奇妙な夢
――そこは、暗い部屋だった。
そこには私と他にも何人かいて、電気もないような部屋にいた。
私と二人の少女、それだけがその部屋にいた。
確か、外は嵐だったと思う。
私はその二人の少女の夢を見ていた。
今日はこのことについてを、ここに記そう。
――それは、強い嵐によって大破してしまった屋敷での夢だ。
雨が地面に叩きつけられ、大きな音をあげている。
雨は地面に到着すると、直後として濁流の一部となり、濁流の被害の一端を任される。
それは家を破壊するまでの威力と化し、今へと至る。
それはひどく唐突で、私の身体は実体のないものだった。
――今思えば、こんな常識外れのこと、すぐに夢だと気づけたはずなのに……これが夢のおかしなところだ。常識が塗り替えられる、不思議な感覚。
風の感覚もないまま、その勢いの良い濁流の源に向かっていく。
――その源には、一つ、人形があった。
二頭身で、可愛らしく、それでいて不気味さも持ち合わせている、不思議な人形だった。いや、もしかすると、濁流で汚れてしまって、それが、この人形の不気味さを増しているのではないか。目は汚れた青で、大きな瞳が私を見据えている。今にも動き出しそうだ。
そこをさらに上った時に、そこには似たような人形はあった。
それは、不気味という点においてだけだったが。
髪は黒で、瞳も黒。服も黒という何とも不気味な――可愛げなんて毛頭ない――人形だった。
こちらの人形もやはり、目が大きくそれがしっかりとこちらを向いている。
雷が外で鳴って、その光がその二つの人形を照らしている。
――――それが、不気味で不気味で、起きてからもその顔だけは覚えていて、それを思い出すたび、背中に鳥肌が立ったほどの不気味さだった。
二つの人形を通って、更に奥へ行く。
――奥に行く途中に、何か聞こえてきた。
一回の瞬きの間に、風景は金髪の人形のところまで戻っていた。
「――――――――――――――――――――」
何と言っていたかは、今となっては分からない。だがそれは、とても重要で、そして不気味なことを言っていたことは覚えている。
そして、風景は変わる。
次の風景は、濁流の渦を見ていただけのものだった。動くこともないし、視点がぶれることもない。
ただ中心には、先程と同じように人形、と言えるものなのか、よくは覚えていないが、全体的に黒野イメージのあるものが、そこにあった。
濁流にのまれると普通、ぐるぐると渦の中心へ向かって回るはずなのに、それはまるで、元から地面においてあったかのように、その場にとどまり続けていた。
確か、ひどく不気味だった。容姿は、先程の黒い人形に近いような感じだったはず。
それが明らかにこちらを向いている。――その人形に目はないのに、それだけは分かった。
――その時の私に感情はなかったため、夢から覚めた後、体を今までの嫌悪感と恐怖が体を襲っていた。
そして、二人のところへと戻る。
そこはやはり、暗い部屋だった。雷がうるさいくらいに鳴り響いている。
二人の少女は、私が梅で見た人形は私たちのもの、ということを聞いた。
――それからは、何が起こったか分からない。
次に記憶の上書きがされたのは、目覚ましの音と、見慣れた光景によってだった。
――――あの夢は、一体……――――