◆06「お父さんにも会って欲しいなぁ」
登場人物
鈴木大悟:お父さん。
鈴木太郎:息子。
ここまでのあらすじ
お嬢様に変装して息子の同級生になったお父さんが息子に恋する乙女になりました。
そんなこんなで「お友達」としてお付き合いをはじめた太郎と大悟。
鈴木家にどうにか日常が戻ってきた。
とはいえ、天才狂的科学者の息子を狙う敵は多い。
あの手この手で襲い来る連中を、大悟は息子に知られぬように日々撃退していた。
もちろん大悟ひとりの仕事ではない。
真理の執事という設定の高城(偽名)を含む一〇名以上のスタッフによる合同作業だ。
なお、スタッフ全員鈴木家の茶番を温かく見守っている。
なんだかんだで陽子はクライアントとして尊重されており、太郎のことは可愛いのだ。
そして、大悟のことは仲間として、護衛対象の親としてリスペクトしている。
もっとも、最近女性スタッフの“真理”に対する態度は大悟のときとはずいぶん違う。
まあ、それも大悟が「恋の悩み」などをぽつりぽつりと女性スタッフたちに漏らすのが原因であるが。
そんな感じで暮らしている大悟には、目下ひとつの悩みがある。
太郎が“山本真理”を大悟に会わせようとするのだ。
「すっごく良い娘なんだよ。お父さんにも会って欲しいなぁ」
そう言ってくる息子に「その娘がOKしたらな」と厳めしく答える大悟。
内心では「良い子」と言われて嬉しくてしかたない。
だが……。
かわいい息子の頼みでも、残念ながらこれだけは聞いてあげられない。
不満気な太郎を見ていると大悟の胸は罪悪感で張り裂けそうになる。
(どうしよう。陽子になんとかしてもらわないと……)
息子に甘いお父さんはそんなことを考えるのであった。
あとがき
とりあえず、ここまでで完結です。
もしかすると続きを書くかもしれないので、完結マークは付けないでおきます。
タイトルに付いている“お父さんスーツ”が活躍する話が書けないかなあと思っております。
もし続いたら、続きを読んでくれると嬉しいです。