メンフィスの魔術
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―――ユウリとカイを『胎内世界』に送り込んでから二日目の朝
八雲は黒龍城の自室で、窓から差し込む陽射しの温もりを感じてゆっくりと目を覚ます―――
いや、温もりは陽射しだけではなく、昨晩一緒にベッドに入ったレオの温もりで意識が覚醒して、一糸纏わぬ姿でレオが八雲に寄り添い、腹の部分にだけ掛かった毛布が腰で途切れて、白く滑らかな美しい曲線を描く尻がその目に入る。
「……スゥ」
昨晩の八雲との熱い夜で、すっかり疲れ果てていたレオは静かな寝息を立てて眠っている。
その滑らかな肌触りのシルクのような尻肉をそっと撫でて感触を楽しむ八雲。
「……うんっ……んんっ……あっ♡……ん、あら、あっ、おはようございます、八雲様/////」
「おはよう、レオ」
「昨晩はたくさん可愛がって下さって、ありがとうございます/////」
「俺の方こそ、レオがますます俺好みにエロくなってくれて、抑えるのが大変だ」
「まあっ♪ それではこのように硬くおなりになっていますのも……/////」
そう言ってそっと細い指を、八雲の硬直した場所に絡みつけるレオ。
「勿論、レオがエロいから痛いくらいだよ」
「あらっ、それは大変です♪……では、気持ちよくお慰めしますね♪/////」
そう言って自分の唇を淫らな舌の動きでペロリと一舐めしたレオは、ふたりが包まっている毛布の中に身を沈めていく。
温かくも吸いつかれるような感覚の中で、纏わりつく心地いい感触を堪能していくのだった―――
―――レオに身支度を手伝ってもらい、今日の準備を整える八雲
八雲は前日に予定した通り、トレーラー馬車のターミナル予定地にてドクトル・メンフィスによる魔力針の打ち込みを行い、クレーブスに魔法陣を刻印してもらうため首都アードラーの外壁の傍にまで皆で出向いていた。
柵を開いてターミナル内に進むと、ロータリーロードの中央に用意した円形の土地に皆で集合する。
宣言していた通りエドワード公王、公爵のクリストフ、アルフォンスと大臣達、そして護衛にはラルフとラース、そしてナディアが昨日同様に護衛を連れて集まっていた。
「随分とギャラリーが多いことだな……」
周囲を見て予想以上に見物人の多いことに軽く溜め息を吐いたメンフィスだが、
「それでは、早速始めるとしようか」
余計な時間は取りたくないとすぐに作業に取り掛かることにした。
「いいかね?これからこの円の中心、その地下に走る魔力回路に向けて魔力針を打ち込む。それが出来たらクレーブス先生に針の固定と魔力供給用の魔法陣を展開してもらう」
「分かった。勉強させてもらうよ」
その説明に八雲がその魔術を学ぶことを告げると、メンフィスは黙って頷く。
「では、始めるとしよう。まずは―――
―――《土属性魔術基礎》
―――《火属性魔術基礎》
―――《風属性魔術基礎》」
メンフィスにより、ひとつずつ展開される属性魔術―――
―――その属性を展開する度に、空中に円形の立体的な魔法陣が姿を現し、次々に上に積み重なっていく。
「そして……
―――《水属性魔術基礎》
―――《光属性魔術基礎》
―――《闇属性魔術基礎》
―――《無属性魔術基礎》」
七色に輝く立体的な魔法陣のリング―――
―――ドクトル・メンフィスの前に重ねられた七つの属性による立体的魔法陣がそれぞれゆっくりと回転していた。
「これは……『七重高速同時魔術詠唱』なのかっ!?」
目の前の状況に驚き、そう呟く八雲だったが、
「いいえ。これは八雲様の『七重高速同時魔術詠唱』ではなく、各属性魔術をひとつずつ発動させて立体的な魔法陣に組み上げたものです。ですが、その魔法技術だけ見ても、普通は魔法陣の制御が不可能なレベルの超高等魔法技術であることは確かですが」
隣で見ていたクレーブスが八雲に説明してくれる。
ドクトル・メンフィスは両手をその七段の立体魔法陣のリングに翳しながら、更に魔力を注力していく―――
―――すると、七段の魔法陣リングが一段ずつ、それぞれ左右に向かって段違いに回転を始める。
その回転に乗じてリングの中央に白く輝く縦長の槍の様な光の柱が生じ、それが徐々に巨大化していく―――
「このくらいでよかろう……いくぞ!
―――《七重魔力針》!」
七重リング型の魔法陣に翳していた両手を頭上に掲げたメンフィスの動きに合わせて、左右に回転していた魔法陣が大きく広がり、その中央に現れていた光の槍が上空に浮かび上がったかと思うと、
「―――フンッ!!」
下ろされたメンフィスの両手の動きに合わせて大地に急降下し、音も無く地面の中に吸い込まれていった。
「……成功したのか?」
隣のクレーブスに問い掛ける八雲。
「まだ今は地中の魔力回路に向かって進んでいるところです。ですが、もう間もなく―――」
―――クレーブスが話しているところで、円形に形作られたサークルロード内輪の地面が光を放ち出した。
「―――来ました。これで地中の魔力回路から魔力が溢れてきます。それでは……次は私が、
―――《魔力操作基礎》!」
しゃがみ込むクレーブスが両手を大地に向けて魔力を解放すると同時に彼女を中心に巨大な魔法陣が輝きつつ浮かび上がると、ゆっくりと地表にその魔法陣が下りて来て赤く輝く魔法陣がイルミネーションのようにその場に定着していた―――
「お見事」
ドクトル・メンフィスがクレーブスに賛辞を贈る。
「メンフィス先生もお見事でした。立体多重魔法陣とは、いいものを見せて頂きました」
クレーブスもまた、ドクトル・メンフィスの魔法技術に賛辞を贈った。
「これで完成ってことでいいのか?」
八雲がふたりに問い掛けると、ドクトル・メンフィスが、
「うむ。これでこの魔法陣の中であれば、地中の魔力回路から常に供給される強力な魔力が使える」
「この上に魔力を貯めるためにトレーラー馬車を停車させておけば、寝ている間に魔力が補充されると、そういうことだな?」
「そういうことだ。では、やり方も分かっただろうし私は戻らせてもらおう」
「ああ、助かったよ、ドクトル・メンフィス。あとクレーブスも」
「いえ、では何かあればまたお呼びください。八雲様」
メンフィスとクレーブスの協力でオーヴェスト=シュヴァルツ連邦の第一号トレーラー・ターミナルが完成した。
この後は各国のターミナルを建設すると共に、その国家間を行き交うトレーラー馬車の量産が必要となってくる。
(まだまだやることが多いな)
と八雲は青空を見上げつつ、この間にも『胎内世界』でサバイバルしているユウリとカイのことを思い浮かべていた―――
―――胎内世界で二度目の夜を迎えるユウリとカイ
「これ……ホントに食べられるのかな……」
ボロボロの小屋の外でカイが焚火用の薪にした木に火属性魔術で火を起こして、その上に石と木で固定したオークの右腕と左腕を並べて焼いていく。
「昔、冒険者の人に聞いたことがあるわ。どうしても食料が無い時は、食べても問題無い魔物の肉を調理して食べることがあるって。毒を持っていたり、食べられない魔物もいたりするけど、オークは豚肉と殆ど変わらないって言っていたわ」
周囲を警戒しながらも、カイに答えるユウリ。
『胎内世界』にもしっかりと夜はやって来る。
暗くなり、焚火以外の明かりのない闇の中で肉の焼ける匂いだけが周囲に広がっていく。
ユウリもカイも家の手伝いばかりやらされていた手前、家事や料理は一通り賄えるが、それは決してやりたくてやっていたわけではない。
ふたりで実家を飛び出して、こうして自分達で生活するようになってからユウリはカイに対して、カイはユウリに対してと相手のことだけを想って何かを行うという状況となり、またその環境になってからは嫌だと思うことなど微塵もなくなった。
「ユウリ、だいぶ焼けて来たよぉ~」
カイの声に自分も焚火の傍に戻ったユウリ。
河原で解体してきた時に手首も落としてきたので、見た目は大きな骨付き肉のようになっているオークの腕に、恐る恐る口をつけるふたり。
「……思ったより、美味しい、かも?」
「そうね……塩も何もないから、味付けは出来ないけど、食べられなくはないわ」
食べられなくはないと確認できると、ふたりは肉なんて物を口にするのが久しぶりで、思わず噛りついて食べ進めていく。
「カイ、明日が三日目だから明日一日頑張れば、きっと大丈夫よ」
「うん、明日一日頑張ったら……でも、それからもきっと、大変だよね」
「そうね。でも、何も見えない明日より自分達で作る明日なら、きっと後悔なんてしないわ」
「うん、私もそう思うよ。頑張ろうね、ユウリ」
「ええ。さあカイ、今晩も交代で眠ることになるから先に眠っておいて。暫くしたら交代で起こすわ」
「ユウリから先に寝て。今晩は私が先に起きてるから」
「そう?……分かったわ。それじゃあ、お願いね」
「うん、おやすみユウリ」
「おやすみなさい、カイ……」
眠りに就く挨拶を交わしてユウリは小屋の床でゆっくりと目を閉じて、そこから眠りに落ちていくのだった……
―――そうして、交代しながら睡眠を取って休むふたりに、運命の三日目がやってきた。
「ふぁ……」
「おはよう、カイ」
「おはよう……ユウリ。朝になったね」
「ええ。これで今日の夜を越えれば三日間生き残ったことに―――ッ!?」
―――ユウリがカイにそう告げたところで、突然ふたりのいる小屋が大きく揺れ動いて、元々がボロボロだった小屋の壁が斜めに崩れ倒れてくる。
「カイッ!!―――外へっ!!!」
「ユウリッ!!」
歪み出した壁が襲い掛かる寸前、なんとか外に転げ出したふたりの目に映ったものは―――
「GYHAAAA―――ッ!!人間のメスが出て来たぞぉ!!」
「GUHUUU―――ッ!!なかなか美味そうなヤツらだっ!!」
「HUHYAA―――ッ……犯してから、喰う……」
―――革の鎧を身に纏った五匹のオーガだった。
「FUUUM……しかしどうしてこんなところに人間の女がいるんだぁ?」
「黒神龍の考えることなど俺達に分かるもんか!KUFUFU―――ッ!今日は美味いモノが喰える」
巨大な体躯に額には角が生え、それぞれ棍棒や石斧を手にした逞しい身体つきをしたオーガを見て、ユウリとカイの脳裏に浮かんだのは、朝起きた時にふたりで思い浮かべた『希望』から一転して断崖絶壁から突き落とされたような『絶望』の景色だ。
カイは両脚が震えて膝がガクガクと痙攣している。
ユウリは絶望の表情を一瞬浮かべながらも、すぐに奥歯を噛みしめて―――
「カイッ!向こうへ!!」
すぐに五匹が立っていない方向へと指差してカイに指示を出すと、自身もその方向へと移動して槍を構える。
「HOOOO―――?あのメス共、俺達を相手にヤル気のようだぞぉ!!」
「GYAHAHAッ!!―――面白れぇじゃねえかぁ!やれるもんなら、ヤッてみろやぁああっ!!!」
ユウリの槍を見て、途端に『殺気』を放って牙を生やした大きな口を広げるオーガ達―――
「―――ヒィ!?」
―――その『殺気』に怖気づいて驚いた声を上げるカイ。
しかし―――
「お前等なんか、怖くないわっ!!!」
―――周囲に響き渡るくらいに、ユウリは声を張り上げて叫ぶのだった。
無情な三日目が始まっていく―――




