第60話 秋と栄養満点クッキー
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「いやいや、何で簡単に納得してんのよ! あたし、全然納得できないんだけど!?」
トマトのように顔を真っ赤にしながら怒っている秋は、カエンの言葉に納得している勇綺と龍哉に文句を垂れる。どうやら秋だけは、マシロが町中の通行人達から注目されている理由に納得できないようだ。
「はぁ……、仕方ない……。俺が分かりやすく教えてやる……。良いか秋、マシロは面が良いだけじゃなく、乳とケツがデカいんだ……。この三つが揃った女が道を歩いていたら、そりゃあ通行人達がマシロに視線を向けるのは当たり前なんだよ……。分かったか?」
文句を垂れている秋に、龍哉は、呆れながらため息をつく。そして、マシロが通行人達から注目される理由について、龍哉が分かりやすく説明をするのだが……。
「いやいや、分からないわよ! スタイルの良い美少女が、皆から注目されるんだったら、あたしも注目されているはずでしょ? 何で、あたしを差し置いて、マシロだけ、通行人達の視線を独り占めしているのよ!」
龍哉からの説明を聞いても秋は、全く理解していなかった。何故ならば秋は、スタイルの良い美少女の自分を無視して、通行人達がマシロばかり注目しているのが納得できないようである。何とも、しょうもない理由と言えるだろう。
「「はぁ……」」
自分のスタイルの悪さに気付かず自惚れた発言をする秋に、勇綺と龍哉は呆れながらため息をつくのであった。
秋とのしょうもないやり取りを終えた勇綺達は、先頭を歩いているマシロの後を数分程付いて行くと、目的の場所である道具屋に到着する。目の前の道具屋の外観は、赤い煉瓦で覆われた二階建ての建物であり、その二階部分の建物には、液体が入った瓶の絵が描かれている鉄製の看板が取り付けられており、一階部分の建物の入り口には、黒色に塗装されている木製の扉が取り付けられていた。
「マシロ……。ここが……、道具屋……か?」
「はい……」
龍哉は目の前の建物について、恐る恐るマシロに問いただす。
龍哉の問い掛けに、マシロは、返答をしながら頷く。
「それでは、行きましょう……」
「うん!」
「おう!」
「ええ」
「ああ」
マシロは、勇綺達に声を掛けると、道具屋の中へと足を踏み入れる。
声を掛けられた勇綺と龍哉、そして秋とカエンは、道具屋の中に足を踏み入れたマシロの後を、カルガモの子供のように付いて行くのであった。
「うわぁ〜〜」
「おお、色々とあんな〜〜」
「へぇ〜〜、何か変わった商品がいっぱいあるわね♪」
勇綺達が道具屋の中に足を踏み入れると、様々な商品が並べられている棚やテーブルが目に入る。
初めて道具屋に訪れた勇綺と龍哉、そして秋は、先ず最初に、店内の壁側に配置されている木製の棚に視線を移す。棚の中には、怪しい液体が入った小瓶と謎の錠剤が入った小瓶、そして何が入っているのか分からない正方形の小さな黄色い箱と焦げ茶色の種のイラストが描かれたラベルが貼られている缶等がいくつも置かれていた。次に、視線を移したのは、木製のテーブルだ。テーブルの上には、棒の先端に布を巻き付けただけのアイテムと何かの鍵、そして小さなカラフルの球状のアイテムと袋詰された謎のアイテム等がいくつも並べられている。勇綺と龍哉、そして秋は、棚やテーブルの上に配置されている、数々の異世界の不思議な商品に、興味津々な表情をしながら眺めていた。
すると……。
「マシロとカエンの兄ちゃん、買い物を始めるみたいだ。勇綺、秋。俺達も、さっさと買い物を始めようぜ?」
三人が店内の商品を眺めていると、マシロとカエンが壁側に配置されている棚の方へとが歩き出す。
歩き出した二人に気付いた龍哉は、勇綺と秋に買い物を始めるように促そうとする。
「ああ、そうだね。分かった。えっと……、ポーションは……、多分、瓶が並べられている棚の方にありそうな感じがするから……、そこで探してみようか」
龍哉の言葉に納得した勇綺は、目的の物であるポーションを探そうと、壁側に置かれている木製の棚の方へと歩き出す。
「おい、秋」
「へ? 何?」
勇綺がポーションを探しに行っている最中、龍哉は秋を呼び掛ける。
テーブルの上に並べられている商品を興味深そうに見ていた秋は、突然、こちらを呼び掛けてきた龍哉がいる方へと振り向く。
「さっさと、買い物すっぞ?」
「ああ、そうだった! 分かったわ」
秋に声を掛けた龍哉は、勇綺がいる方へと歩き出す。
声を掛けられた秋は、歩き出した龍哉の後を付いて行くのであった。
「え〜〜と……、ポーション……、ポーション……。あ、この見覚えがある小瓶は……、ポーションだ」
龍哉と秋が移動している最中、勇綺は、木製の棚の中に並べられている商品の中からポーションを、目を皿のようにしながら探していた。すると、陳列されている商品の中から見覚えがある小瓶を発見する。その小瓶は、勇綺が探していた回復アイテムである、ポーションだった。勇綺は、目の前の棚に並べられている、ポーションの小瓶に手を伸ばそうとすると……。
「勇綺」
「ん?」
聞き覚えのある声に呼び掛けられた勇綺は、こちらに話し掛けてきた人物がいる方へと振り向く。勇綺が振り向いた先には、龍哉と秋が、こちらを見据えながら立っていた。
「ポーション、見つかったか?」
「え、ああ、うん、見つかったよ。僕の後ろの棚に、ポーションがあるよ」
龍哉は、ポーションが見つかったかについて勇綺に問いただす。
龍哉の問い掛けに勇綺は、ポーションが並べられている後ろの棚を、親指で指しながら返答する。
「そうか、見つかったか! んで、いくつくらい買う予定だ?」
「う〜〜ん……、そうだな……。ランドロックの洞窟は地下五階くらいあるからなぁ……」
探していたアイテムが見つかった龍哉は、ポーションをいくつぐらい買うかについて、再び勇綺に問いただす。
龍哉からの問い掛けに勇綺は、ポーションをいくつ買うかについて、顎に手を当てながら考え込む。
(棚の中の商品は、何かの薬が入った瓶がいっぱいあるわね……。ん?)
勇綺と龍哉がやり取りをしている最中、秋は、棚の中に陳列された商品を、興味深そうに眺めていた。
すると……。
(何かしら? この黄色い箱……? なになに、【エナジーブロック】? 裏に説明があるわね……)
棚に並べられている商品の中から、黄色い箱が秋の目に入る。目に付いた黄色い箱の表面には、【エナジーブロック】と記載されていた。気になった秋は、目の前の謎のアイテムである、エナジーブロックと記載された箱に手をのばす。そして、手に取った箱の裏面に記載されている、商品についての説明を読み始める。
(この箱の説明だと……。《これは、ブロックタイプの栄養満点クッキーです。食べると、体力小回復に加えて、空腹の状態異常も回復します。お腹が空いた時や体力回復に、どうぞ召し上がって下さい。》ふ〜〜ん……、栄養菓子か……。美味しそうね……。あたし、お菓子とか甘い物、好きなのよね〜〜)
エナジーブロックの説明を読んだ秋は、この栄養菓子に興味が湧いてしまう。何故ならば秋は、甘い物や菓子等が好きなのである。だから秋が、このアイテムに興味が湧いてしまうのも仕方がないといえよう。
(う〜〜ん、食べてみたい……。でも……、あたしは、ポーションを買いに来たのよね……。ここで、余計な物を買うわけには……。でも……、やっぱり……、食べてみたい……。うあぁぁぁぁぁぁ、どうすれば……)
目の前にある好きなお菓子の誘惑に、秋は、エナジーブロックを買うかどうかについて、頭を悩ませるのであった。
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