もしかして、ピンチですね?
「本当にありがとうございました。」
「なんてお礼を言ったら良いのか。」
「本当に気にしないでください。」
村の皆さんに見送られながら私達は村を後にする。
「ところで、何処に向かってんの?」
「そうですね、魔王を倒すという目的が消え失せていますからね。」
「取り敢えずは街を転々としていこうかと思いますよ。」
「マオも勇者様も問題を起こさないでくださいね。」
「何処かで勇者様の呪いも解ければいいんですが。」
「マオは解いてくれないですか?」
「そのままの方が面白そうだからやだ。」
ですよね。
「てか、勇者様?」
「なんだ?」
「なんですかそいつ?」
「仲間になりたそうだったから連れてきた!」
(勇者はぷにらを仲間にs)
「いやもうこれ以上に要素いりませんから、」
「逃してください。」
(ぷにらは悲しそうに何処かへ去っていった。)
「なんですか? 仲間にできたんですか?」
「とうとう魔物の仲間入りですか?」
「ハハハ、そんなわけ無いだろう。」
勇者様は笑っているが、私としては笑い事ではない。
「魔物を仲間にするなんて、あるんですか?」
「聞いたことないね、」
「前例はないですな。」
まあ、お前らが言うなって話だが。
「まあ、いいです。これ以上仲間は増やさないでくださいね。」
「はいよ!」
私の負担が減るような仲間ならいいのだが。
「つきましたよ!」
「勇者様は私の目の届く所にいてくださいね。」
「取り敢えずは酒場にでもいって、何か金になる事を探さないと。」
「私達、飢えてしまいますよ!」
酒場には大体掲示板が置いてあり、そこに依頼書が貼ってある。
「どれがいいでしょう?」
「これすっごい高いけどなに〜?」
「え? お化け退治、ですか。」
「おそらく魔物でしょうが、報酬が膨大ですね。」
やってみますか。
「この村の東、時間は夜ですので。」
「時間つぶしましょうか。」
「あっち行ってみていい?」
「いいですけど、」
「あの店行かないか?」
「私は図書館に寄りたいですぞ。」
「順番に行きましょうか。」
「見て、これ可愛い〜!」
「そうですねぇ。」
「マオ様にはそんな物似合いません。」
「うるさい!」
「ぎゃぁっ!!」
「騒ぎになるので程々にお願いしますね?」
「この武器良くないか?」
「勇者様は防具にしてください。」
「これなんてどう?」
「遊ばないでくださいよ、、、」
「人間の本は興味深いですな!」
「図書館ではお静かに〜。」
「、、、」
つ、疲れた。
「夜に、なりましたよ?」
「行きましょうか。」
〜忘れられた者達の集会場〜
って、墓地やないかい!
「マジもんだったら無理です。」
「私は一人で逃げます。」
「怖いの?」
「とても。」
「もう少し先です。行きましょうか。」
体が震える。
どうか魔物であってくれ。
魔物であれば、私の隣にいる奴に敵う奴なんていないのだから。
(ねぇねぇ、こっち来てよ。)
「ひぃ!」
「どうしたの?」
「聞こえなかったのですか?」
「何も?」
「笑ってるじゃないですか、からかってますね。」
「お化けなんているわけがないではないですか、そんな物の存在を信じているとは愚かですね。」
やめろ、かえって出そうな事を言うんじゃない。
(私のお願い聞いて。)
ヒンヤリとしたものが私の肩に触った。
深呼吸深呼吸深呼吸深呼吸深呼吸、、、
(ねぇ?)
ヒッ! 息がつまり私の意識が途絶える。
「う、うぅ」
ベッドの上で目が覚めた。
「大丈夫か?」
「大丈夫?」
「大丈夫ですかな?」
皆が心配してくれている。
「大丈夫、です。お手数おかけしました。」
私は起き上がる。
(驚かせて、すみませんね。)
「いえいえ、こちらこそ。」
、、、
いや、まさかそんなわけが。
(それで私のお願いを聞いてほしいのですが。)
私は半透明で宙を浮いているそれに手を伸ばす。
スゥっと私の手はヒンヤリとした気色の悪い感じだけを残して止まることなくそれを突き抜けた。
アハハ、ハ
そこで再び私の意識は途絶えた。