ハットとリックの双子クッキング~惚れ薬編~
「「ハットとリックの双子クッキング!」」
「今日は、〝惚れ薬〟を作っていきましょう」
「気になるあの子を振り向かせたいそこのあなた! 必見ですよ!」
「それではまず、大きな鍋を用意しましょう。人一人が入るくらいの大きさが良いですね」
「そこに、八分目ほどまで水を入れます。水は、事前に月光に一晩晒しておいてくださいね」
「鍋を火にかけて、沸騰してきたら材料を入れていきます」
「猫の髭・一本、四葉のクローバー・五本、天使の羽根・一掴み、ユニコーンの角の粉末・少々、幸せの青い鳥の血・三滴。これを順番に入れてください」
「順番は間違えないでくださいね。一つでも入れ替わると、〝嫌われ薬〟になっちゃいますよ」
「次に、三日三晩、火を絶やさずに掻き混ぜ続けます」
「……え? そんなのは大変だって?」
「惚れ薬を作るんですよ? 好きな子のことを思えば、どうってことないでしょう。これくらいは耐えてください」
「三日三晩経ったら、到頭最後の仕上げです」
「あなたの涙を一雫、加えて混ぜれば完成です!」
「小瓶やコップに移して意中のあの子に飲ませれば、あら不思議!」
「その子にはもう、あなたしか見えません」
「恋人にするも良し、結婚の契りを交わすも良し。あなたと意中の子は結ばれます」
「これでもう、薔薇色の人生ですね!」
「…………でも、まあ――」
「「翌日には、副作用で命を落とすことになるんですけれどね!!」」