ディオスタニア炎上
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―――インディゴ公国の首都郊外に出現した溶岩の龍
真っ赤に炎を噴き出して飛翔する二匹のマグマ・ドラゴンを目にして、ヴァーミリオン・インディゴ連合軍は目を見開いて驚愕していた―――
戦場の魔物兵は数を減らし、壊滅まであと少しといったところで突如現れたその溶岩の魔物に、連合軍の兵達は恐怖が走る。
しかし、そこで胆力を見せたのは将軍のガレスだ―――
「魔術師部隊!!!前へ!―――魔術攻撃開始せよっ!!!」
―――号令を発して魔術師で構成された部隊にマグマ・ドラゴンへの攻撃を指示する。
その号令にすぐさま反応して前衛に出た魔術師部隊は一斉に水属性魔術の魔法陣を展開していき、そこから怒涛の水属性に連なる魔術をマグマ・ドラゴンへ向けて発射していった―――
【GOFAAAAAA―――ッ!!!】
―――声にならない叫び声を上げて命中する水属性の魔術に、全身から水蒸気を上げて空中を踊るように暴れるマグマ・ドラゴン。
「効いているぞっ!!そのまま攻撃を続けろっ!!!」
ガレスの指示に魔術師部隊は続けざまに魔術攻撃を発動し、マグマ・ドラゴンの表面を冷やしていく―――
―――体表が冷却されて岩盤のようなものが広がり出したマグマ・ドラゴン。
しかし、そこで口を開いたマグマ・ドラゴンが空中から溶岩の塊を連合軍に向けて発射し始める―――
「ギャアァアア―――ッ!!!助けてくれぇええ―――!!!」
「熱いィイイ―――ッ!!!死ぬゥウウ―――ッ!!!」
―――吐き出された溶岩の塊に巻き込まれて火達磨になる連合軍の兵達が、阿鼻叫喚の悲鳴を上げて混乱に陥っていく。
「クウッ!!!―――化物めっ!!!」
溶岩に飲まれ、一瞬で焼け爛れて崩れ落ちていく兵達を目にしてマグマ・ドラゴンを睨みつけるガレス―――
「ガレスッ!!!一旦退けっ!!!―――体勢を立て直すのだっ!!!」
「父上!?―――クッ!全軍退けェエエ―――ッ!!!」
―――ジャミルの命に従い全軍に撤退の指示を出すガレス。
しかし、そんな連合軍の動きよりも早くマグマ・ドラゴンが飛翔する―――
「なにっ!?まさか……首都に向かっているのか!!」
―――その飛び去る方角に見えるのは、インディゴ公国の首都ディオスタニアだ。
頭上を飛び越えていくマグマ・ドラゴンの背を睨みつけて、ガレスはディオスタニアの危機に動揺を隠せなかった―――
―――その頃、ディオスタニアに向かって飛翔する天翔船朱色の女皇帝
フレイアによって救われた八雲は、身なりを整えて再び立ち上がる。
イェンリン達も身なりを整えて八雲と向かい合うと、徐に八雲がフレイアの前に来た。
「フレイア」
「はい、八雲様」
そこで見つめ合うふたり。
「必ずフレイアを幸せにする」
「……はい/////」
ふたりだけの空間が広がり出したところでイェンリンが軽く咳払いをする。
「ンンッ!―――お熱いところを申し訳ないが、今はインディゴの危機を救う方が先だ。魔神の討伐が先だぞ」
「ああ、分かってる。だけどルドナのあの黒い防壁をどう突破するか、というのが問題だ」
「八雲の特大魔術も軽く凌いでいたあれか……どうする?」
イェンリンの表情は曇り、フレイアとレギンレイヴも暗い表情に変わる。
だが、八雲の表情はそんな暗い雰囲気を払拭するように明るい。
「それについては俺に考えがある。だが、その前にバサラと試してみたいことがある」
「バサラと?一体何をする気だ?」
イェンリンの問い掛けに八雲は不敵な笑みを浮かべながら―――
「あのガングロブスの魔神に一泡吹かせるのさ」
―――イェンリンに答えるのだった。
そしてその悪い笑顔を見たイェンリンは、その笑顔を浮かべた時の八雲が必ず打開策を見つけていることを知っている。
「それは余も楽しみにしておくとしよう」
そう返してイェンリンもまた不敵な笑みを浮かべるのだった―――
―――首都ディオスタニア
白磁の城オクターブ城では、城内の使用人や近衛騎士達が忙しなく動き回っていく―――
インディゴの女王クレオニアは、そんな喧騒の中でバルコニーから首都の西側に見えるマグマ・ドラゴンを見て驚愕していた。
眼下に広がる首都の西側では早くもマグマ・ドラゴンによって炎と黒煙が濛々と立ち昇っている。
「バサラ……ルシア……」
口から洩れるのは息子、娘のように思っている若きインディゴの後継者達の名だ。
インディゴの歴史始まって以来の危機にクレオニアは胸の動悸が止まらずにいたが、そこで思い浮かぶのはイェンリンと八雲の顔だ。
大陸最強と謳われる『剣聖』イェンリン=ロッソ・ヴァーミリオン
オーヴェストを実質統一した『黒神龍の御子』九頭竜八雲
そのふたりを思い浮かべると目の前の地獄のような光景も、必ず覆してくれる希望が胸に湧いてくる。
その想いを抱いてクレオニアはバルコニーから祈るのだった―――
―――炎上する首都ディオスタニアの西側では、
黒炎が作り出した上空の黒い雲の中から、黒球の防壁に包まれたルドナがゆっくりと下りて来て空から地上を見下ろしていった。
「フフフッ……もっとだ……もっと燃え盛れ。家を燃やし、人を燃やしてすべてを灰に帰せ。この世界は魔神のものとなり果てる運命なのだ」
上空からマグマ・ドラゴンが吐き出す溶岩の塊に巻き込まれ、全身を燃やされて炎に倒れ行く国民を見下ろしながら、下卑た笑みを浮かべるルドナ。
悲鳴が響き、肉の焼ける匂いが辺りに漂う首都の西側は逃げ惑う人々によってパニックに陥っていた。
「マグマ・ドラゴンだけでは楽しめんか。ならば―――」
地上に向けて両手を差し出したルドナが巨大な魔神の魔法陣を地表に幾つも浮かび上がらせると、そこから巨大な黒い影がそこから浮かび上がってきた。
その影から全長二十mはあろうかというベヒーモスのような巨大な魔物と、サイクロプスのような巨人の魔物達が、雄叫びを上げながら姿を現す。
「さあぁ―――お前達!食事の時間だっ!!すべてを破壊し、すべての生き物を喰らい尽くせっ!!!」
ルドナの命により、一斉に首都の中を我が物顔で動き出す巨体の魔物達。
突如現れた巨大な魔物に、溶岩の炎に怯えていた国民達はさらなる脅威に絶句して絶望の淵に追いやられていく。
ある者はベヒーモス型の魔物に踏み潰され、ある者は巨人の魔物に掴まりその巨大な口に噛み潰されていった。
「ウワァアア―――ッ!!!ば、化物だァアアッ!!!」
「だ、誰かっ!助けてェエエ―――ッ!!!」
「こ、子供がっ!!!子供がまだ家にィイイ―――ッ!!!」
人々の阿鼻叫喚の叫び声を、恍惚とした表情で見下ろす魔神ルドナ。
「ああ……いい……その声が聞きたかった/////」
眼下の地獄絵図にビクリと身体を震わせて、軽くイッたような表情を見せるルドナだったが、そこに―――
「オラァアアア―――ッ!!!」
―――叫び声と共に現れた紅い稲妻の一閃が、ベヒーモス級の魔物の横腹を突き抜けていく。
【BUMOOOOO―――ッ!?】
何が起こったのか分からないという悲鳴を上げてベヒーモス級魔物が大地に横倒れた―――
―――その様子を見たルドナは恍惚とした表情から不機嫌な顔に変わり舌打ちをする。
「チッ!……紅神龍の使徒共か……」
ベヒーモス級魔物を打ち倒した赤い稲妻の正体はゲイラホズだった。
ゲイラホズだけではない。
スクルドもヒルドも最前線から《空中浮揚》でマグマ・ドラゴンを追って首都にいち早く戻ってきたのだ。
そうして首都で暴れる魔神の生み出した魔物達を相手に戦闘を開始する―――
「ハァアア―――ッ!!!」
―――紅蓮戦斧=紅激に魔力を込めて、巨人魔物の繰り出す拳を打ち払い、尚且つ飛び上がって脳天を撃ち砕くスクルド。
「オリャァアア―――ッ!!!」
手にした双剣の紅燐を高速で振り、ベヒーモス級魔物を斬り裂いていくヒルド―――
―――そして朱雷を手にしたゲイラホズによってルドナから生み出された多くの魔物達が駆逐されていく。
だがルドナもまた次から次へと異形の魔物を地上に生み出していく―――
「ハハハッ!いいぞっ!もっと足掻け!まだまだ魔物を追加してやる!そうしてこの国を喰らい尽くして、次はヴァーミリオンだ!!」
地上に浮かび上がった魔神の魔法陣から次々と飛び出してくる様々な姿をした魔物の群れを見て、スクルドは唇を噛む。
戦闘力では紅の戦乙女が圧倒的に高いのは当然だが、次々に魔物を生み出されてはこの国の民が襲われ続けていずれ滅亡してしまう。
そうなる前に先に始末するべきは―――
―――そう考えたスクルドは一足飛びに飛翔して魔神に向かって行った。
「―――覚悟しなさい!!!」
手にした紅激をルドナの頭上から振り下ろすその瞬間も、ルドナはニヤリとした笑みを浮かべて動かない―――
―――そして渾身の一撃をルドナの防壁に打ちつけるスクルド。
だが、強烈な激突によって生じた衝撃を周囲に振り撒きながらも、その防壁には傷一つ入っていなかった―――
―――その様子を見て下から矢の様に突き抜けようと突進するゲイラホズ。
同時に側面から斬りつけるヒルド―――
―――更に響き渡る轟音と衝撃波が周囲に広がって行くが、それでも防壁には傷一つ負わせることが出来ていなかった。
紅の戦乙女が三人掛かりで行った攻撃に対して、まったく動じないルドナに対してスクルド達三人に戦慄が走る―――
「如何に紅神龍の使徒といえども、私の暗黒防壁を崩すことなど出来ん。残念だったなぁ~!」
下卑た笑みを浮かべてスクルド達を見据えるルドナに、歯軋りを刻むスクルド。
上空には溶岩を吐き続けるマグマ・ドラゴン―――
―――地上ではベヒーモス級魔物やサイクロプスのような巨人魔物、他にもコカトリスやガーゴイルといった魔物に似た巨大な化物達が群れを成して民を捕食して虐殺を繰り返している。
地獄と化した首都の姿にスクルド達も焦りが浮かんでいた。
「お前達の頼みの綱であろう九頭竜八雲も死んだ。さあ、此処でお前達も―――」
「―――誰が死んだって?」
「ッ!?―――貴様っ!!!」
ルドナの頭上から聞こえた声に、見上げたルドナが今度は歯軋りを刻む―――
「勝手に人のこと殺さないでくれる?随分好き勝手してくれたみたいだな……さあ、今度こそお前をこの世から消し去ってやる!!!」
―――手にした黒刀=夜叉の切っ先を魔神ルドナに向けて言い放つ。
空中に現れたのはルドナが死んだと思い込んだ九頭竜八雲だった―――




