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とりあへず戦記(仮)  作者: ういん23
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第2話

家の前で少女が花に水をやっている。

「エレナ様…」

「まぁ、ホルバト様。おはようございます。」

「おはようではありません、外に出るときは、お一人ではお控えください。」

「わかってはいるのだけれど…」

「ダヴィドは?」

「今朝届いた手紙に目を通されています。」

「そうですか、さぁ中に入りましょう。」

優しく諭すように話しかけ、扉を開けて中へうながす。


「ルツィエ、エレナ様がお一人で外に出ていたぞ。」

「あら、まぁ、エレナ様いつのまに。」

「ごめんなさいルツィエ。」

「いつのまに。では困るぞ、ルツィエ。」

「申し訳ございません。」

「ホルバト様、私が悪いの、こっそり抜け出したから…」

ため息を一つついてから、奥の部屋へ入っていく。


「ダヴィド」

「ああ、トーレ、良く来たな。」

「知らせが来たのだな。」

「うむ。」

ダヴィド=ロゼルナフは、手紙をトーレ=ホルバトへ渡し、台所の方へと立ち上がった。

「まあ、座って読んでいてくれ、ワシは茶を入れてこよう。」

「私も手伝います。」

エレナも台所へ、ダヴィド=ロゼルナフの後をついていった。


「ロゼルナフ様、あの手紙は…」

「ああ、主様(あるじさま)からだよ。」

「お祖父様から…何と書いてあるのでしょう?」

茶をカップに注ぎながら、おそるおそる聞いてくる。

「エレナ様の事をとても気にしていらっしゃる。エレナ様にも届いていたでしょう?同じ様なものですよ。」

「そう…ですか。」


エレナは、少し前に届いた手紙の内容を思い出してみた。

とりとめのない、自分の事を心配した文章だったが、祖父の暖かい思いやりが伝わってきた。


「トーレ」

「ああ、すまんな。」

一口で飲み干して、トーレ=ホルバトは立ち上がる。

「もう、行かれるのですか?ホルバト様、ゆっくりしていって下さい。美味しい焼き菓子があるのですが。」

「いや、エレナ様。また今度にいたしましょう。では、ダヴィド。」

トーレ=ホルバトは、ダヴィド=ロゼルナフの肩に軽く手を置いて、扉をあけた。


「ロゼルナフ様。」

「エレナ様、心配はいりません。」

何時もと変わらぬ笑顔を向けられると、エレナは不安を胸に仕舞い込むしかないのだった。


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