蠢くシニストラ帝国
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―――首都ディオスタニア
水色の装飾や紋章を施した美しい白磁の城、オクターブ城―――
インディゴの女王クレオニア=リアニス・インディゴは玉座ではなく貴賓室にて天翔船より降り立った一団を迎え入れた。
「―――ご無沙汰しております。ご健勝のこととお喜び申し上げます。ヴァーミリオン皇帝陛下」
「久しぶりだな。インディゴ女王」
イェンリンの隣の八雲に視線を向けるクレオニアに八雲は笑顔で、
「初めまして、インディゴ女王陛下。シュヴァルツ皇国の九頭竜八雲といいます」
と、自己紹介をする。
「初めてお目にかかります。インディゴ公国女王クレオニア=リアニス・インディゴでございます。この度は我が国の危急に駆けつけて頂き、心より感謝を申し上げます」
「フフッ、誰もが忘れ去っているような相互軍事条約など持ち出されるとは思わなかったがな。だが、お前の国の危機とあらば出陣せぬ訳にもいくまい……クレオ」
「いやですわ陛下……その可愛らしい愛称で呼ばれるには、わたくしはもう歳を取り過ぎましたわ」
そう言って微笑みを浮かべるクレオニアに、イェンリンは首を横に振る。
「―――いや、それは違うぞ、クレオ。お前は今、人として最も美しい。人の人生を全うする者は誰しも美しいと余は思っている。余と八雲はこれから永遠といえる時を、お前達のような美しく生きる者達を見守る立場にある。だから愛称で呼ぶことも余の我が儘かも知れぬが、お前達を忘れないために許してもらいたい」
「イェンリン様……」
クレオニアもまた幼少の頃に呼んでいたイェンリンと呼ぶ。
「フフッ、しかし……ふたりで城下に冒険ごっこだと飛び出して、余が直々に遊んでやっていたお前が今では立派な女王となったものだ」
「懐かしい思い出でございます」
懐かしむふたりの空気はとても穏やかで、それを崩すことは憚られるところではあったが、
「陛下、そろそろ……」
バサラが本題に入ることを促す。
「ああ、ごめんなさいバサラ。貴方達の無事とイェンリン様と再会出来たことに、少し心が舞い上がってしまったようです。それでは貴方から話してもらえるかしら?」
「畏まりました」
そこから、バサラは外壁の北門に出陣した経緯を語る―――
―――その間に起こったローゼン公爵家の屋敷で起こった惨劇についてはルシアが話す。
―――そして、その魔神の目的がルシアの中にある神剣だということ。
貴賓室にいたクレオニア、イェンリン、八雲はふたりの話を静かに聞き届けていた―――
「シニストラに……魔神が……」
ルドナの存在を知らされてクレオニアは額を抑えて事の重大さに困惑する。
「―――インディゴ女王。ルドナの件については俺の討ち漏らしが事の発端になっている。だから俺もこの戦争に参戦させてもらいます」
八雲の言葉にクレオニアは顔を上げて静かに頷く。
「黒神龍様の御子様が御力をお貸し頂けるというのは、とても心強いことでございます」
「おいおい、余のことよりも八雲のことを頼りにするのか?」
不満気な表情のイェンリンがクレオニアに不満を漏らすと、
「勿論、イェンリン様のことは頼りにしておりますよ。その上で黒帝陛下の参戦が心強いということですわ。ウフフッ♪」
子供の頃に見たイェンリンそのままの、感情豊かな彼女の様子に緊迫していたクレオニアの気持ちが軽くなるのを感じた。
「それで、ルシアをイェンリン様の船で匿って下さるとのお話ですが」
「ああ、余の船に匿っておいて、その間にシニストラの野望を撃ち砕いて平穏を取り戻す。余の見立てだが、今回の開戦はあの魔神がシニストラに巣食って引き起こした戦争だと見ている。故に根源である魔神と三匹の妖魔を倒せば終息するものと考えるが、どうだ?」
イェンリンが他の者達の顔を見回して意見を求める。
すると八雲が発言する。
「俺はインディゴとシニストラの関係やシニストラ帝国についての情報をよく知らない。だからルドナが現れる以前の関係について訊いてもいいかな?」
八雲の言葉を聴いてクレオニアが話し始める。
「我が国とシニストラ帝国の関係は同じ海に面した国同士でもあり、海産物やフロンテ大陸からの物資の交易、逆にシニストラ特産の鉱石も海を渡ってこの国に輸送されてきて、お互いに友好的な国交を築いていました」
クレオニアの話を黙って聴いていく八雲―――
―――途中、バサラからも補足されるような話を聴いて、八雲は益々難しい表情に変わっていく。
「―――宣戦布告は正式にシニストラの皇帝からの書状が届いたんだよな?」
「ああ、確かにシニストラ皇帝―――コモシロフ=スカヤ・シニストラ皇帝の署名がされた正式な書状だった」
「だとしたら……最悪はシニストラを完全に潰す結果も想定しておかなければならないかも知れない」
「それは……まさか、そんなことに……」
八雲とバサラは互いに言っていることが分かっているようだが、
「あの……どういうことでしょうか?」
ルシアが八雲に問い掛ける。
「ルドナの目的は話していた通りローゼン公爵の身柄だとして、宣戦布告はシニストラ帝国皇帝の意志だということは、既にシニストラは魔神の手に堕ちている」
八雲の言葉に貴賓室の空気が一気に冷たく張り詰めるのだった―――
―――遠く海を隔てた巨大な島国であるシニストラ帝国
本島であるシニストラ島と帝国に属するふたつの島、ギオ島とメナ島からなり、本島の南部とギオ島では農業も行われているが、本島の北部とメナ島は寒冷地帯に属する土地となり、農作物は殆ど育たない厳しい寒さと雪に覆われる。
そのため北部地域は希少鉱石の鉱山が集中し、国民も北部では寒さを凌ぐために地下の街を築き上げて、そこで生活を営んでいる。
シニストラの首都は南部寄りの場所にあり、その名をモシロフという。
またの名を―――鉄血都市
シニストラの国政は皇帝による集権国家であり、交易で備蓄する小麦を始め、数々の食糧や生活必需品などの命に係わる物は配給によって国民に施されている。
そのため国民は皇帝に対して尊敬の念よりも恐怖を抱いて生きている者が殆どだった。
それでも皇帝に対して反乱が起こらないのは、皇帝側の国民に対する施しが巧みであり、食糧と共に催事に振る舞われる酒も国民の根底に国への感謝を植えつける材料となっていた。
歴史としては大昔は海賊まがいの所業を繰り返していた集団が、いつしか集落となって拡大していったことで国として大成した歴史を持ち、その頃の習性から基本的に荒くれた者の多い土地柄であった。
そんなモシロフの中央に聳え立つのは、皇帝の城―――グレイストルス城だ。
重厚な黒い外壁に囲まれた堅固な城であり、鉱石の産地というだけあって国で産出された鉱石を用いて鉄壁の護りを築いている。
そんな黒い城のことを国民達は正式名よりも『鐵城』と呼び畏怖していたのだった……
その鐵城の奥の間―――玉座に鎮座するのは、褐色の肌を艶めかしく動かすダークエルフ―――
「―――シニストラの兵はルドナ様のご指示通り、グスターボの生み出した『魔種』を植えつけて魔物化させております」
「うむ。この国に来てから行った実験で生み出された物だったが、どうやら人間を従えるのに丁度より代物だな」
―――グレイピークの報告に満足そうに笑みを浮かべるのはルドナ=クレイシア・アンドロマリウスだ。
「はい。その魔物で構成した軍勢を現在編成しております。その移動のために必要な『例の物』も順調に揃ってきております」
「ご苦労。本当にこの国の集権的な国政には感謝しなければならんな。皇帝の命令だと触れを街に出しておけば疑うこともなく『魔種』の植えつけに従うのだから」
クックックッと含み笑いを漏らすルドナ。
「それと、グスターボが『魔種』の生産に女を所望しております」
「ああ、幾らでもくれてやれ。所詮は人間の女など犯されて喰われるだけの存在なのだ。それでグスターボの使命が果たされるのであれば、街から幾らでも連れてくるがよい」
「畏まりました」
返事をしてグレイピークは玉座の間から退出していく―――
「クックックッ♪ 九頭竜八雲……今度は以前のように簡単にはいかぬ。お前の苦悶の顔を眺めながら、私自らの手で必ず……」
―――玉座にひとり残ったルドナは、誰もいない部屋で、悍ましく歪んだ笑みを浮かべるのだった。
ただひとり、八雲への怨念をその胸に渦巻きながら―――
―――そのグレイストルス城の地下で、
暗がりの広がる石造りの壁に囲まれた大きな広間の中で―――
「イヤァアアア―――ッ!!!」
「―――や、やめてぇえええ!!!誰かっ!!だれかたすけてぇええっ!!!」
―――うら若き乙女の悲鳴が、絶叫が地下の広間で響き渡っていた。
「グフフフッ♪ ああ~♪ 若い女は最高だなぁ~♪ ゲヘヘヘェ♪」
醜い笑い顔で顔を歪ませたグスターボは、自らの腹肉を花の花弁のように開き、そこから伸びだした内臓色の触手を伸ばして、何人もの若い女の身体に纏わりついている―――
―――引き千切られた服の切れ端だけしか残っていない女達は、身体に巻き付いて全身を舐め回すように動く触手に嫌悪の意志を全力で露わにする。
「イヤァアアッ!!!―――は、入ってこないでェエエェエッ!!!」
「オ、オゴォオッ?!オエッ!ゴホッ!ゴボッ!―――オゲェ!!!」
両足に巻き付く触手によって股を開かれ、蠢く触手が侵入してくる感触に悲鳴を上げる女や、強引に口に入れられる触手に吐き気が込み上げてきて喉を詰まらせる女、そしてグスターボが分泌する媚薬によって既に快感に溺れた女に、グスターボの植えつける精によって腹が破裂した女の骸が転がっているその地下の広間は地獄の様相を呈していた―――
そして足元の床に広げられた触手からは、掌に乗るくらいの大きさで何かの実のような物がボコボコと生み出されていく。
「―――順調なようだな。グスターボ」
「ううん?グレイピークかぁ~♪ だが、実を作るにはまだまだ女が足りねぇ~!!」
「ああ、その件についてはルドナ様にもお許しを頂いて来た。街に行って新たに調達するように手配してある」
「グフフッ♪ 流石はグレイピークだぁ~♪ だったら俺は仕事に励むとしよう~♪」
触手によって空中に何人もの女を持ち上げて周囲に浮かばせたグスターボの醜い笑顔に背中を向けて、
「―――準備が整えば今度は軍で出陣だからな」
グスターボにそう告げると、グレイピークは地下の広間を後にするのだった―――
 




