お化けなんてないさ。
前回、幽霊退治に行って二度気を失いました。
「う、うぅう」
再びベッドの上で目覚める私。
マオが私の方を見て笑い転げている事から先程からそれほど時間は立っていないだろう。
「勇者様?」
「ん?」
「これ以上仲間はいらないって言いましたよね?」
「待て待て、僕のせいにするんじゃない。」
「あなた以外にこんな素っ頓狂なことします?」
勇者様がマオの方を見る。
「あなたは人でも魔物でも無い気配がするわね!」
(そうなんですか?)
うん、いましたね。
「だとしても止めてくださいよ。」
「楽しそうだったから。」
お前も思考回路は同じか。
「今までありがとうございました。」
私は部屋を出ようとする。
(待ってください。)
「キャッ!」
危ない! 意識が飛びかけた。
「あの、ごめんなさい。前触れもなく触れようとしないで。」
「仲間になるわけじゃないよ!」
「話を聞くために連れてきただけだから。」
そうなの?
「話を、聞きましょうか。」
「依頼書にはお化けに襲われると書いてありますが?」
(襲ってはいません。皆様同じように話しかけています。)
「怖くないの? 魔法使いちゃん♪」
「実態が分かって無いのが怖いんですよ。」
「話も通じるなら怖くありません。」
(あなた方達は私を怖がらないのでやりやすいです。)
「あ、でもこれ以上は近寄らないでください!」
「やっぱり怖いんじゃん。」
「で、話とは?」
(私事ではあるんですが、探しものを。)
「探しもの?」
「それをすれば成仏します?」
(それはわかりませんが、おとなしくします。)
「それならば、お安い御用です!」
私は胸に手を当てる。
「それで探しものとは?」
(指輪です。)
お決まりの物ですね!
「わかりました! 心当たりなどは?」
(私が落ちた崖でしょうか。)
その一言に私は固まる。
「勇者様、言ってきてくれませんか?」
「怖いんだね?」
「普通怖いでしょ!」
はい、無理矢理連れてこられました。
そうなると思いましたよ。
「幽霊さん、そんな自由に動き回れるなら御自分で探せばよろしいのでは?」
(えーと、それは、、、)
「? まあ、いいですけど。」
「探しましょうか?」
(この下だと思います。)
「したですか。」
私達は崖の下へ降りる。
! 肉の腐った匂い。
まさか!
(あちらですね。私の死体は。)
(死んでから誰にも見つけられないので式もしてもらえず、悲しかったのです。)
(見つけてくれてありがとうございました。)
(これで心置きなく、、、)
「幽霊ちゃん、死んでからどのくらい?」
(え? 一週間程でしょうか。)
「じゃあぎり行けるかな? 爺や。」
「行けるのではないでしょうか。」
「エイ!」
マオが蘇生魔法をかける。
「いくらなんでも、腐りかけは無理では。」
「ウぅ。」
え? まさかまさか。
死体であったはずの物が起き上がる。
「すごいですネ。見つけてもらウだけでなク、蘇生しテもらえるとハ。」
何か、つっかえているような喋り方。
嘘でしょ?
「流石ですな、マオ様。」
「ちょっと不完全だけど出来たねー!」
「一旦、帰ろっか?」
「そう、ですね。」
まあ依頼はこなした。
「これからどうするの?」
「どウしましょうカ。」
「腐りかケの身でハ、街の皆ニ怖がられテしまいマす。」
「うちのパーティーに入らない?」
「勇者、だめ?」
「ああ、いいんじゃないか?」
「いイのですか?」
「安定するまでは私が見てないと崩れちゃうしね。」
「何カラ何まで、ありがとうござイます。」
「ちょっと待った!」
「何私が放心してる時に話を進めているのですか?」
「駄目なの?」
「やハり、迷惑ですヨね?」
「困っている人を助けたいと思わないのか?」
勇者様が久しぶりにまともなことを言った。
「いや、そういうわけでは、、、」
「じゃあ、いいよね!」
「よかったね、幽霊ちゃん。」
「はイ、ありがとうございマす。私の名前ハ、イオです。」
元幽霊は私と握手を交わそうとよってくる。
まあ、もう怖い要素はないし。
「よろしくね、イオ。」
そっと手を握る。
ベチャぁ
え?
「あ! 手が取れチゃいましタ。」
「幽霊ちゃん改めゾンビちゃんだね。」
ああ、私の冒険はなお一層厳しくなりそうだ。
私は床に転がった。
新しく仲間が増えた!! (腐りかけ)
爺や死亡数 7
勇者のレベル 5