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第1話 Prologue

【はじめに】

初投稿(処女作)となりますので生ぬるい目で見ていただけると幸いです。

目標は睡眠前や移動中の暇潰し、トイレのお供になること!

拙い作品ではありますが末永くよろしくお願いします。

 西暦2040年


 人類は一人の天才開発者の手によって、技術的特異点(シンギュラリティ)と呼ばれる一つの技術的な壁を越えた。

 そして、その最たる恩恵として生まれたのが《電子生命体》と呼ばれる――否、自らを電子生命体と呼称する、人類の知性を大きく超えたAIの誕生であった。


 人間が何百年と積み重ねてきた技術の歴史を嘲笑うかの如く、AIは誰に言われることも無いままに第四次産業革命を起こし、人間では想像でしか語れなかった様な革新的な技術改革を一気に推し進める事となる。




 西暦2045年


 第四次産業革命における代表的な工業施策として打ち出された《Digital() Brain() Support(補助) System(システム)》の運用が日本を含めた世界各国で全ての人間に適応される事となる。


 これは人間の脳に(ブレイン)(インプラント)(チップ)と言われる極小のマイクロチップを埋め込む事により、スマートフォンなどの外部デバイスに頼ることなくネットワーク接続を人間単体で行える事を筆頭に、記憶分野の補助や、視覚野を制御する事によるARホログラムの可視化等、20世紀では夢のまた夢と称された技術が現実の物となった瞬間でもあった。




 西暦2049年6月


 世に一つのフルダイブ型VRMMOが発売される。

 その名は【Boundary Shift Online】。

 人間が一切関与する事無く、AIのみで企画開発運営全てを手掛けた《現行世界×ファンタジー》をテーマとした作品であり、既存のVRMMOとは一線を画す圧倒的な技術力で五感の再現のみならず、()()()()()()を電子の海に完全再現していた。


 そして世界中の人々はBSOに熱狂する。

 これがただリアリティーを追求しただけのゲームであれば、所謂ゲーマーと呼ばれる元々ゲームに興味を持っている人間しか手に取る事はなかっただろう。


 しかし、BSOはその圧倒的なリアリティーと五感の完全再現により、家に居ながらにして世界各国への渡航や食事と言った、リアルと寸分違わぬ体験を提供する事が可能となる。これにより日頃からゲームに馴染みの無い世代さえも大量に取り込む事ができたのだ。




 西暦2050年3月


 運命の悪戯に導かれるかの如く、一人の少年と一人の少女が同時にBSOの世界へと足を踏み入れる。

 二人はこれから先に待ち受ける過酷な運命など知る由も無く出会い、惹かれ合う。

 少年たちは知らない、BSOが造り出された本当の理由を。

 少女たちは知らない、人間を超えたAIが求める終着点を。





 これは後の世に《Revolutionary war of AI》と呼ばれ、人類対電子生命体の争いの中心に巻き込まれた数奇な運命を持つ二人の軌跡を辿る、そんな物語。









 ◇◇◇◇◇◇







「え?……」


 疑問符が頭を埋め尽くす。

 意味が分からない。

 いや……システムとしては知っていた。

 ただ今の状況で起こり得るとは全く想定していなかったからだ。


『パーティリーダーの決定によりバトルエリアからの強制退場となります』


 無機質なデジタル音声と共に視界に表示されたこの文字列によって混乱が膨らんでいく。

 しかし、混乱する俺の事などお構いなしに視界右上部には『10』の数字が追加で表示される。

 初めて見るものだったが、退場までのカウントダウンだと頭の片隅で理解できた。

 あと10秒で強制退場……。

 これは所謂『キック』と呼ばれるバトルエリアからの強制排除システム。


「なんで……こんな時に……」


 上空では全身機械仕掛けのドラゴンがその背後に幾何学的な魔法陣を幾重にも展開し、今にもその猛威を振るわんと咆哮を上げている。


「グレ「すまねぇな」」


 パーティリーダーであるグレンの名を呼ぼうとするも、グレン本人の謝罪でかき消される。

 悲壮感を湛えた顔で謝罪してくるグレンにいつもの豪快な笑顔は見る影もない。


「今はこの方法しか思いつかなった……」


 囁くように呟いたその声には悲しみや悔しさ、後悔の念が込められている事を感じた俺は余計に混乱してしまう。

 なぜ? その疑問符が頭を埋め尽くすが上手く言語化できない。


「これはお前に託す」


 そう言って俺の手を取ると、強引に何かを握らせて来る。

 言いたいことは沢山あるはずなのに言葉が出てこない、そんな俺の肩に手を置いてグレンは言い放つ。


「悪いなアキト、あとは頼むぜ!」


 つい先ほどの悲壮感はどこに消えたのかと言いたくなる程に、それは豪快で不敵な笑顔だった。

 いつもの、パーティーリーダーとして誰よりも頼れるその男の顔を見て、少しだけ冷静さを取り戻した俺はようやく口を開くことができるようになる。


「どうし『プレイヤー:アキトを強制退場とします』」


 やっとの思いで口から出た言葉は形を成す事なくデジタルの音声により掻き消される。

 それと同時に目に映るのは、上空の魔法陣から放たれる圧倒的な力の奔流に飲み込まれるグレン達の姿。


 ただ流されるだけの状況に混乱が晴れる事の無いまま、無機質なアラート音と共に俺の視界は暗転した。


【お願い】

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