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黒神龍の御子になった異世界冒険譚~最強ドラゴンの夫になって異世界ハーレム無双~  作者: KAZ
第2章 皇国に御子生誕編

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新天地に潜む影

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公爵邸で一晩過ごした八雲達は公爵領に土地を検分に向かう―――

―――公爵家の客室に泊めてもらうことになった八雲とノワール。


夫婦の契りを結んで絆を深めた八雲は、ノワールに遠慮せずに一晩中可愛がっていた―――


―――そして、窓から明るい陽射しが差し込む公爵邸の客室。


朝の陽差しが窓から優しく部屋の中に差し込み、心地いいベッドの温もりの中で八雲は目を覚ました。


八雲の広げた右腕を枕にしてノワールが全裸のままピッタリと、そのスベスベな褐色の肌を密着させてスヤスヤと心地よいリズムで寝息を立てていた。


(そうだ……今日は……土地を見に行くって話だったな)


まだ少しボンヤリした頭で、昨日の公爵との話を反芻する八雲。


公爵邸に泊めてもらっている手前、こちらがいつまでも寝ているわけにはいかないと頭の中で結論を出してからは、ノワールに優しくキスをして覚醒を促す。


「ん、ちゅ…ちゅ……んあ、やくも?……おはよ……んちゅ♡」


「おはようノワール。今日は土地を見に行く話だっただろ?起きて準備しよう」


キスしながら今日の予定を伝えると、キスに夢中になっていたノワールも、


「おお!そうだったな!うん、楽しみだな八雲!えへへ♪」


ニコニコと今日の予定が楽しみなことがわかる態度に、八雲も同じく笑みが零れた―――






―――公爵家の人々と朝食を終えて、公爵邸の正面玄関


「それじゃあ馬車を用意してるから、皆気をつけて乗り込んでねぇ~♪」


パパモードのクリストフが、王家と公爵家の紋章が入った馬車に乗り込むよう促す。


クリストフ、アンヌ、シャルロット、八雲、ノワールの五人が乗った馬車は、ヘンリー率いる護衛達と共に公爵領までの道のりを出発する。


「なぁに、ここから領地まではほんの一時間ほどで着く距離だから♪ 特に何があるというわけでもない土地でねぇ……恥ずかしながら首都アードラーから近いってことぐらいしか、良いところがないんだよ」


車中、クリストフが領地について簡単に説明をしてくれた内容は―――


―――特筆するような特産品はない。


―――山、森、湖、川といった自然は豊富で、好きな場所を八雲達が選んで構わない。


―――建物を建てるのは相談に乗るので言って欲しい。


―――逆に八雲が旅で得た知識で特産品を考えてくれたら、利益は八雲が取っていい。


―――近隣の領主には考えの偏った、いわゆる悪徳な貴族もいるので対応に困ったときは相談するように。


等々、簡単にではあるが状況をと条件を説明してもらったが、その全ての話に、


「―――八雲に任せておけばいい!」


と根拠のない自信満々の相槌しかしないノワールに、流石に八雲も


(安請け合いし過ぎだろ!信頼が重い……)


と思ったのだが、それを聞いたクリストフも―――


「―――だよねぇ~♪ 八雲殿なら、もう楽勝だよねぇ~♪」


とノリノリのラッパーみたいな相槌しか言わなくなっていたことに、本気じゃないよね?と八雲も不安に陥っていった。


「きっと八雲様なら大丈夫です!だって八雲様はlevel.100ですもの!」


ノワールとクリストフのノリにシャルロットまで乗りだした。


「―――え?なにその脈絡の無い根拠?」


「うんうん♪ そうだよねぇ~♪ 八雲殿はLevel.100だもんねぇ~♪ パパも安心!」


「おい、だからなんでLevel.100だったら大丈夫みたいになってんの?」


「はい!きっと大丈夫です!Level.100の八雲様なら何でもできます!/////」


「Levelが100なら神様なの?それどこの宗教?」


「当たり前だ!我と結ばれたいがためにLevel.100までなったのだ!八雲はやれば出来る子だ!」


「確かに約束したけど、できないこともあるからね?」


「いいねいいねぇ~♪ パパも義父上にママを下さいって挨拶しに行った時に、家宝の剣を持ち出してきた義父上に庭を追いかけ回されてヤられるところだったけど、結婚許してもらったときのことを思い出しちゃうなぁ~♪―――だから大丈夫だよね☆」


「いやキラン☆じゃねぇよ。その思い出と土地の話との繋がりが全くねぇよ」


「Level.100だからな!」


「Level.100ですもの/////」


「うんうん♪ Level.100だもんねぇ~♪」


「お前等ホントはLevel.100バカにしてる?ねぇそれバカにしてるよね?もう怒っていいよね?」


次々と挙げられたLevel.100信仰に、八雲のツッコミも段々遠慮がなくなっていく……






―――そうして予定通り一時間ほどして、その目的の土地に到着した。


小高い丘の上にある土地だが、その土地の横には透き通った水を貯えた大きな湖があり、その静かな湖面が風に揺られて小さな波が立って陽の光をキラキラと反射させていた。


湖の向う側にある切り立った連峰から綺麗な水を湛える川が、その湖に流れ込んで八雲達のいる対岸にあたる土地に、もう一本の川が湖から下流へと流れ出していた。


陸上に住まうほとんどの生物が、水を必要とする。


この土地は湖、川、森、山、そして肥沃な土地と自然をひとつに纏めて置いたような、理想の土地と言っていい高条件の場所だった。


だが、そこで八雲は考える……


(こんな高条件の場所なのに、なんで手を着けていなかったんだ?)


八雲の疑問はもっともなことで異世界とはいえ、これほどの高条件に見える場所なら公爵の言う入植民を進んで住まわせるのに、もってこいの場所にしか見えない。


「おおお―――っ!!いい場所ではないか!なぁ!八雲!!」


ノワールも一目で気に入ったようで瞳をキラキラさせながら、彼方此方に目線を向けていてシャルロットもノワールにあっちはどうで、こっちはどうだと色々目に入るものの説明をしてくれていた。


「エアスト公爵、これほど高条件の土地に、どうして今まで入植者を住まわせたり手をつけなかったんですか?」


「嫌だなぁ~公爵なんて他人行儀な!パパって呼んでくれていいんだぞ☆」


「いやパパにした覚えねぇから」


キラン☆にイラッとした八雲は、もはや遠慮が自然に無くなっていた……


「もう!冷たいなぁ八雲殿は!……さて、ここに人を住まわせていない理由だったよねぇ。実はね、あそこに見える湖なんだけどさ、厄介な魔物がいるんだよねぇ」


いきなりシリアスムードになったクリストフに、八雲は思わず『索敵』を湖に向ける。


「―――ああ、確かに何か大きいのがいるな……」


『索敵』に引っ掛かった魔物は、ちょうど湖の中央辺りで湖底に潜んでいる様子だ。


「なんだ八雲、『索敵』は常に発動させておけよ?弛んでいるぞ」


シャルロットとキャピキャピ話していたノワールはとっくに魔物に気づいていて、『索敵』の重要さを改めて八雲に向かって諫め、


「さっさと片付けろ。そうじゃないとここに城が建てられんではないか」


と環境整備の害獣駆除を上から目線で、簡単なことのように命じる。


「……そうだな、ここに住むのにお隣が魔物っていうのもご近所迷惑だしな。仲良くできる気がしない」


『索敵』の結果、湖の面積はおよそ二百平方キロメートル、大体、日本最大の湖である琵琶湖の三分の一以下ではあるものの、充分な水量と大きさを有している。


その湖の中央でそこそこの大きさの反応を示している以上、魔物自体もかなりの大きさなのだと推定した。


「……公爵、まさか俺に、この魔物を退治させようと?」


「ぴゅ~ひゅひゅ~♪ な、なんのことかなぁ?パパわかんなぁ~い~」


目線を逸らして口笛を吹こうとしているが、上手く吹けていないクリストフ。


「いや吹けてねぇよ!下手くそか!」


「なんか八雲殿のツッコミが、どんどん辛辣になってきてるのってパパの気のせい?」


「それだけあなたに、親しみを示してくれているんですわぁ♪」


アンヌまでが「そんなこと気にするな!」と暗に含んだ黒い笑顔で、クリストフを煙に巻こうとする。


「あ、そう?だったら、パパいいんだけどぉ……ええっと、八雲殿の話だけど正直その通りなんだよねぇ……見ただけでも、ここが良い場所だってことはわかってもらえると思うんだよ♪……でもぉ、その件の魔物がさぁ、人を住ませようとする度に襲撃してきてさぁ……」


クリストフの話では―――冒険者ギルドに討伐を依頼したり、護衛の兵士を討伐に派遣したこともあったそうだが、ことごとく返り討ちにあって退治できないとのことだった。


「なるほど。でもそれならそれで初めから言っといて下さいよ。話してくれれば協力するのに」


「こんな騙すような真似をしてしまい申し訳ない。もし退治してくれたなら、この地の納税は無しで構わないから、どうかオネシャス!」


「……何か最後のがイラッとしたけど、こっちとしても、そんな魔物邪魔だよな?」


ノワールに問い掛けると、彼女もまた、


「当然だ!あれほど美しい湖が安心して遊べないと、これから先で人も増えんだろうからな!」


「おお!流石は八雲殿にノワール殿!それじゃ―――」


「はぁ……今回は仕方ないか―――さっさとブッ倒す」


水面に視線を向けて八雲は討伐宣言するのだった―――






―――話は決まって、魔物がいるとは思えないほど美しい湖畔に移動する八雲達。


「それで、どうやって引っ張り出す八雲?」


ノワールがこれからの作戦について問い掛けてくるが、八雲の方針はすでに移動途中で決まっていた。


「引っ張り出す必要なんてない

―――《空中浮揚(レビテーション)》」


いきなり覚え立ての『無属性魔術』《空中浮揚(レビテーション)》を発動させた八雲は、その場から浮遊して蒼天に向かって急上昇していく。


(オオッ!初めて使うけど、思ったより思い通り飛べるなこれ)


高速飛行で風を全身に感じながら、八雲は湖の中央辺りまで飛び進んで『索敵』で敵の正確な位置を感じ取る。


「凄いです!八雲様はお空も飛べるのですね♪/////」


シャルロットは、そんな超人的な八雲の姿を憧れ以上の眼差しで見つめ、両手を上げてはしゃいでいる。


「ふふ、我の夫だからな!」


なぜか我が事のようにドヤ顔を決めたノワール。


そんなことは離れていて知らずに、湖の中央までやってきた八雲は空中から下の湖を見下ろして次の段階へと進む。


「別に出てこなくていい……こっちも引っ張り出すつもりもない……湖底で、ただ静かに黙って眠ってもらう」


そう呟くや否や八雲は魔術展開を開始する。


八雲の周囲に、いや湖の中央部を覆うほど大多数の仄かに光を放つ魔法陣が、八雲の周辺に湖に向けて展開されると―――


「―――《氷弾(アイシクル・ブリット)》」


術式終了を告げる八雲の詠唱を機に、周囲の魔法陣から次々に先端の尖った氷柱のような《氷弾》が出現して、一気に湖へと集中砲火を始める。


次から次に撃ち出される《氷弾》は八雲オリジナルの回転も掛かっており、水中に突入したあとも回転しながら推進力を落とさず、湖底まで一瞬で直撃を繰り返している。


魔法陣から続々と発射、湖に直撃する《氷弾》は―――


―――衝突した湖面では巨大な水柱が次々と上がっていく。


―――回転しながら水中を直進する《氷弾》が湖底に潜んだ敵を捉える。


―――そして湖底に潜む魔物の巨体に、次々と固い鱗を貫いて突き刺さっていく《氷弾》。


―――突然、その身に氷の弾を突き刺される激痛に、湖底で絶叫を上げる魔物が浮上しようとするが、次々に降り注ぐ《氷弾》で浮上できない。


―――それでも八雲は容赦なく《氷弾》の連射を止めず、確実にトドメを刺しにいく。


湖底の魔物は、激痛に慌てて湖面に浮上しようと試みるも撃ち込まれる《氷弾》が身体に次々と突き刺さり、浮き上がろうにもその氷の勢いで浮かぶこともできずにいた……


仄かに薄水色に輝く魔法陣から降り注ぐ秒間60本の《氷弾》を、息を吐かせぬ勢いで一斉射していた八雲の攻撃は約1分間続き、およそ3600本もの《氷弾》が撃ち込まれた湖は水柱を上げ、激しく波打ち、やがて静かになる―――


これまでの攻撃を見ていたクリストフ、シャルロット、アンヌに護衛のヘンリーは目を見開き、声も出せずに呆気に取られていた。


ノワールは当然だといった顔をしていたが―――クリストフも正直なところ、八雲がLevel.100という話は眉唾だと思っていた。


ヘンリー達の報告から高Levelであることは間違いないだろうと推測していたが、英雄越えは盛り過ぎだと―――


「―――これは……凄いねぇ」


これまで英雄を自称するペテン師の類や王宮の汚い貴族共の横行、強欲な商人達の相手をしてきたクリストフとしては、八雲の強さについて疑いをもつというのは常識から考えても仕方のないことだった。


だが、娘の命の恩人であり、何かと謙虚な姿勢と昨日までだったが礼儀正しい態度にも、卑劣な悪意は感じなかったので、強さを詐称するくらいは大目に見ようとまで思っていた。


そんなクリストフの考えは、今、目の前で起きた常人では不可能な領域の力を見せつけられたことで、すっかり見事に撃ち砕かれたのだ。


「ハ、ハハッ!―――ハハハッ!!アハハハハッ!!!」


「お父様!?」


自分の矮小な疑いや常識など吹き飛ばす八雲の圧倒的な力に、クリストフは久しぶりに腹の底から笑った。


そんな父の笑う姿にシャルロットは何事かと疑問に思っていたが、そんなクリストフの妻であり苦労を共にして夫の苦悩してきた姿を、その横でずっと見てきたアンヌには笑い飛ばしている夫の姿が昔、若い頃に見慣れていた本当の笑みだということを懐かしく思い出して、夫の本当の笑顔を見ながら一緒に笑みを溢していた―――






―――その頃、空中の八雲は、


発動している『索敵』で湖底の様子を見ているが、そこには魔物の反応はすでになかったので討伐できたことは間違いないと確信した。


しかし湖底の死体を、これからどう引き上げようか思案している。


このまま死体を放置してしまうと恐らく腐敗が進んで湖に病原が発生し、汚染してしまう可能性が高い―――


そうなると、この場所に住もうと考えている八雲達にも影響が出るし、このあと入植民が増えてきたりしたら水というライフラインが使えなければ生活ができない。


「―――そうだ!」


名案を思い付いた八雲は、湖の中央から再び皆のいる湖畔へと飛び立つ―――


「あ!戻ってきましたわ♪」


戻ってくる八雲の姿を見て、真っ先に声を上げたのはシャルロットだった。


―――湖畔に降り立った八雲は、空中で考えていた汚染の心配について簡単にクリストフに話してみると、


「うん、確かに病気の心配は八雲殿の言う通りだし、そのような汚染された土地では当然、入植も進まない。頼ってばかりで申し訳ないが何か手はあるのかな?」


「ひとつ、試してみたいことがあります」


そう言って八雲はノワールにこれからしようとしている事の確認をする。


「う~ん、そうだな。それで問題はないと思うが仕掛けたあとに、この場にいる者達に障壁を張っておかないと、被害があるかもしれん。今回その障壁は我が張ってやるから、お前はお前の事を成せ」


と補足を頂きながらも承認されて、八雲は準備に取り掛かった。


湖畔に立って湖の中央に向け視線を向ける八雲が、今度は片膝を地に突いて―――


「―――《鉄陣障壁(スティール・ウォール)》」


土属性魔術の上位魔術・《鉄陣障壁(スティール・ウォール)》を発動させた。


本来、この魔術は上位なので、そのコントロールは今の八雲には難しい魔術なのだが今回は使用規模が大きく、魔力を気にする必要はないのでコントロールすることだけに集中すればいい。


発動してすぐ八雲の目の前から天辺が凹型で道幅10mほどの整地された鉄壁が、次々波打つように中央に向けて水中から盛り上がっていく。


「オオオオオ―――ッ!!」


やはりコントロールが未熟なためか、魔力の消費は大きい。


だが、元々魔力が桁違いの八雲にとっては消費している感覚はあっても、その魔力が底を突くような感覚はない。


凹型の天辺をした鉄壁がドンドン連なって立ち上がり、中央までの道ができていく。


「これで―――最後だ!!」


伸びた道の先、湖の中央辺りに見える水が怪しく泡立ち、盛り上がり、そして―――


ゴゴゴゴゴゴ―――ッ!!!


地響きと共に湖の中央に、轟音と大波を巻き起こし、暗い水中から円柱状の半径百mほどの島が浮上し、その皿のような上面で浮上した島の真ん中辺りには《氷弾》の氷が大量に突き刺さった魔物が載っていた。


それと同時に湖の中央に突如現れた巨大な質量によって、一瞬で膨張した湖の体積が外に向かって溢れ出すために大波となって湖畔に向かって襲い掛かってくる。


「キャアア―――ッ!!」


「うおわっ?!ウップ、ブフ―――ッ!!……おいノワール?」


大波に驚いたシャルロットを含むエアスト家の人々は、一瞬で前に出てきたノワールが張った障壁に護られ、まったく水を被ることはなかったが湖畔にいて《鉄陣障壁》を行使するため片膝を突いていた八雲は障壁が無いぞ!と思ったときには、頭から湖の水をどっぷりと被り、全身びしょ濡れになっていた。


「……障壁張ってくれるって言ったよな?」


「だからクリストフ達は護ってやったぞ。お前は自分自身で護るくらいしないとダメだろう?」


「うっ……」


頭からポタポタと水滴を落としながら、自分の能力を考えれば確かにノワールの言う通りだと、言い返せなくなった八雲だった……

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