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第58話 イサミ・ライデン

眠い……。


それでは、最新話をどうぞ……。

「カエン様、私からも感謝の言葉を言わせて下さい……。イッカク退治に協力して下さって、ありがとうございます……。これは、お礼の前金です……。何かのお役に立てて下さい……」


 図書館で大声を出した勇綺達にダメ出しをしたマシロは、カエンの方へと振り向く。そして、イッカク退治に協力してくれた事についての感謝をした後、マシロはカエンに、お礼の前金が入った袋を渡す。


「ん? ああ、ありがとう。お金を貰った以上、必ず君達の役に立てられるように頑張るよ!」


 お礼の前金が入っている袋を渡されたカエンは、マシロに感謝すると、貰ったお金をマジックポーチの中に収納する。


「先ずは一人目だな……。よし、この調子で、どんどん仲間を増やさねぇとな……」


 マシロとカエンがやり取りをしている最中、龍哉は、更に協力者を集めようと、図書館の中をキョロキョロと見回す。

 すると……。


「ん? おい、何だ、あれは?」


「「「「?」」」」


 辺りを見回していた龍哉は、本棚の近くに配置されている三台の一人掛けのソファーに腰を掛けている、一人の図書館利用者に指を指しながら勇綺達に呼び掛ける。

 呼び掛けられた勇綺達は、龍哉が指を指した方へと振り向く。

 龍哉が指を指した図書館利用者は、年齢が三十代前半位の、顔の左半分と左腕が金属で覆われているサイボーグの男性だ。身長は大体、百七十七センチメートル程で、瞳は黄色く、身体全体には鎧武者のような和風デザインの黒い鎧を身に纏っており、腰辺りには、一振りの刀が装備されていた。


「あれって……、もしかして……。サイボーグじゃないかしら?」


 龍哉が指を指した利用者を見据えながら、秋は、恐る恐る呟く。


「まさか……。ここは、剣とか魔法とかがあるファンタジーな世界だぜ? サイボーグなんてありえねぇだろ……? あのおっさんは、多分、金属を身体に付けるのが趣味な人なんだと思うぜ……。なぁ、勇綺?」


「金属を身体に付けるのが趣味な人かは、わからないけど……。確かに龍哉の言う通り、SFの世界に登場するサイボーグが、剣と魔法の世界に存在するのは、ありえないと思うな……。そんな世界、ラノベでもほとんど見ないよ……」


 秋の呟きに、龍哉と勇綺は、剣と魔法の世界に、SF世界のサイボーグが存在している事について、呆れながら否定をすると……。


「あの方は、秋様が言っていた通り、【サイボーグ】なんですが……」


「「え? マジで?」」


 三人のやり取りを見据えながら、マシロは、ポツリと呟く。

 突然、衝撃の事実を呟いたマシロに、勇綺と龍哉は、目を丸くしながら問いただす。


「はい、マジです……。サイボーグは、科学の国、【サイバーワット王国】の科学者が、生物に人体改造手術をした事によって、誕生した種族なのです……」


「人体改造手術って……。ここは、俺達が知っている、剣と魔法の世界じゃないのかよ……」


「魔法の世界に、SF要素があるなんて……。む、無茶苦茶な世界だ……」


「やっぱ、あたしの言った通りじゃん。流石あたし。それにしても、本当に異世界は何でもありなのね……。まぁ、ホムンクルスが居るんだし、サイボーグが居ても不思議じゃ無いわね」


 問い掛けられたマシロは、サイボーグについて説明をする。マシロの説明によると、サイボーグは科学が発展した国、【サイバーワット王国】の科学者が、生物に人体改造をした事で誕生した種族のようだ。

 マシロの説明を聞いた勇綺と龍哉は、この世界が、自分達が知っている剣と魔法の世界とは違う事に戸惑っていた。何故ならば、勇綺と龍哉は、剣と魔法の世界に、こういったSF設定が混じっているゲームやライトノベルを余り見たことが無いのである。だから二人が、マシロの説明を聞いて戸惑ってしまうのも仕方がないと言えるだろう。

 戸惑っている勇綺と龍哉とは対照的に、自身の予想が的中した事で得意気な表情をしている秋は、マシロの説明を聞いても戸惑うことなく、SF要素が混じったこの無茶苦茶な世界に納得していた。おそらく秋は、異世界は何でも有りの世界だと思っているのだろう。

 

「ふむ、あの利用者の職業は……、和風の鎧を見たところ……。【侍】だろうか? もし、そうならば、力と耐久力が高いサイボーグに、刀を使った物理攻撃が得意とする侍は、中々相性が良いだろうな!」


 勇綺達がマシロとやり取りをしている最中、カエンは、龍哉が見つけたサイボーグの男性の職業について予想しながら呟く。


「あの方が侍かどうかは、情報を覗いてみれば分かるはず……。薬師スキル〝診察〟発動……」


 カエンの言葉が気になったのか、マシロは、サイボーグの男性を見据えながら、薬師のスキル【診察】を発動させると、目の前に空中に浮かぶ半透明のディスプレイが出現する。そしてマシロは、ディスプレイに映し出されたサイボーグの男性の情報に視線を移す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

名前:イサミ・ライデン


種族:サイボーグ


年齢:31歳


性別:男


職業:侍


LV:51


HP:5391/5391


状態異常:無し


状態異常耐性:無し


敵対心:無し

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(カエン様が言っていた通り、侍でしたか……。しかも、今、私達が仲間にしている前衛職の人達よりも、レベルが遥かに高い……)


 ディスプレイに映し出されている情報を見据えながらマシロは、サイボーグの男性のレベルの高さに驚きを隠せずにいた。

 すると……。


「なぁ、マシロ?」


「? はい?」


 空中に浮かぶディスプレイとにらめっこをしているマシロに、龍哉が突然呼び掛ける。

 呼び掛けられたマシロは、視線をディスプレイから、龍哉が居る方へと移す。


「あのおっさん、仲間にするのか?」


 龍哉はマシロに、サイボーグの男性を仲間にするかについて問いただす。


「はい、あの方は、レベルが五十以上ありますので、何としても仲間に入れましょう……」


 問い掛けられたマシロは、目の前に浮かんでいるディスプレイを消した後、龍哉に、サイボーグの男性を仲間に入れると返答する。


「レベル五十以上……。た、高い……」


「あのおっさん、レベル五十以上もあんのかよ……。強っ!」


「レベル高っ!」


「これは、驚いた……。いつ死ぬか分からない、この世界で、レベル五十以上を上げるのは、かなり難しい……。それができた、あのサイボーグ侍の男は、相当な実力者だろうな……」


 マシロの返答に、勇綺と龍哉、そして秋とカエンは、サイボーグの男性の強さに目を丸くしていた。


「さぁ、皆様、行きましょう……」


 目を丸くしている勇綺達を呼び掛けたマシロは、ソファーに腰を掛けながら読書に夢中になっている、サイボーグの男性が居る方へと歩き出す。


「すみません、少しお時間よろしいでしょうか……?」


「!」


 マシロは、ソファーに腰を掛けながら読書に夢中になっている、サイボーグの男性に声を掛ける。

 声を掛けられたサイボーグの男性は、マシロ達が居る方へと振り向く。


「何だ……、お前達は? 俺に何かようか?」


 サイボーグの男性は、突然、見知らぬ人に声を掛けられて警戒しているのか、マシロに訝しみながら問いただす。


「先ずは、自己紹介からします……。私の名前は、マシロ・ホワイトスノウといいます……」


「えっと……。僕は、成神勇綺です」


「私は、紫堂秋といいます」


「俺は、鉄龍哉だ!」


「私は、カエン・イグニートだ」


 問い掛けられたマシロ達は、こちらを警戒しながら見据えるサイボーグの男性に、それぞれ自己紹介をしていく。


「俺の名前は……、イサミ・ライデンだ……」


 マシロ達が自己紹介をすると、サイボーグの男性は、まだ警戒をしているのか、訝しげな表情をしながら自身の紹介をするのであった。

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