第9話
「遅かったなヘニング、陛下は如何であらせられた。」
「ジョシュア…クリスティン様のお顔を御覧になったせいか、少しお加減は良くなった様に思う。」
「そうか…ホーヴァル様はまだお戻りになってないか?」
「ああ、相手がシュミツェルだからな、首をはねるまで戻らぬだろう。」
ウーデゴール公 ヘニング=スールシャール
ガルジョルド公 ジョシュア=ヘルメート
エイステイン王の三本の剣と呼ばれた、武官である。あとの一人はマグヌス一世である。
「ヘニング、ジョシュア此処に居たのか。」
「モアテン、大変だったな。」
「ああ、しかし、これからの方が気が重い。」
王宮参謀 モアテン=ブラツェット
王宮参謀 ステファン=レグダル
エイステイン王の三冊の書と呼ばれた文官である。あとの一人は、もうこの世にいない。
「やはり陛下は毒が原因なのか、モアテン?」
「うむ、間違いない。しかも、陛下は全て気付かれておられよう。」
「…そうか。」
「他に知っている者は?」
「ヨン=テッティ。ホーヴァル様をそそのかしたのは、奴と思われる。証拠は難しいが、ステファンからの報告だ。」
「ステファンからなら、間違いないとは思うが、証拠が見つからないとは、テッティめ!」
「ヘニング、ジョシュア、領民の方はどうだ?」
「ウーデゴールは反乱はない。王弟陛下はやはり王族だからな、只、王女派が少々騒いではいるが。」
「ガルジョルドはもう統治されてから長い、こちらも大丈夫だろう。もうエイステイン王国と考えてよかろう。」
「となると、やはりラスチスラフか。」
「あそこはまだ浅いし、治め方を失敗している。」
「少し気になる動きがあるしな。」
「シュミツェルか…」
三人は、間もなく訪れるこの国の未来を受け入れようと考えていた。