうだとしたらおまえは!?なぜリストに記載されていなかった!?」

「リストとは何のことだか、それよりもいいのか?今話をしている間も刻一刻と時間は進んでいるんだぞ。あとどのくらい持つかなぁ。俺は何の手出しもしないと約束しよう。ほら、頑張りな。」


あと5分ぐらい経つと発動する。

俺は有言実行だ。手はださない。手はね。

自然豊かな土地を消滅させてしまうのはなんだかもったいない、そんな気分になってきてしまった。

アレは俺には効かないが万が一、あいつらが対処できなかった場合、俺は助けてしまうだろう。

ミューン。どこかで見たことがあるようなないような...。もやもやするなぁ。

おっと、やっと動き出したか。


「我は今からこの身を懸けてこれを止めようと思う。これは我が決めたことだ。口出しは厳禁じゃぞ。

我はこれの対処法を知っておる。知っているがやったことはない。だが、必ず成功する。だから我が逝った時、この化け物をみんなで止めておくれ。ではいくぞ、魔素解放!」


ミューンの魔素が上昇しているだと。面白い、俺の知らない魔法がまだまだあるだなんて、やはりこの女相当のやり手だな。なるほど魔素でこれを包み込むのか。だがそれがどうした。


「今話しかけるのは流石に失礼だと思うが、はっきり言おう。ミューンとやら、今何をしようとしてるんだ?」

「くっぅう!!」


今はそれどころじゃないみたいだ。

他の人達に聞いてみるか。俺は近づいて聞いてみた。


「クロウさん、ヴァジェさん、シュヴォーさん、それにえぇと、なんか武装してる人たち!これは今何をしてるんだ?」

「あんたよくもまぁ、この状況で聞こうと思ったわね!」

「お、お嬢さまおちついてください。」

「落ち着けられないわよ!」

「ミューン様が魔素解放を行っているのでおそらく成功するかと。」

「ほう、魔素解放か。聞いたことないな。」

「ちょっとお待ちくださいユナトさん。」


そういって俺のもとから離れていき、2分ぐらいしてまたこっちに戻ってきた。


「条件があるわ。」

「条件とは?」

「魔素解放について説明してあげるわ。」

「ふむ、その言い方見返りがあるな?」

「えぇその通りよ。あんたが知らない未知の魔法を教えてあげる代わりに、あんた捕まってもらうわ。

それも無抵抗で。どう?あんたなら多少融通が利くと思ってこの条件にしたのよ。」


知らない魔法を知ることができる代わりに身体を拘束させられどこかへ連れていかれる...か。

どうしようかなぁ。無抵抗はきついか。


「いや、流石に無抵抗は嫌だね。そのかわり俺は攻撃をしないことを約束しよう。」

「それだと対等にはならないわ、それほど命を懸けるほどの魔法よ。」

「そうか、ならさらに俺がいた組織の話をしてあげよう。どうだ?」

「っ!?」


おっ?いい反応だな、組織を抜けた俺には知らんこっちゃなことだからな。喋ってもそんな有益な情報はあまり無いだろう。これがダメだったなら、この交渉には乗らん。さぁどうする?


「.........いいわ。それで手を打ちましょう。」

「オーケー、それでその魔法の話はいつ聞かせてくれるんだ?」

「ミューン様の魔法が成功してあなたをある場所に案内した時よ。」


今じゃないのか。はぁ、めんどくせえな。命に関わること、命を懸けること、そんなに命が大事か。

魔法を対価に持ってこられたのは痛手だな。


「あぁ~、わかったよ。それでいいだろう。で、ミューンとやら大丈夫か?」

「な、なによ、ミューン様がどうしたの...ってミューン様!?」


ドラゴンブレスには青白い濃厚な魔素で包み込まれて、徐々に小さくなっていくのが目に見えてきたが、ミューンは吐血をして横に倒れている。呼吸も苦しそうに見えるな。

ヴァジェさんはミューンのすぐそばに行こうとしているみたいだがミューンの身体に纏わりついている魔素で近づけないのか。


「クロウ!ミューン様がこのままじゃ死んじゃう!」

「お嬢様、ミューン様はわたくしたちに重大な使命を与えてくださいました。意思を尊重するべきです!」

「でもそれって死んじゃうってことじゃない!」


出会って2,3時間ぐらいの間に起きたことだからか、まだ情とかがなぁ、でももやもやするんだよなぁあの女。

俺は近づく。


「ミューン様を殺すの!?やだ、いやよ!ミューン様は生きてほしいの!!」

「ユナトさんあなた人間でしょう。人間は慈悲深い生き物と聞きました。出会ってすぐですが一生のお願いです。これ以上は近づかないでください!」


うーむ、なんかやりづらいなぁ。俺にも人間という種族概念があるからなのか、これじゃあ弱いものいじめをしているみたいじゃないか。人間で一括りにしてほしくないなぁ。

しかも俺は今助けようとしてるんだぞ。手はださないって言っちゃったから足とかで何とかするか。


「そうだなぁ、この魔法を俺の知っている対処法以外で何とかしたのはミューンが初めてだ。

それになんだかこの女に見覚えがなるような、ないようなそんな気がするんだ。

まぁ俺が原因なんだが、ここは俺に責任を取らせてくれ。今からミューンを助けよう。」


後ろにいた武装したやつらとシュヴォーさんが動き出した。

妙だな。なんで後ろの奴から殺気が溢れているんだ?

一応反撃魔法をやっとくか。(無反)、まぁこれで多少は平気か。


「ユナト、とそれに屈する謀反者達よ。今からお前たちを討伐する。魔法部隊討て!」

「え、シュヴォーさん...?」


一斉にとんでもない量の魔法が飛んできた。

火、氷、水、風、光、など初級程度の魔法が細長い槍状の形となって飛んでくる。

明らかに殺傷能力を高めた魔法になっている。

魔法が止まるころ、俺はわざと一か所魔法をくらっといて出血させ、横たわるようにした。


「止め!死者を確認する。『不断』のユナトと『名無し』のヴァジェ・エルドと『執事』のクロウ・エルドそれに『戦団』のミューン、こいつらの最後の声を聞いてあげようじゃないか。なぁヴァジェ・エルド!?」

「.........がはっ!げほげっほ......な、なんでわたしたち、仲間...じゃなかっ...たんじゃ......ないの...?」

「仲間?犯罪者、それもほぼ伝説級の大罪人といっていいほどの人物が目の前にいるというのに。残念ですよヴァジェさん。良いですか?緊急危険リストに加えるほどの人物はとんでもない金になるのですよ。

しかも二つ名持ちの者が敵に寝返り、それを討ち取った者には今後一生暮らしていけるような夢のような待遇があるんですよ。これほどの幸せはこの世には存在しない!!!

分かりましたね?分かったなら死んでください。」

「おまえがな?」


俺は飛び起きすぐさま魔法を起動する。

敵があっけにとられているその瞬間、俺の魔法は強くなる。


「キャストアイス。」


パチンと指を鳴らすと俺の目の前にいたゴミ共は凍りついた。


「魔族にもゴミはいるんだな。さすがにイラっと来たわ。シュヴォーさんだっけ、あんただけは最高の地獄に来てもらうぜ。ロストダウン。味わってくれよ永遠の苦しみを。」


パリパリパリと音を立てながらバラバラに崩れ落ちていくゴミは地面に吸収されていった。

跡形もなくゴミは消え去った。

シュヴォーは許さない。魔法の実験台決定だ。

さて、あいつらをどうするかと思い俺は再び近づいた。


「おーい、生きてるか?」


なんて聞いてみたが呼吸の音を感じない。

ただ無音、静寂だけが広がっていた。


「まだ魔法のことは聞いてないんだ、死んでもらっちゃ困るんだが。

なかなか味わうことのできない体験を味わってもらうとするか。」


死から再び生を味わうことができるなんてなんて最高の体験だ!と思いつつ俺はミューンの身体に触れる。死んでもなお魔素は動き続けている。もったいないので少し使わせていただこう。


「えーっと、なんだっけな。一回三重思考になってから、同時発動するんだっけか。今回は三人分か。集中集中。」


俺はある魔法を発動する。

俺が初めてこの世界で発明した俺にしか扱うことのできない魔法。


「創造、再生、構築、オリジナル魔法、レキュペリオ!」


三人分はすごいな。魔素の減り方が尋常じゃない。このままじゃ尽きるか。


「そういや俺あの水を持ってたな。今が使い時だ!」


懐に隠していた瓶の中にはあの魔素を含んでいる水があった。

俺はそれを一本がぶ飲みして再び魔法に集中する。

三人の下に赤黒い模様が描かれはじめ青い稲妻が走る。

ドンッというとてつもない爆音とともに三人が息を吹き返すのを確認した。


「二度目の人生を始めようか。気分はどうだいお三方?」


俺はそう言い残しバタンと倒れた。

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