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第6話 すっかり忘れてた……

最新話です!

どうぞ!

 勇綺達は王様からの話によって、姿が確認されている五体の闇の王のうちの一体である、【甲王(こうおう)イッカク】についての情報を手にいれる。

 そして、残りの四体の闇の王の情報を手にいれるべく勇綺達は、これから王様の口から語られる、残りの闇の王達についての話に、耳を傾けるのであった。


「我々が調査した限り、手に入れる事ができた残りの四体の闇の王達の情報は、奴等の名前と種族だけだ……。まずは一体目、【爬王(はおう)アリゲイト】。強靭な顎をもった爬虫類系の王と聞いている。次に【鳥王(ちょうおう)シルフィーヌ】は、鳥系統の魔物を率いている、白く美しい翼をもった女の闇の王と聞いた。そして次に、巨人系統の王、【巨王(きょおう)ギガドルゴ】。この魔物は聞いた限りでは、相当狂暴で気性が荒い性格をしているらしい……。最後に悪魔系統の魔物を率いている闇の王、【魔王ベールゼルブ】。情報によると、この闇の王は、先程話した四体の闇の王よりも戦闘能力が上と聞いている……。我々が知っている情報は、これで全部だ……。」


(余り多くの情報は得られなかったけど……。それでも、残りの闇の王達の種族や特徴をある程度知ることができただけでも、良い収穫になったかな?魔物の種族や特徴が分かれば、ある程度の対策を立てやすくなるからね。)


 オドワルドは自分達が持っている、残りの四体の闇の王についての情報を勇綺達に全て話した。

 確かに王様が話した通り、残りの闇の王達についての情報は余り有益とは言えないが、勇綺によっては四体の闇の王達の種族を知る事ができただけでも良い成果だったようだ。何故ならば、勇綺は創作物やゲームの知識から、魔物の種族や特徴さえ分かれば、そこから魔物の弱点や魔物の能力等を予測して、ある程度の策を練る事ができるからである。


「魔王が一番強いのか……。ふん! それでも俺のやる事は変わらねぇ……。イッカクだけじゃなく、他の闇の王達や、一番強い魔王とやらも、俺がまとめてぶっ飛ばしてやる!!」


(強力な戦術をもつイッカクや、力が未知数な他の闇の王達、そして闇の王の中でも最強の力をもつベールゼルブの話を聞いても悲観せずに強気でいられるなんて……。ふふ、龍哉らしいなぁ……)


 龍哉は王様の話によって、魔王がイッカクや他の闇の王達よりも強敵と知ってもなお物怖じせずに、イッカクの話の時と同じように、右の拳を左の掌に何度も打ち付けながら、一番高い力をもつ魔王や他の闇の王達もまとめてぶっ飛ばすと言い放つ。

 勇綺は、イッカクや強さが未知数な残りの闇の王達、そしてベーゼルブについての話を聞いても怯えたり、絶望したりせずに強気な発言をする龍哉が、とても頼もしく思えると同時に、龍哉の方を見据えながら自身の顔をほころばせた。


「うぅ……、何で虫の魔物が……。あぁぁ〜〜……」


「? 秋? どうかしたか? 何か顔が青いぞ?」


(秋……?)


 甲王イッカクについての話を聞いてから小声でぶつぶつ呟き始めた秋に、彼女の隣にいた龍哉は、ようやく秋の状態に気付く。

 龍哉が秋の状態に気付くと同時に、勇綺も龍哉の声によって、彼女の様子がおかしい事に気付いた。


「大丈夫? 秋? 具合が悪いの?」


「体調が悪いのか?無理するな」


「! へ? あ……、だ、大丈夫! 大丈夫よ! 二人とも!」


 勇綺と龍哉は、秋が風邪でもひいたと思ったのか、顔を青ざめている彼女の体調を気遣おうとする。

 勇綺と龍哉に気遣われた秋は、二人に心配かけたくなかったのか、慌てながらも明るく振る舞い、幼なじみの二人を安心させようとした。


「秋が大丈夫なら別に良いんだけど……」


「何か納得いかねぇけど……、まぁ、いっか!」


「本当に心配かけてごめんね、二人とも」


 勇綺と龍哉は秋の説得によって、渋々ながらも納得して、これ以上彼女の体調について詮索するのを止めた。

 秋は、自身を気遣ってくれた幼なじみの二人に、心配かけさせてしまったのですぐに謝った。


「秋殿は、本当に体調は大丈夫なのかね!?」


「あっ! は、はいっ! わ、私は大丈夫です! 王様! 心配かけてごめんなさい!!」


 どうやら勇綺達のやり取りを見ていたオドワルドも、秋の体調を心配しているようだ。

 秋は慌てながらも明るく振る舞いつつ 、王様にも心配かけてしまったので謝罪の言葉を告げた。


「……そうか、大丈夫そうで何よりだ」


 オドワルドは、秋の体調に何の問題も無いことを知って安心したのか、ホッと胸を撫で下ろす。


「さて、話を戻すが。闇の王についての情報は全て話した……。他に何か聞きたい事があるかね?」


「あの、王様? ちょっと、聞きたい事があるのですけど……」


 オドワルドは勇綺達に、闇の王について情報を全て話したと伝えてから、他に聞きたい事は無いか、彼等に確認をする。

 すると秋が、何か聞きたい事があったのか、王様を呼び掛けた。


「何だね? 秋殿?」


「異世界転移魔法で気になった事があるんです。数多くの人から何故、私達だけが異世界に転移されたのですか?」


(秋も僕と同じく、自分達だけが異世界に転移された事が気になっていたのか……)


 秋に質問されたオドワルドは、彼女の呼び掛けに答える。

 どうやら秋は異世界転移魔法で、多くの人間の中から、自分達だけがこの異世界に転移された事が気になっていたらしい。

 秋と同じく勇綺も、異世界転移魔法で自分達だけが異世界に転移された事が気になっていたようだ。


「勇綺殿達だけが、異世界に転移された理由だが……。この異世界転移魔法は、無差別に人を転移させている訳ではない。転移させる条件は、【魔力】だ。別世界に魔力を持っている人間が見つかれば、魔力持ちの人間のみに魔法陣が現れて、異世界に転移させる仕組みになっているのだ。転移できる人間の数は、転移魔法の使用者の魔力によって変化する。」


「そういう仕組みだったんですか……。教室で私達の足下だけに魔法陣が現れたのは、私達が魔力を持っていたからだったんですね……。ん? 教室……、足下に魔法陣……。あっ!!」


「!?」


「秋……?」


 オドワルドは秋達に異世界転移魔法の仕組みについて説明をする。

 王様の説明を聞いて、異世界転移魔法の仕組みを理解した秋は、何かを思い出したのか、突然大きな声を上げた。

 秋がいきなり大きな声を上げたので、龍哉は目を丸くしながら彼女の方を見据える。

 そして勇綺も、大きな声を上げた秋に驚きつつも、彼女を呼び掛けた。


「思い出した! 勇綺! 桃条さんと聖と海道がここにいないわ! 確か桃条さん達にも、あたし達と同じ魔法陣が足下に現れてたはずよ!?」


(あっ……、やべ……。自分達の事で一杯一杯だったから、桃条さん達の事、すっかり忘れてた……)


 秋が思い出したのは、勇綺と同じクラスの生徒である、桃条愛鯉と聖正義、そして海道博孝の事だった。リコーダー泥棒事件が起きた教室で、愛鯉と正義、そして博孝にも、秋達と同じ異世界転移の魔法陣が足下に現れていたのだ。王様の説明どおりならば、愛鯉達も秋達と同じように、ランドロック王国に転移されているはずなのだが、ここに愛鯉達はいなかった。

 秋に愛鯉達について聞かれた勇綺は、どうやら愛鯉達の事を忘れていたようである。何故ならば、異世界に転移された事や闇の王達の退治等で、心に余裕がなかったため、愛鯉達の事を忘れてしまうのも無理は無い。


「ああ、そういえば桃条達もいたな……。まぁ、あいつ等は放って置いてもいいだろう。どこかで元気にやっているはずさ!」


「おいこらっ! ふざけんなっ! 全然、よくねーーよっ!!」


 愛鯉達がいない事を知った龍哉は、彼女達の事を心配するのかと思いきや、爽やかな笑顔で愛鯉達を見捨てるような発言をする。

 そんな酷い発言をした龍哉に秋は、彼の頭に強烈なチョップを叩き込んだ。


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