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最狂の勇者と乙女な魔王

 かつて存在した伝説の勇者、シン。

 滅魔の剣に選ばれ、人と魔物との埋められない差をものともしないでシンは魔王、アダを破った。


ーーーーーーーー


 かつて存在した魔王、アダ。

 彼は歴史の中で一番世界征服に近づいた者として魔物の中でも人の中でも語り継がれている。

 伝説の勇者、シンが携えていた滅魔の剣。

 それに対を成す人を滅ぼす刃、人滅の剣にアダは選ばれた。




 圧倒的な力を持った二人の戦い。

 それは凄まじい物でいまでも跡が残っているほどだ。

 そんな二人の戦いの決着はほとんど引き分けのような物であった。



 負けることを察した魔王は最後の力で滅魔の剣を魔界深くに封じ込めた。


 死ぬことを察した勇者は人滅の剣を最後の力で魔物の寄り付かない場所に封じ込めた。



 二人の最後の悪あがきによって両者の世界に平和が訪れることとなった。




ーーーーーーーー

 

 「勇者様、どうかこの国をお救いください。」

 「任せてください。」

 

 勇者シンと魔王アダの伝説はとても有名なものだ。

 たしかに世界は平和になった。

 

 しかし時の流れは残酷な物で、また魔物が活発に動き出しているらしい。

 周りの人が言うには新しい魔王が現れたかもしれないそうだ。



 なんで私がこんな頼り無さそうな人と旅に出ないといけないんだ。

 私は勇者様の方を見ながら大きなため息をついた。

 

 「なに?ジロジロ見て。」

 これが伝説の勇者かもしれない?

 そんな事はあってはならない。


 なんて思いながらも気まずくなるのはいやなので、いえ何でも。と答える。


 「今日は森にでて、魔物退治だー!」

 はいはい分かりましたよ勇者さん。


 私達は森に向かう。


 魔物退治っていっても全然魔物が出ないではないか。

 私はまた、ため息をつく。



 「なぁ、あっちの方に何か感じないか?」

 何のきっかけも無く勇者様が言った。


 特に何も感じないので私は首を振った。


 「いや、絶対に感じる!!」

 そう言って勇者は一目散に駆け出した。


 「あ! ちょっと待ってくださいよ!」

 私はそれを追いかける。




 しばらく走って勇者様が立ち止まる。


 「なんだこれ?」


 岩に剣が刺さっている。

 私はそれに見覚えがあった。


 あ!! これは伝説にあった。


 「人滅の剣!!」

 私は少し固まる。

 大昔に人を滅ぼしかけたと言うそれを実際に目にして驚いた。


 「なんだそれ?」

 「え! 何してるんですか!」

 気がつくと勇者様が岩の上に登って剣に手をかけようとしている。



 一瞬危ない! と思ったが、よくよく考えてみれば相当な封印であるため相当な力であっても抜けないだろう。


 それこそ、選ばれた者じゃないかぎり、、、



 「えい!」

 その掛け声と共に、キィィィン! と言う金属音がして何かと思う。


 「へ?」

 見ると岩に刺さっていた剣は無く、勇者様がそれと思われる剣を持っている。


 人を滅ぼす剣を? 勇者様が?

 なんで?


 頭の整理が追いつかない。



 「ウゥぅぅううウゥ。」

 「勇者、様?」

 「わぁ、!」

 勇者様が私に剣を振ってきた。

 それをぎりぎりで避ける私。


 「危、ない!!」 (ゴスゥッ)

 私の鉄拳で勇者様が沈んだ。


 

「勇者様が、未熟で良かったぁ、」


ーーーーーーーー

 「魔王様! 魔王様ーー!」

 「うん、起きてるぅ起きてるよぉ。」

 その声で私は目覚めた。


 眠い。


 「もう、魔王様にはもっと威厳を持ってもらわねば。」

 「ただでさえ魔王様は初の女性であるのに」

 「女のぉ何が悪いんですかぁ。」

 私はわざと最後を伸ばして言った。


「見てください。これがあなたの先代魔王、アダ様が最後の力を振り絞って封印した滅魔の剣ですぞ!」


 そう言って爺やは剣の前に私を招く。


 初めて見たそれに私は心奪われた。


「アダ様がこれを封印していなければ、魔物はすでに滅びていたでしょうなぁ。」

 そんなことそっちのけで私は剣に腕を伸ばした。


 バチバチバチッ、バリッ

 手が少し痺れた気がしたが関係無い。

 私は剣を手にとった。


「ななななっ何をしているんですか魔王様〜〜!」


 うるさい。

 はぁ。綺麗、吸い込まれそう。

 ん?


「今すぐそれを置くのです、魔王様。」


 「エイッ」

 「危なぁぁ!」

 私が振り下ろした剣を爺やが間一髪でかわす。


「それで斬った者は復活できないのですぞ! 早くそれを置くのです。」


 、、、


 「エイッ」

 「やめなされっ!」



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