バビロン祭 開幕
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―――バビロン空中学園 学園祭『バビロン祭』開催初日
天聖神の加護か、学園祭の初日は晴天に恵まれて青空には教員達が学園祭の開催を知らせる火属性魔術の《火球》が打ち上げられた―――
パァン!パァン―――ッ!と空で弾けた《火球》を合図に学園に向かって来る人の波が増えていき、校門から続々と学園内へと入場を開始していた。
今日から三日間バビロン空中学園は一般にも開放されて、その中では学生達による模擬店や演奏、演劇、研究成果の発表など様々な催しが行われる。
特に研究成果の発表がされる講堂は多数の『研究テーマ』を掲げた生徒が多いため、講堂の使用時間は緻密なスケジュールを要する状況になっていた。
学園の校門を潜るとそこから広がる学園の敷地には多くの模擬店が立ち並んでいて、入場する大人から子供までを歓迎して迎えていく。
「いらっしゃいませぇ~♪ 朝ご飯を食べ損ねた方は是非!此方でお食事をどうぞ~♪」
「さぁ~!見ていってくれよぉ~!今日のためにダンジョンで手に入れた希少素材が~!」
飲食店から物販まで幅広い店舗が声を上げて客引きに精を出す中で―――
「いらっしゃいませぇ~☆此方はオープンカフェ『ムーンバックス・カフェ』です!」
「お飲み物からお食事まで用意してお待ちしております♪」
―――八雲達の営むとあるカフェに似たオープンカフェでは、店頭で可愛いメイドコスプレに身を包んだシャルロットとヴァレリアが早速客引きに立って声を上げていた。
龍の牙達のメイド服をベースにして、可愛いフリル付きエプロンドレスにホワイトブリムを頭に着けて、短い裾からは生足ニーソックスが絶対領域を形成しているのだ。
「その姿に世の男達が引き寄せられないなんてことがあるだろうか?―――いや、ない!!」
「ちょっと八雲?誰に説明してるの?―――早く手伝いなさい!」
力説していた八雲に、同じくミニスカメイドコスの雪菜がツッコミを入れる。
「いや、俺はこっちの担当じゃないから。俺の担当は警備全般と、あの闘技場だから」
「だからってコスプレの力説してる暇があったら手伝いなさい!」
「あ、はい。サーセン……」
八雲がショボーンと返事すると、
「あの……これも前回と同じくらい、恥ずかしいんだけど……」
そこにやってきたのは、ジーンズのような生地のショートパンツと、おへそ丸出しチビTシャツを着たマキシだ。
「いや、似合ってるぞっ!超可愛い!!……流石にバニーガールは学園祭ではヤバいだろうってことで、それになったんだからマキシの魅力をドンドン振り撒いてやれっ!!」
「その台詞を僕の胸を見ながら言ってなかったら、キュン♡ としたんだろうけどそれが出来なくて残念だよ……」
「何言ってるんだ。マキシの胸も最高だぞ。あと感度が―――」
「―――ワァアアアッ!!!こんなところで何を言い出すのさ!!!/////」
「おっと!こんなところでマキシの魅力を時間無制限で語りだすところだった。雪菜、店で揉め事でもあったら自分達でも片付けられるとは思うけど、基本は警備隊に連絡しろよ」
「八雲が真っ先に通報されそうだったけど?……まぁ、トラブル対応は分かってるよ。八雲こそ捕まらないようにしてよ?」
「HA!HA!HA!―――アルブムジョークはよしてくれよ!!」
「いや、アルブムにそんなジョークないから……」
「解せぬ……」
そんなやり取りをしているとホールの方からクリスティンが顔を出した。
「ちょっと!貴方達、こんなところで油を売っていないでホールに出て下さいまし!ヴァレリア様やシャルロット様が、次々にご案内してくださってホールはもう満席に近いですのよ!!」
「あちゃ~!ゴメン!クリス!―――ほらっ!マキシも行こう!」
「う、うん!」
「へぇ~!もうそんなに埋まってるのかぁ~♪どれどれ―――」
そう言ってバックヤードからホールを覗きに出た八雲は―――
「ブフウゥ―――ッ!!!」
―――ホールに出た瞬間、
前のめりで派手にズッコケていた―――
―――『ムーンバックス・カフェ』のホールには、
「シャルちゃん!可愛いっ!!シャルちゃん!可愛いよォオオオ―――ッ!!!」
「や、やめて下さい!お父様/////」
「リアたん!世界一可愛い!!リアたん!世界最高に可愛いぞォオオオ―――ッ!!!」
「お、お父様?!お、お願いですから、どうぞお静かに……/////」
ティーグルの親バカ兄弟こと公王エドワードと、その実弟の公爵クリストフが自分達の愛娘の可愛らしいメイド姿にメロメロになって絡みまくっている……
しかも、ホールでテーブルに着いているのは彼らだけではない―――
呆れ顔のティーグルの皇太子アルフォンスに、その妻のアンジェラ。
木槌を構えてクリストフの後ろに笑顔で立つクリストフの妻でありシャルロットの母アンヌ。
エレファン公王領のエミリオとレオン。
エーグル公王領のフレデリカとキグニス。
リオン議会領のジョヴァンニとカタリーナ。
レオパール魔導国からはエヴリンとエルドナ。
ウルス共和国からバンドリンとイザベル。
フォック聖法国の聖法王ジェローム。
イロンデル公国のカイレストとデビロ。
そして―――フォーコン王国女王レーツェルと吸血鬼騎士の四騎士達。
八雲がオーヴェストで出会ってきた国のトップクラスが一同に集っていたのだ。
「な、な、なにこれっ!?どうなってるんだ!?聖法王猊下までどうしてっ!?」
流石の八雲も、これほどの面子が此処に集っていることに面食らってパニックに陥った。
「フォッフォッフォッ!可愛い孫娘の学園が執り行う学園祭と伺って、年甲斐もなく参上した次第です」
聖法王ジェロームは笑いながら八雲に返す。
「そ、そうですか……あっ!ユリエルなら隣の建物で治療院を担当していますよ!後で会いに行ってあげて下さい」
「おお、そうですか。此処でもあの子は人々への奉仕の気持ちを持ち続けているのですな。喜ばしいことです」
そう言ってウンウンと頷くジェローム。
「あの黒帝陛下、我が娘……アマリアは此方で、ご迷惑をお掛けしておりませんか?」
次にレオンが八雲に娘のアマリアの様子を窺ってきた。
「アマリア?いや、全然迷惑なんて掛けられてないよ。むしろ一緒に朝の鍛錬をしていて、今までのとは違った精練された戦い方になってきているくらいだ。あの子はセンスがいい!強くなるよ!」
「そ、そうですか!!陛下の前でしっかりとやっているのなら、それでよいのですが……」
「心配し過ぎだって!エミリオもよく来てくれたな!ゆっくりしていってくれよ!」
「はい!この後は妹の教室の催し物も見に行ってみようと思っています」
「ああ~そうね、うん、いいんじゃないかなぁ……」
(たしかアマリアのクラスの催し物って、勝ち抜きバトルの模擬戦をしていた様な……)
「ウフフッ♪ 八雲様は随分と学園で楽しそうにお過ごしなのですわね♪」
そう言って笑みを浮かべているのはフレデリカだ。
今日は皆お忍びという名目なので、誰もが貴族の外出用に使うような衣服を纏っているので、パッと見は王や女王だとは思われない装いをしている。
フレデリカもまた、城にいた時のような煌びやかな装飾もなく、外出し易いドレスで来ていたが、それもまた自然なフレデリカの魅力を引き立たせている。
「今日のフレデリカからも、新しい魅力が見られて嬉しいよ」
「まぁ♪ 八雲様、いつからそのような歯の浮くような台詞が言えるように?」
「うん、たった今から!アハハッ!でもフレデリカが魅力的なのはホントだから!そうだ!ちょっと料理を頼んでくるよ!!」
そう言って一旦バックヤードに向かってすぐに戻って来る八雲。
「ロッシ議長とカタリーナもよく来てくれたね」
「エドワード公王陛下の御誘いを受けて、こちらにお邪魔致しました。ご壮健で何よりです陛下」
「カタリーナも来てくれて嬉しいよ!」
「ウフフッ♪ 八雲様にはわたくしの聖ミニオン女学院の学院祭に来て頂きましたから、わたくしも此方の学園祭で学べることを学んで帰りますわ♪」
すると、バックヤードから皿を持った人影が現れる。
「それじゃあ~♪ まずは此方の料理からどうぞぉ~♪」
「ソフィー姉さん!?それにサリーまで!?」
「エヘヘッ♪ まさかお父さんとカタリーナ姉さんまで来るなんてビックリだよ♪」
「どうしてお前達が、ヴァーミリオンまで?」
驚いた顔をしているジョヴァンニとカタリーナに八雲が説明する。
「実は学園祭の間だけふたりにはお店を休んでもらって外部からの助人役でうちに来てもらったんだ。此処でピッツァを出してもらおうと思ってね♪」
そう言った八雲の後ろから次々とオーヴェストメンバーのテーブル席に焼きたてのピッツァが運ばれてきた。
「お父様と八雲様を驚かせるつもりで来ましたのに、逆に驚かされてしまいましたわ♪」
すると横から―――
「これがリオンで有名な美人姉妹の作るピッツァなのね♪ これは美味しそうだわ♪」
「冷めないうちに召し上がれ。エヴリン、エルドナ」
「フフッ♪ 八雲様、お元気そうで」
「さっき驚き過ぎて心臓止まるかと思ったけど、元気だよ」
少しジト目で返す八雲の背中をバンッ!と叩いてくるのは―――
「ガハハッ!!黒帝陛下にとってみれば、この程度のこと些細なことであろう!それを言うなら吾輩の方が初めてヴァーミリオンまで来られて興奮しておるくらいだっ!!」
―――初のヴァーミリオンに興奮気味のバンドリンだった。
「父上!!八雲様に不敬だろう!!申し訳ございません、八雲様」
「良いって!良いって!バンドリンはこうじゃないとさ!イザベルも、よく来てくれたな」
「はい、お会いしたかったです……八雲様/////」
そっとイザベルの頭を撫でてやると、さらに顔を赤くするイザベル。
「学園というものには初めて来ましたが……なかなか賑やかで興味を魅かれますね」
そう話し掛けてきたのはフォーコン王国の吸血鬼女王レーツェルだった。
その席の横にはアトス、ポルトス、ダルタニアン、コンスタンス、そしてアラミスが並んで立っている。
「レーツェル陛下もヴァーミリオンまでお越し頂けるとは思いませんでしたよ」
「面白いことがあったら、声を掛けるとお約束して下さいましたのに……意地悪ですね」
「いやぁ~!学校の行事くらいで流石に女王陛下をお招きするのは恐れ多いでしょう?アトス達も護衛で来てくれたんだ?」
「ええ。それに、アラミスも黒帝陛下にお会いしたいと申しておりましたので」
涼しい顔でサラッと訊いてもいないことを告げるアトス。
「なっ?!―――ア、アトス!!わ、私はそんなこと言ってないぞ?!/////」
「それじゃあ、会いたくなかったのか?」
ニヤニヤとした顔で、アラミスの赤くなった顔を覗き込むダルタニアン。
「うるさいぞ!あっちに行ってろ!ダルタニアン!!/////」
「あっちに行ってたら護衛にならないだろ……」
「相変わらずだなぁ、ダルタニアンは……コンスタンスも来てくれてありがとう」
「い、いえ!私は陛下の侍女として御供しているだけだから」
「あら?何だったら今からダルタニアンとデートしてきてもよいのですよ?」
レーツェルの粋な計らいに、コンスタンスは顔を真っ赤にして、
「へ、陛下!?い、いえ!そのような―――/////」
「―――いいんですか!陛下♪ お土産は何がいいです?」
「ダルタニアン!!」
本気にしたダルタニアンを諫めるコンスタンス。
「アアッ!!そうだ!!!―――陛下!ちょっとアラミスとコンスタンスをお借りしても?面白いことになりますよ♪」
「黒帝陛下がそうおっしゃるとは……よっぽどのことなのでしょう。どうぞ」
「よしっ!!それじゃあ、ふたり共こっちに来てくれっ!―――あっ!お~い雪菜ぁ!!!」
そう言ってアラミスとコンスタンスをバックヤードに連れて行く八雲。
暫くして戻ってくると、
「さて、よく来てくれたな。カイレスト。それにデビロも」
イロンデル公国の公王が座る席に向かって声を掛ける。
「黒帝陛下……イロンデルの我等がお邪魔してしまって―――」
そう言い掛けたカイレストの言葉に手を差し出して止める八雲。
「イロンデルも大事なオーヴェストの国だ。『五大同盟』の件は報告を聞いてるよ。だから、今日はふたりも楽しんでいってくれ!」
にこやかにそう告げる八雲にカイレストはウッと言葉を詰まらせて、熱くなる目頭を押さえていた。
そうして皆と歓談していると―――
「八雲ぉ~!準備出来たよぉ~♪」
―――雪菜の声で皆の前に現れたのは、
「―――オオオォ!!!」
「あらぁ~♪ いいじゃない!凄く似合ってるわ!!!」
その場にいる皆が声を上げて驚いたのは無理もない―――
―――赤い光沢のある生地に金糸で龍の刺繍が施されたチャイナドレスを纏ったアラミスと、
―――青い光沢のある生地に金糸で龍の刺繍が施されたチャイナドレスを纏ったコンスタンス。
―――美しいふたりのチャイナ娘が皆の前に現れたのだ。
「ウン!金髪チャイナもいいよなぁ~♪ どうです?レーツェル陛下。うちの衣装で仮装したふたりは?よかったら学園祭の間、ふたりにお貸ししますよ?」
八雲は此処でなら、仮装と言えば女の恰好をしていてもアラミスの美しさなら違和感なく、魅力溢れる女性に戻れると暗にレーツェルに提案しているのだ。
「……とても……とても、よく似合っているわ。アラミス、コンスタンス……ヴァーミリオンにいる間は、その仮装を身に纏ってわたくしの傍にいなさい。これは命令よ」
「はい……陛下の御意のままに……」
(お姉さま……)
傍から見れば八雲のおふざけに見えるが、実際にこうして外で女性としての恰好をしたアラミスと出歩くなどということは国元ではあり得ないことなのだ。
アラミスも、八雲の心遣いだと気がついていて何より姉であるレーツェルとこうして女同士、姉妹として歩けることが嬉しかった。
「何だったら陛下も着てみます?」
「え?……よろしいのですか?」
「勿論!―――雪菜!頼む!!」
「ハイハァ~イ!」
そうしてアトス達が驚いた顔で固まっている中、レーツェルまでバックヤードに案内されたかと思うと―――
―――暫くしてから雪菜に促されて現れたレーツェルは、
黒の光沢のある生地に金糸で龍の刺繍が施されたチャイナドレス姿だった。
「……似合うかしら?」
そう問い掛けるレーツェルにその場にいる全員、特に男性陣が物凄い勢いで頷いて返す。
「……お恥ずかしい/////」
そのような感情を表に出すレーツェルも珍しいため四騎士達は驚いていたが、同時に喜んでもいた。
そんな一団に八雲から、
「俺達の企画はカフェだけじゃないんだ!次は隣のエリアに案内するよっ!!」
特別クラスの次の催しに案内するのだった―――




