白い妖精と蒼天の精霊
pixivにて新規キャライメージ画像更新中!
※AI生成画像
https://www.pixiv.net/users/15342558
※モチベーションに繋がります!※
いいね・ブックマーク・評価☆☆☆☆☆採点いただけますと励みになります。よろしくお願いします。
―――白い妖精のラピスラズリと対峙するサジェッサ。
「八雲様に好きになってもらうとは……聞き捨てなりませんね……ラピスラズリ」
「思っているままのことを僕は言っているだけだよ、サジェッサ♪」
右拳を前に拳闘士スタイルをとるサジェッサは鋭い視線をラピスラズリに向けつつ、
「そうではありません……それは貴方の気持ちを八雲様に押しつけているだけです。それでは、あの方に愛してもらう資格はありません」
そう言い放つサジェッサだったが、その言葉にラピスラズリはピクリと反応する。
「愛する?……そもそも愛ってなんなのさ?僕には分からないよ。それに、どうして僕が愛を与えないといけないんだい?」
その言葉に愕然とするサジェッサだが、すぐに気持ちを立て直す。
「昔から……貴方は変わった子だと思っていましたが、まさかそこまでとは……」
「ゴチャゴチャ言ってないで、早く始めようよ♪ さあ、ここからは狩りの時間だよっ!」
「―――ッ?!」
瑠璃色の長い髪をなびかせながら、白龍剣=粉雪を構えた途端に、ラピスラズリの姿が消えた―――
―――そして次の瞬間、サジェッサの右側に出現して、その手の粉雪を振り下ろす。
しかし―――
(これは違う!!―――本物はっ!!)
―――見えているラピスラズリを無視して、左足の爪先を軸にしてギュルンと180°回転したサジェッサの、右拳がソニックウェーブを起こしながら背後に向かって撃ち放たれた。
「グゥウウ―――ッ!!!」
右にいたはずのラピスラズリの姿は消え、その代わりに背後に迫っていた本体のラピスラズリにサジェッサの拳がヒットする寸前、ラピスラズリはギリギリで粉雪を盾にして受け止め、数m地面を横滑りに吹き飛ばされる―――
「……よくぞ今の一撃、受けきりました」
―――吹き飛ばしたラピスラズリにゆっくりと歩み寄るサジェッサ。
「クッ!さすが蒼天の精霊のセカンド……何万年と鍛え抜かれた拳は伊達じゃないね」
すぐに体勢を立て直して、粉雪を構え直すラピスラズリ―――
「貴方が生まれる前から、この拳を鍛え上げてきました。私がセレスト様の武装を持たないのも、それが誇りだからです」
「知ってるよ。でも、その誇りも―――僕が砕いてあげるよォオオッ!!」
サジェッサに突撃するラピスラズリ―――
―――迎え撃つために拳を繰り出すサジェッサ。
「オォオオオ―――ッ!!!」
「ハァアアア―――ッ!!!」
ラピスラズリの高速で突き出された粉雪を、同じく高速で繰り出した左拳のフックで打ち払うサジェッサ―――
―――打ち払われた粉雪をクルリと回転させて袈裟斬りに打ち込むラピスラズリ。
その斬撃を回避して、同時にラピスラズリの足元をしゃがみ込んで払い除けるサジェッサ―――
―――空中にジャンプして足払いを避けたラピスラズリが、飛んだままサジェッサに粉雪を横薙ぎに振り抜く。
その斬撃を見切りで距離を測り、スウェーで上半身を逸らして回避するサジェッサが、続けて魔力を集中させると―――
「―――《嵐弾》!!」
―――拳から散弾銃のようにして、風属性魔術《嵐弾》を撃ち放つ。
「チイッ!!」
舌打ちをしつつ、粉雪を残像が生まれるほどの高速で斬撃を繰り出し、襲い来る《嵐弾》を迎撃するラピスラズリ―――
―――その間に追撃を仕掛けようと前に出たサジェッサを、足元から突き出してきた氷柱が襲い掛かってくる。
「クッ!!―――小賢しい真似を!」
《嵐弾》の合間に追撃してくると見越したラピスラズリが足元に仕掛けた魔術トラップが発動したのだ―――
―――互いに機を逃したふたりは同時にバックステップで距離を取る。
両手の拳を握り直してから、サジェッサは改めてラピスラズリの動きに警戒する……
「貴方のことを甘く見ていました……油断出来ませんね」
「そっちこそ……筋肉だけで勝負するのかと思っていたら、魔術も併用してくるなんて恐れ入ったよ」
互いに臨戦態勢を保ちながら、時計回りにジリジリと間合いを詰めていく。
「そろそろ―――」
「―――準備運動も終わりだね♪」
言葉を繋いだ瞬間、ふたりの姿が闘気に包まれ光の矢の様に突撃したかと思うと正面から衝突した瞬間、ラーン天空基地の大地に巨大な光がドーム状に広がっていった―――
―――山の麓にある丘にいた八雲は、離れた場所に現れた巨大な光のドームに動揺する。
「―――おいおいっ!この基地を沈めてくれるなよ!?」
八雲の脳裏には日本のアニメにあった巨大な隕石が地球の大地に落ちるシーンが思い浮かぶ……
「だけど、いつまでも此処に隠れている訳にもいかない……『索敵』を打ちたいけど、アイツ等なら絶対に打ったことに気づくだろうし、困ったな……」
『索敵』を広げるには魔力によって波を広げるイメージで探索を行うため、高位の存在になるとその気配をすぐに探知されてしまう。
逆にラピスラズリ達の様に神龍の眷属達は、こうした場合は相手の『索敵』に掛からないように『索敵』を打つ能力に長けているため、八雲では探知し切れないのだ。
「これは思った以上に難題だぞ……どうするか……」
そう考え込んでいると、
「だったら、私の出番じゃないのっ!これって!!」
八雲の懐から勢いよく眠っていた水の妖精リヴァーが飛び出してきた。
「お前の出番って、何かいいアイデアでもあるのかよ?」
目の前に飛び出してきたリヴァーに問い掛ける八雲。
「フッフゥン♪ もちのろんだよ!マスター♪ 要は相手に探知されない『索敵』がしたいってことでしょう?」
「おお、でも、そんなこと出来るのか?」
「任せといて!」
すると八雲の肩に乗ったリヴァーが、その手を真っ直ぐ前に差し出すと―――
「いくよ!
―――《水波探知》」
―――八雲が普段使っている『索敵』とは違った感覚で捉えられる能力が発動する。
「これは……」
驚く八雲にドヤ顔をしたリヴァーが得意気に答える。
「これは空気中の水分から地中の水分まで、あらゆる場所にある水分を連結させて探知する能力よ♪ これなら人の血の鼓動まで探知出来て、しかも只の水が伝えているだけだから逆探知も不可能だよ♪」
「おお~!これなら確かに―――」
すべての場所の生物に存在する水分が自己主張するように八雲の脳裏に流れ込んでくることで、どこに何が、誰がいるのかを容易く感知させる。
先ほどの閃光が広がった場所を探知したところでは、どうやらサジェッサとラピスラズリが激突している様子だった。
「だとすると、あれは―――ウェンスとルビーかっ!」
また別の場所で探知した反応がふたつ、対峙していた―――
―――八雲が感知した新たな反応の場所では、
「貴方と直接対決するのは、初めてではなかったかしら?」
ウェンスが正面に立つルビーにそう問い掛ける―――
「ああ、しかしお前の持つ蒼龍鎧=蒼壁に挑みたいと考えている神龍の眷属は多い。この私もまた、そのひとりだ」
そう言ってルビーは自分の武装、白龍大剣=雪崩を構えた。
「それは光栄なことですわ。では、此方も戦闘準備させて頂きますわっ!!」
宣言すると同時にウェンスの周囲に蒼壁のパーツが回転しながら浮遊したかと思うと―――
「―――装いなさい!蒼壁!!」
―――喉を守るゴージット、スポールダと呼ばれる肩当て、そしてそれを補強するガルドブラ、肘を守るコーター、前腕を守るヴァンブレイス、下腕部を防護するリアブレイス、手首を守るゴーントリット、脇をまもるベサギューが装着される。
そして胸部と背部を守るブレストプレートは強調するかの様に胸の形を施しており、バックプレートと合わさって吸い付くように装着された―――
―――腰部を守るフォールド、フォールドから吊り下げられた二枚一組の小板金のタセット、胸部のブレストプレートと対になったバックプレートから吊り下げられ臀部を守るキューリットが装着される。
チェインメイルスカートの下には純白の布スカートが纏われ、まるで戦乙女のような装いだった―――
―――大腿部を守るクウィス、膝を守るパウレイン、脛を守るグリーヴ、足を守る鉄靴ソルレットからなる全身鏡面に仕上げられた見事な鎧。
一角獣のような角が付けられた頭部を保護するヘルムはフェイスオフ状態で美しいウェンスの顔が覗いていて、ヘルメットの間からは金髪の巻き毛が風に靡いているという装いが現れた―――
「―――お待たせいたしましたわね」
「いや、此方が望んだことだ。その程度のこと気にすることはない」
そう言って雪崩を握りしめ、構えるルビーと―――
―――背部のブレストプレートに装着された二本のロングソードをスラリと抜くウェンス。
「―――参るっ!!」
「ハァアアアッ!!!」
ルビーが一歩を踏み出した瞬間、ウェンスもまた前に出る―――
「―――フンッ!!!」
―――上段から高速で振り下ろされた雪崩を、蒼壁のロングソードをクロスさせて受けるウェンス。
直撃した雪崩の衝撃で、軽く足元が数cm大地に沈み込む―――
「クゥウウウ―――ッ!!」
―――蒼壁の内部で押しつけられる巨大な力に驚愕しつつ耐えるウェンス。
沈みこんだ足元から広がった亀裂は、その周囲数mをクレーターのように沈み込ませていった―――
―――そこから一旦バックしたルビーだが、間を置くことなく剣戟を繰り出してくる。
巨大な白龍大剣が残像を生じさせるほど高速の斬撃を繰り出してウェンスに襲い掛かる―――
―――その斬撃をウェンスは二本のロングソードで受け流す。
「ハァアアア―――ッ!!!」
「オォオオオ―――ッ!!!」
激突する剣と剣の残像が瞬く火花を輝かせていく―――
―――しかし、そこでルビーの驚異的な剣技が証明される。
二本のロングソードを持つウェンスに対して一本の巨大な白龍大剣=雪崩で斬撃を繰り出すルビーは、その受け止める二本の剣以上に蒼龍鎧=蒼壁にまで到達する幾つもの斬撃があることだ。
(やはり強いっ!―――ここは一旦間合いを取るっ!!)
―――ウェンスは魔力を集中すると、ロングソードから魔術を発動する。
「―――《鉄弾》!!」
正面から撃ち出される鋼鉄の弾丸―――
―――その発射と同時にバックステップで距離を取ったルビーは、その弾丸までも斬撃で斬り墜としていく。
「……流石は白い妖精総長ダイヤモンドを凌ぐ強さと謳われるルビーですわね」
その強さに賛辞を贈るウェンスだったが、内心ではその実力を見て額に汗が浮かんでいる。
「それは持ち上げ過ぎだ。現に私はダイヤに勝てたことは一度もない。ダイヤモンドの強さとは決して砕けない。あれは、次元の違う強さなのだ」
「貴方にそう言われても、想像出来ませんわね……いつも子供達にあれほど微笑みを湛えている姿を見ていますと」
「あれは私も信じられないくらいに、だらしがないと思う……しかし、あいつの実力は紛れもなく一番のそれだ」
普段からシェーナ達に向かってニヤニヤと危ない笑みで可愛がるダイヤモンドだが、このルビーが一目置いているほどの実力を持っているということにウェンスは改めて興味が湧く。
「いつかダイヤモンドとも鍛錬してみたいですわね」
「フッ、その時は私も参加させてもらおう。さて……お喋りはこのくらいでいいだろう」
ルビーは雪崩を構え直すと、その全身に赤い闘気が立ち上がり、天に向かって昇っていく―――
「―――ッ?!」
(まだあれほどの力を秘めていましたの!?―――これは、出し惜しみしていられませんわね)
―――覚悟を決めたウェンスもまた、全身から黄金の闘気を湧き立たせていった。
「フフフッ!いいぞっ!その力、存分に披露してもらうとしようっ!!」
ふたりの残像が衝突する―――
「―――参りますっ!!!」
「―――来いっ!!!」
周囲を飲み込むほどの閃光がドーム状に広がって衝突するのだった―――




