闇の妖精
その突然の雨が
きみの全身を濡らしたら
白い妖精みたいと思ったぼくは、
なんだかまだなんとかなると
かんがえているみたいで嫌だ
ただふたり両手をからめていた
とおいむかしのあの風景を
おもいだして、狂いそうになる
きみと戯れていられたあのころ。
瞳が濁っているのは、
夢をみ過ぎた罪のせい、
血を流し過ぎたのは
きみのような人を好きになったせい
罪の雨降るさびれた交差点で
けんめいに呼吸をしようとしている
きみの吐息の白さは
罪を認めたいさぎよい心の色だけど
だからってそれがなんだというのだ
雷鳴が轟き、
ふたりはべつべつに驚く
そこに光はなく、瞳には、闇ばかり。