第48話 魔物対策 その5
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「おいおい、かなり面倒だぞ。この二体の魔物……。どうする? 勇綺?」
頭を悩ませている勇綺に、龍哉は二体の魔物、コープスと火の玉について問いただす。
「う〜~ん……、そうだな……。先ずは、コープスだけど……。こいつは、ブルームースと同じで、動きが遅くて状態異常が効かない……。でも、ブルームースと違って、武器攻撃への耐性を持っていないだけじゃなく、特殊攻撃や飛び道具も持っていない……。ならばここは、三人で、距離を取りながら飛び道具だけで攻めていこうと思う。この方法なら、動きが遅くて飛び道具を持たないコープスを反撃させないで、安全に倒す事ができると思うんだ」
勇綺はコープスを、距離を取りながら遠距離武器だけで倒す事を提案する。動きが遅くて、特殊攻撃や飛び道具を持たないコープスには、距離を取りながら遠距離武器で攻めてゆく作戦は、かなり効果が高いといえるだろう。
「作戦は、分かったけど……」
「距離を取りながら遠距離武器で攻めるのは、良いんだけどよぉ……」
勇綺が提案した、三人で遠距離から攻めてゆく作戦に納得した秋と龍哉は、ある事について疑問に感じていた。
それは……。
「お前、飛び道具なんて持っていないだろ? 遠距離戦は無理じゃね?」
「飛び道具を持っていない勇綺が、どうやって離れた所から攻撃するのよ?」
どうやら龍哉と秋は、飛び道具を持っていない勇綺が、遠距離で戦おうとする事に疑問を感じていたようだ。二人は疑問に感じていた事について、勇綺に問いただす。
「離れた場所から、その辺に落ちている、大きめな石でも投げるよ。コープスは防御力が高く無いから、投石でもそれなりのダメージを与えられると思うからね」
問い掛けられた勇綺は、遠距離から、その辺に落ちている大きめな石を投げて戦う事を、龍哉と秋に説明すると……。
「投石か……。なるほど……。それなら離れた所でも攻撃ができるな……」
「なら、作戦は大丈夫そうね」
勇綺の説明に、龍哉と秋は納得する。
「それじゃあ、火の玉の対策だけど……。こいつは、多くの状態異常への耐性と武器攻撃のダメージを最小限にする程の高い防御力を持っているだけじゃなく、火属性魔法の火力の高さも持っている、かなり厄介な魔物だけど……、弱点もある……。図鑑によると、こいつの弱点に、音属性攻撃が効くと書いてある。ならば、秋が持っているリュートで攻撃すれば、きっと防御力が高い火の玉にもダメージを与えられると思うんだ。でも、火の玉の火属性魔法と秋のリュートで殴り合いをしたら、間違いなく秋の方が不利だ。だから、火の玉が秋に攻撃をして来ないように、僕と龍哉が飛び道具を使って、こいつの注意を引くんだ。そして、注意を引いて隙だらけになった火の玉に秋がリュートで攻撃を仕掛けてくれ。もし、音属性攻撃を受けて、倒れなかった場合は、また僕と龍哉が注意を引いて、その隙に秋が攻撃をするんだ。これを繰り返せば、この火の玉を倒す事ができるはずだ」
コープスについての話し合いを終えた勇綺達は、次に、火の玉の情報に視線を移す。
図鑑に掲載されている情報を見据えながら勇綺は、龍哉と秋に、火の玉の対策についての説明をする。先ずは、秋が敵から狙われないように、勇綺と龍哉が飛び道具を使って、火の玉の注意を引く。そして、注意を引いた事で隙だらけになった火の玉に、秋がリュートの音属性攻撃で敵の弱点を付いて倒すようである。かなり危険な作戦だが、今の勇綺達が火の玉を倒すには、この方法しかないだろう。
「この作戦で火の玉をぶっ飛ばせるんなら、俺は喜んで、勇綺と一緒に囮役をやってやるぜ!」
「この魔物にダメージを与えられるのは、あたしだけか……。責任重大ね……。でも、やってやるわ。こいつは、あたしが倒す!」
勇綺が提案した火の玉の対策に、龍哉と秋は、特に迷ったりせず、やる気に満ちた表情で納得する。
「さて、次にジャイアントアントの対策だけど……。その前に……」
「秋……」
火の玉についての話し合いを終えて、勇綺と龍哉は、ジャイアントアントの対策をする前に、一度、秋の方へと視線を移す。
「悪いけど、二人共。あたしは虫が嫌いだから、目隠しをするからね」
「お、おう……」
「あ……。う、うん……、分かった。じゃあ、ジャイアントアントの対策をするね」
勇綺と龍哉が視線を移した先には、秋が、両手で自身の両目を隠していたのである。おそらく秋は、図鑑に掲載されている苦手な虫の魔物のイラストを見たくないから、両手で自分の目を隠したのだろう。
両手で自身の目を隠して、虫を見る事を拒絶する秋に、龍哉と勇綺は戸惑いながらも納得すると、図鑑に掲載されているジャイアントアントの情報に視線を移す。
勇綺と龍哉が注目したジャイアントアントは、図鑑の情報によると、種族が虫系で、全長は三十センチメートル。全身が黒色で、勇綺達が住んでいる世界の蟻に、そっくりな姿をした怪物だ。平原や洞窟、山等に棲息しており、ステータスは全体的に余り高いとは言えず、一体だけだと、そこまで強力な魔物ではない。だが、この魔物の恐ろしさは、仲間を呼ぶ能力だ。ジャイアントアントは、仲間を呼ぶ事で数を増やした後、その数の多さを利用して敵を倒すのが得意な魔物である。この、厄介な人海戦術で攻めてくる、ジャイアントアントの弱点は、打撃・格闘・氷の三つの属性攻撃と状態異常攻撃に弱く、更に、虫系特効の武器やアイテム、そして、スキル等がかなり有効なようだ。
「イッカクと同じく、人海戦術が得意な魔物か……。このジャイアントアント、一体だけなら、そこまで強くは無いみたいだけど……。数を増やされると相当厄介だな……。とりあえず、こいつの対策だけど……。一体だけならば、僕と龍哉の二人がかりで、力押しをすれば、苦戦する事なく倒せるだろう……。でも、こいつが複数出現したら、かなり厄介だ……。はやめにジャイアントアント達を倒さないと、仲間を次々と呼んでくるだろうからね。そうなったら、敵全体にダメージを与えられる攻撃を持たない僕達に、まず勝ち目はない……。そんな最悪な状況を回避する為にも、ジャイアントアントが複数出現したら、秋のスキルでこいつを眠らせるしかないと思うんだ……」
勇綺は、仲間を増やして人海戦術で攻めてくるジャイアントアントを、秋のスキルで眠らせる事を提案する。全体攻撃を持たない勇綺達が、厄介な戦術を得意とするジャイアントアントに対抗するには、秋のスキルで眠らせる方法しかないだろう。
すると……。
「え……? 無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理無理! できない! あたしは、虫が嫌いだって言ったでしょ!? それに、虫の魔物は、勇綺と龍哉が二人で何とかするって、言ってたじゃん!? 言ったからには、二人で何とかして! あたしは、虫の魔物だけは絶対に戦わない! 断固拒否するわ!!」
虫の魔物が嫌いな秋は、勇綺が提案した対策を、必死な表情で喚き散らしながら断るのであった。
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※一部の文を修正しました
修正前:平原や洞窟、山、森等に棲息しており、ステータスは全体的に余り高いとは言えず、一体だけだと、そこまで強力な魔物ではない。だが、この魔物の恐ろしさは、仲間を呼ぶ能力だ。
修正後:平原や洞窟、山等に棲息しており、ステータスは全体的に余り高いとは言えず、一体だけだと、そこまで強力な魔物ではない。だが、この魔物の恐ろしさは、仲間を呼ぶ能力だ。




