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黒神龍の御子になった異世界冒険譚~最強ドラゴンの夫になって異世界無双~R15ver.  作者: KAZ
第17章 鉄血の帝国編

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戦力分析

―――インディゴ公国首都ディオスタニア


オクターブ城では空中に停泊した天翔船朱色の女皇帝ヴァーミリオン・エンプレスの船内に戻った八雲達は―――


「兎に角、今日はもう食事を取って休もう。ローゼン公爵も色々あって疲れただろうし」


「ありがとうございます。あの……黒帝陛下。私のこともバサラのように、どうぞルシアとお呼びください」


「えっ?そうか?いやぁ、実はローゼン公爵って毎回言うのって、ちょっと言い辛かったんだよね!そう言ってもらえると助かる。だったら俺のことも八雲でいいぞ♪」


「えっ!?いえ、それは……」


ルシアは妻であるイェンリンを前にしてファーストネームで呼ぶことに遠慮する気持ちが働いた。


しかし、そこでイェンリンも、


「八雲が呼んでよいと言っているのだ。余のことは気にする必要はないぞ。八雲は身近な者達に皇帝や黒帝と呼ばれるのが好きではないのだ」


と八雲の心境を代弁してくれた。


「分かりましたわ。では、八雲様と呼ばせて頂きます」


「ああ、これからよろしく!さあ、まずは食事にしよう!」


それから厨房に入り、料理を拵えていく八雲の姿を見て、ルシアもバサラも驚きの表情を浮かべて固まる。


「自分で料理するのか?しかも見ただけでも相当料理をすることが分かる手つきだな」


バサラがそう告げると、八雲は料理をしながらニヤリと笑い、


「バサラは元の世界で料理はしなかったのか?」


と問い掛けると、今度はバサラが眉を顰めて答える。


「残念ながら、向こうにいた時は親頼りだったよ。インスタントくらいしか作れなかった」


「ハハッ!インスタントは確かに楽だったもんな。でもこの世界だとそんな物、存在しないからなぁ」


「八雲なら作れそうだけどな……」


「いやぁ!いくら俺でも……ちょっと挑戦してみようかな……」


「マジで作る気なのか?でも、出来たら是非俺にくれ」


「何言ってんだよ。売るに決まってるだろ。出来たらインディゴに輸出しよう」


「チャッカリしてるな……でも、本当に出来たら買う選択しかない」


楽し気に話すバサラと八雲の様子を見て、ルシアはここ数年の塞ぎ込んだようなバサラとは違って、子供の頃の優しく明るいバサラに戻ったような気がして胸の中が温かくなるのを感じる。


イェンリンもまた、同じ異世界から来たという同性に巡り合えたことで喜んでいる八雲の姿を、微笑みを浮かべて眺めていた。


その後、八雲の料理も一通りテーブルに並び、バサラも懐かしい日本の味付け風の料理の数々に感動していった。


中でも―――


「ええっ!?カレーまで作れるのか!?」


―――やはりカレーに関しては特に大きな反応を示した。


「ああ!調味料を色々と配合して、大人風のカレーから子供用の甘口カレーまで色々と種類を増やしてるぞ♪ でもカレーを作ると今でも食卓で戦争が起こるんだ……」


「戦争!?それは穏やかじゃない話だな!?」


「ああ……もう今まで第六十二次カレー戦争が勃発してる。人気過ぎておかわりの取り合いでいつも大変なんだ……」


「カレーは異世界でも共通の人気だったか……でも、俺もカレーが食べられるなら参戦したくなるな」


そんな取り留めのない話をしながら食事を終えて一息吐いたところで、食堂の扉が開く。


「おおっ、黒帝陛下。此方においででしたか」


そう声を掛けて進んできたのはヴァーミリオン皇国軍最高司令官ジャミル=トロワ・ヴァーミリオンと、


「インディゴのお客様と会食でしたか?」


ジャミルの息子にして皇国軍将軍のガレス=トロワ・ヴァーミリオンがバサラとルシアを見て、インディゴの人間だとすぐに悟り、間が悪かったのかと声を掛ける。


「此方はインディゴ公国のローゼン公爵とクロイツ公爵だよ。丁度良かった。ふたりにもこれまでの経緯について話しておこう。いいだろう?イェンリン」


隣に座るイェンリンに了承を求める八雲。


「ああ、勿論だ。此度の遠征には一癖も二癖もある者達を相手にすることになりそうだからな」


イェンリンのその言葉にジャミル達は嫌な予感が走る。


特にジャミルはヴァーミリオンの小競り合いなどで若い頃からイェンリンと共に出兵して戦った経験のある人物である。


イェンリンがこういった発言をした時の戦争が厄介な戦いだということはすぐに察しがついた。


「伺いましょう」


そう言って席に着くジャミルとガレスに、八雲はシニストラのこととルドナの件について語って聴かせるのだった―――






―――途中、何度も八雲の話に質問を投げ掛けたふたりだったが、最後まで話を聞き終える。


「―――あまりにも予想外の展開ですな」


ジャミルはシニストラ帝国が只の領土侵攻ではないことに、改めて溜め息を吐いた。


ガレスもまた同じような気持ちである。


「しかし、そうなりますと次にシニストラはどう動きますかな?」


ジャミルは八雲とバサラの顔を交互に見比べて問い掛ける。


そこで、まず八雲が話す。


「宣戦布告している以上、海の向こうから攻めてくるのは確実だと思う。バサラはどう思う?」


「俺もシニストラから軍が必ず出てくるとは思っている。その時期は布告通りとは思えないけれど」


バサラはルドナ達が直接乗り込んできたことのことを言っているのだ。


「だとしたら、まず戦力のことを教えて頂きたいのですが、シニストラは最近ではどの程度の戦力を持っておりましたかな?」


ジャミルの質問にバサラが神妙な面持ちで応える。


「まず、本島のシニストラ島には元々常駐している兵が二万。だがシニストラは元々国民に従軍義務を課している国だから、一旦招集を掛けるとどこまで兵数が伸びるかは予測不能だ」


「いざとなればその招集で国民全員が敵になることもあるのか」


「女子供や老人は対象外でしょうけど、男連中はほぼ招集に逆らえないでしょう」


バサラのもたらした情報にジャミルとガレスの表情も難しい顔に変わる。


「兵とはいえ招集された国民とまで戦うのは、やり辛いですなぁ……」


「確かに……リオンとインディゴのそれぞれ近くにある島は兵力を持っているのですか?」


ガレスの質問にバサラは頷く。


「ええ。まずリオンに近いギオ島側に一万。インディゴに近い側のメナ島に五千。それも普段は島で日常生活を送っていますが、戦争となればまず招集される兵の数です」


「三島合わせて三万五千……しかも三方に分かれて配置されているのも厄介な布陣です」


詳しく話を聴いてジャミルの表情はますます曇っていく。


「この船で運んで頂いた我が軍の兵は三千。陸路を進んで来ている皇国軍の本隊が四万二千。しかし本隊の到着はまだ時間が掛かりましょう」


先にインディゴ公国に飛んだ天翔船朱色の女皇帝ヴァーミリオン・エンプレスに乗船したヴァーミリオン皇国軍の精鋭達が三千人、船内で待機している。


八雲の出発要請にすぐに動けるのがその数だったのだが、朱色の女皇帝ヴァーミリオン・エンプレスの格納庫スペースに収容可能なスペースを用意して、極力ストレスにならないよう、船内の客室も共同利用で数人ずつの配置で利用していた。


「インディゴ公国の兵力はどのくらいなんだ?」


今度は八雲がバサラに問い掛ける。


「本来は兵力の情報は極秘なんだが、援軍には話してもいいだろう。我が国の兵力は主に城の近衛騎士が一千、外敵の対応に向けた兵団が一万、工作などに従事する兵が一千、以上がインディゴの戦力だ」


「総勢でも一万二千……まともにぶつかっていてはシニストラの兵力に敵いませんな」


アッサリとインディゴの戦力不足を指摘するジャミルにバサラも言葉が返せない。



挿絵(By みてみん)



「シニストラ軍はやっぱり海戦が得意な国なのか?」


八雲は気になったところをバサラに質問する。


「うん、シニストラは歴史的にも海賊集団がそのまま繁栄した国でもあるんだ。言うなればバイキングの国みたいなものさ」


「バイキングって……でも海賊の国……ということは荒くれ者が多いって話もその歴史的背景が関係しているのか?」


続け様に問われたバサラは難しい表情になって、


「それは実際に詳しく調査した訳じゃないから何とも言えないけど、少なくとも昔の海の勇者だったという誇りを持つ者は多いようだ」


と、今分かっている範囲で応えた。


「だとすると……やはり軍船による襲来が、一番可能性が高いですな」


「ああ。だけど船の接近さえ掴めれば、魔術攻撃の範囲に入った時点で此方から遠距離攻撃を仕掛けて船ごと沈めるのが一番だな」


八雲のその提案にジャミル達も納得しそうになっていたところでバサラが待ったを掛ける。


「いや、シニストラの軍船は特殊な船で、特産の希少鉱石による装甲の上に魔術防御も施されている。真面に正面から魔術で遠距離攻撃を仕掛けてもビクともしないだろう」


「あ、やっぱり向こうも、そのくらいの対策は施すよな。じゃないと魔術攻撃の良い的にしかならないからなぁ」


バサラの情報に八雲も、それはそうだよなと妙に納得していた。


「インディゴも軍は海戦がメインの戦いなのか?」


そこでイェンリンがバサラに問い掛けた。


「はい。ですが我が軍の軍船はシニストラの軍船と比べると護りの面では劣ります。つまり、我が国は兵力も軍事力も両方ともにシニストラに及びません」


そこまで言い切るバサラにイェンリンはクスリと笑いが込み上げてくる。


「ハハハッ、そこまでハッキリと言い切るか?それは条約を持ち出して援軍を要請するのも頷ける話だ!」


「笑い事じゃないぞ、イェンリン。バサラ達にとっては国の存亡の危機なんだから」


八雲が窘めてイェンリンも笑いを抑えながら、


「ああ、すまんすまん。だが、いざとなったら八雲の魔術でも、余の剣聖技でもシニストラの軍船など物の数ではないだろう」


「まあ、確かに。沈めるだけでいいなら幾らでも手はあるからな」


軽く言い合うイェンリンと八雲にバサラは驚きの表情を浮かべて、


「そんな簡単な話なのか?」


悪い笑みを浮かべてニヤついているふたりに問い掛ける。


「ああ、そこは大丈夫だ。だが問題は……」


そこで八雲が真剣な表情に変わる。


「……問題は?」


「そんな人間の常識の範囲外で攻めて来られた時が―――何より一番問題だ」


常識の範囲外……八雲のその言葉は今回のような三妖魔の襲撃という人外の戦闘のことを指しているのはバサラにもルシアにも、そしてその話を聴いたジャミル達も理解している。


「真面に船を使って攻めてきたなら、俺とイェンリンで先制すれば問題はないと思う。だが、今言ったように人の常識から外れたような侵攻を受けた時の対策をしておかなければ、今回の襲撃どころでは済まないほどの被害が出ると思っておかないと危険だ」


八雲の言葉に一同は重苦しい空気の中で黙って頷くのだった―――






―――話し合いも終わって、今日は休むことにした八雲達


それぞれに部屋を振り分けて、今夜はもう休むことにしたのだが、八雲の自室には三人の人影があった。


「フフッ♪ こうして戦場でも愛しい者と肌を重ねることが出来るのは素直に八雲のおかげというものだな」


ベッドの上で八雲の胸に凭れ掛かるイェンリン―――


「まったく……突然船を飛び出した時はどうなることかと思ったんだぞ!」


不機嫌そうにしてイェンリンの反対側の八雲の胸に凭れ掛かるブリュンヒルデ―――


「ウフフッ♪ そう不機嫌にしては旦那様に嫌われてしまいますよ?ブリュンヒルデ」


そう言って八雲の股間を優しく撫でるラーズグリーズ―――


既に全裸になっている八雲が横たわるベッドに集うヴァーミリオンの美女達。


「心配かけてごめんな、ブリュンヒルデ」


ラーズグリーズの言葉と素直に謝る八雲に、ブリュンヒルデは何も言えなくなってしまう。


「まぁまぁ、心配をかけた分はこれから八雲が身体で払ってくれるというものだ。そうだろう?八雲/////」


「仕方がないな!そういうことなら……/////」


「フフッ♪ ブリュンヒルデの許しも出たところで……旦那様/////」


八雲との夜に期待感を溢れさせる三人を見つめながら、ラーズグリーズに撫で上げられる八雲の股間がビクリと跳ねる。


「勿論、全力で三人を満足させるからな」


力強い八雲の返事に三人の下腹部の奥は、トクン♡ と熱い脈を打つのだった―――



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