第1話
自分が好きな要素を、出来るだけ詰め込んでみようと思っています。
偉大な王ありき
西の国より出ルその王は、
混沌なる大地を導き、神より与えられし
大いなる力を以て、民を救いたまわれた。
偉大な王ありき
北の国へ向かうその王は、
右手に三本の剣、左手に三冊の書を持ち
赤く燃えるような馬にまたがる。
偉大な王ありき
東の国へ向かうその王は、
言の葉は、風に乗りてどこまでも伝わり
黄金の目は、未来を視ることができる。
偉大な…
「おい」
ざわついた店内から、一人の男が肩を掴んで押してきた。
「お前こんな所で、よくその詩を歌えるな。」
「そうだ、そうだ、」
周りにいた男たちも立ち上がり大声をだす。
統一王 エイステインの詩である。
「私は吟遊詩人ですので、歌うのが、仕事なのです。」
フードに顔をすっぽりと隠し、少し尖った顎と、薄い唇だけが覗いている。
フードには、吟遊詩人の証である白い旅鳥の羽が着けてあり、
大事そうに抱えている弦楽器は、古いがよく手入れされている。
「そんな事は見れば解る」
肩を掴んだ男が、声を上げる。
「その詩を歌うなと言っている。」
「しかし…」
「しかしもくそもない、ここはボルフだぞ?それを解っていて歌っているのだな?」
「やめろ、アル。」
吟遊詩人と、アルと呼ばれた男の間に一人割ってはいる。
「吟遊詩人どのも、今夜はこの辺にして帰りなさい。」
吟遊詩人は、ざわめく人混みの中をぬうようにして、店の出口から消えた。
「すまない、マレク。」
「お前の気持ちも解るが、どこで誰か聞いてるか解らないのだ、わざと、俺達を煽ってるのかもしれんのだぞ?」
「…」
「お前の言うとおりだ、軽率だった。」
「…解ればいいんだアル、大切な時だ俺達もでよう。」
外は深夜にもかかわらず、多くの星明かりで、周りはよくみえる。
大陸の南東の端に浮かぶボルフ島は、間もなく夏を迎えようとしていた。
ちょくちょく up出来るよう 頑張ります