遊んでいたら、強くなっちゃった
文がおかしかったら、ごめんなさい。
今回の話の中で、新しく出てきた言葉の説明です。
ストレージ:初火の神器・スマホの機能。実質無制限に収納できる。生き物は不可。収納方法は、写真を撮るだけ。引き出しは、画面の一覧から取り出したい物を選択して、タップするだけ。
楽園:処刑場。まず空からの落下により、ダメージを負わせる。この時点で、8割の人が死亡する。もし生き残っても、落下先がドラゴンの巣となっているため、ほぼ確実に死亡する。
ステータス上昇:全ステータスを上げる事が出来る。効果は永続。やり方は作中の通り。
なお、初火のスマホは『ガントレット』の腕の部分を切り抜いて、そこに嵌め込んでいると思ってください。
「俺と一緒に行ってくれる騎士さんって、ど───」
何処に居るのか聞こうとした瞬間、俺は別の場所へと転移していた。
─────へ?
俺はてっきり、草原か何かに転移すると思っていたのに……
実際は雲の上。え? なにこれ? この雲の上に立てとでも?
無理だろ。 だって今、絶賛落下中だもの……
あー。これはもう死にましたかねぇ。
そんな事を思っていると……
『初火さん!! 何で落下しているのに、何も対処しないの?! そうだ! いつか配られた『パラシュート』的な何かを使おうよ!! まだ、ストレージに入っていたハズだからさ』
さぁ皆さん。突然ですがクイズです! 今喋っていた子は誰でしょう? ……ブー。時間切れ!! 答えは、愛しのマイエンジェル。千蝴ちゃんでした!
『って、初火さん!! なに呑気にクイズなんかを始めちゃってるんですか?! 早くしないと、本当に死んじゃうよ?!』
「分かったよ、千蝴ちゃん。 えっと…… これかな? 『滑空用柔軟翼』って書いてあるけど…… 」
『うん。それが、パラシュート代わりに使えるハズだよ。それと、戦闘形態へ変身した方がいいと思う。その方が、もし展開にミスっても、着地の衝撃を和らげられるからね』
「分かった。変身しておくよ」
そう言って、俺はスマホに魔力を流し込んだ。
スマホが光だし、直後に体が軽くなる。
因みに、変身後の俺の容姿は、身長155cmほどの少女だった。腰まで届く漆黒の髪・身長の割には少し大きめの胸・可愛いらしい顔。自分で言うのもアレだが、俺の変身後はかなりの『美少女』だと。
一応言っておくと、変身後は、30秒毎に魔力を1使うので、ずっとこのままの姿で居ることは出来ない。
どうでもいい話だが、一回だけ自分の部屋で変身して、服を脱いでみた事があるんだけど…… うん。とりあえず凄かった、とだけ言わせてもらう。
変身した俺は、スマホの機能『ストレージ』からパラシュート(仮)を取り出し、展開した。
バサッ という音と共に落下速度が遅くなる。
どうやら無事に展開されたようだ。
「どこら辺に着地すれば良いのかな?」
『だったら、水辺の方がいいと思うよ』
「うん。じゃあそうするよ。そういえば千蝴ちゃん。此処って島みたいだけど、地図で言うとどのあたり?」
『ん? ちょっと待ってね~。 ……え? この島ってまさか……』
何故か千蝴ちゃんの声が震えている。何かあったのかと、スマホを覗き込む。すると、世界地図と共に、この島の座標。そして、名前が映し出されていた。この島の名前、それは……
『楽園』
俺はこの名前を見た時、無意識に呟いていた。
「俺はまた裏切られたのか」
と。
───この『楽園』は、各国の罪人を処刑するための島だという。この世界は、基本的に処刑をする事が禁止されているそうで、ああいう転移用魔方陣からこっそり転移させ、殺すらしい。
この島の名前『楽園』は、人にとっての楽園という意味ではなく、魔物にとっての楽園らしい。魔物の数は凄い多いらしいし……
つまり、俺はあの国の奴らに殺されたも同然だということになる。
なるほど。だから、騎士を付けなかったんだな。今だったら、あの姫の謎の行動も納得出来る。わざわざ会いに来たのは、俺がここに転移させられるのを見届ける為。しかも、転移する瞬間に凄い笑っていた。そんなに消えて欲しかったのか……
違う世界だったらもう、こうなる事は無いと思っていた俺がバカだった……
───『楽園』の中央を流れる大きな川の畔に着地した俺は、パラシュート(仮)をストレージに仕舞うと、テントを取り出した。このテントは、俺が自分で作った中々に優秀な奴だ。魔除けの機能や、自分以外の誰かが半径5m以内に近付くと、警報が鳴る装置だったりと……
取り敢えずは、このテントを拠点にしていこうと思う。
まずは、食料の確保だ。俺のストレージの中には、1ヶ月は生活出来る程度の食料が入っている。備えあれば憂いなし、だな。過去の俺に感謝だ。だが、逆に言えば1ヶ月分の食料しかない。という事になる。そうならない為に、まずは、狩りから始めなければな。魔物の肉は食べれるらしい。なので、安全に狩れるように為るまでは、ストレージの食料を。安定して狩りが出来るようになったら、そっちの食料にすればいいか。
よし、取り敢えずここにいる魔物を狩ってくるかな。
─────1ヶ月が経過した。
随分と狩りにも慣れた。これで、食料の心配は無くなったな。
─────5ヶ月が経過した。
いつも通りの日常だ。
─────1年が経過した。
ポーンという音がした。
スマホに通知が入ったようだ。内容は……
『アップデートのお知らせ』
この度、魔物の討伐数が一定数に達しましたので、『神器・スマホ』の上位化を行います。尚、上位化中は『神器・スマホ』の使用が出来なくなります。ご注意下さい。
ほぅ。それじゃあ、早速やろうじゃないか。どうせ、ここら辺で俺に勝てる魔物なんて居ないんだからな。ちゃんとテントの機能が働いていればね。
「すまんな、千蝴。 ちょっとだけ会えなくなる」
『大丈夫だよ、初火。早くやりなよ。上位化って事は、多分このスマホに色んな機能が追加されるハズだもの。そうすれば、ここでの暮らしもきっと楽になるわ』
「分かった。それじゃ、早速やるかね」
───『アップデート終了。『神器・スマホ Ver.2』起動します』
どうやら、アップデートは無事に成功したようだ。
……ん? アプリの数が増えてるな。 ……なんだこれ? 『空想顕現』? えーと、説明は…… 『このスキルは1日1回だけ、頭の中で想像した事を、現実にさせる事が出来ます』 へぇ…… 結構使えるじゃないか。
えっと…… これはなんだ?『ステータス上昇 (残り2)』
『このスキルは、自信のステータスを上昇させることが出来ます』そのままじゃんね。
次は…… 『人化』か。これってもしかして…… 『このスキルは、『神器・スマホ』に搭載されている仮想人格『千蝴』に、魔法よって生成された身体を与える事が出来ます。ただし、その身体のベースは『神器・スマホ』となりますので、『人化』を使用中は、一部機能が制限されます。ご注意下さい』
よし。思っていた通り、千蝴に実体を持たせられる事が出来るな。
んで、最後は…… 『魔法』 ……何かやけに普通だな。説明は……『このスキルは、ほぼ全属性・全魔法を使用する事が出来ます。魔力の消費はありません。使い方は、自分の使いたい魔法を、指でタップするだけ。威力や射程の調節も出来ます。ターゲティングは、此方が自動で行います。マニュアルモードもあります。詳しくは、仮想人格『千蝴』にお聞き下さい』
もしかしたら、俺って凄い強くなっちゃった? まぁ、どうせ此処から出られないけどね……
あ……そっか。『空想顕現』使って、脱出用の何かを作れば良いのか。
うーむ。やっぱり、あの波◯砲を積んだ戦艦みたいなのにするかな。 でも、細かいところは分かんないし…… まぁ、そこは何とかするかな。取り敢えずは火力・スピード重視で創るか。えっと……やり方は『まず、スキル詳細を開いてから、自分が現実にさせたい事を思い浮かべ、中心にあるボタン型の表示をタップする。といった手順で行って下さい』か。
よし。それじゃあやるか。
取り敢えず、火力・スピード重視の大型の乗り物っと。外見は格好良く。一人で操作が可能な様にして…… こんな感じか? 終わったら、このボタンをタップするんだよな?
ピッ
ん?なにも起こらない……
もしかして、あの魔方陣か?
俺の頭上には、バカみたいに大きい魔方陣が浮かんでいた。どうやら、あの魔方陣が通過した後に、俺がイメージした物が現れるらしい。ただ、今回作ったのは大きくて、火力・スピード重視で、見た目もかっこ良く。と、かなりの注文を付けてイメージしたせいか、魔方陣の進む速度が遅い。このままだと、1日掛かってしまいそうだな。千蝴は、『最適化中』という表示のままだし……
ちょっと、この『ステータス上昇』ってのが気になるな。ステータス上昇って事は、俺のあのオール150のステータスを変更出来るって事だよな? 取り敢えず開いて見るか。
─────
この表示を、時間内にいっぱいタップしてね♪
制限時間は360分。頑張ってね♪
┏━━━━━━┓
┗━━━━━━┛
↑押した瞬間から、スタートだよ♪
─────
なんだか、物凄いハイテンションな説明だった…… それで、この表示をとにかくタップしまくれば良い、と言うことだよな?
どうせ暇だし、早速やるか。
ふぅ~…… 初火、いっきま~す!!
ピピピピピピピピピピピピ───
───時間切れだよ♪
今押した回数に10を掛けた数が、君のステータスに反映されるよ。確認してみてね♪
もう6時間も経ったのか。
そういえば、回りも随分と暗くなってる。しかし、中々面白かったな。連打すればするほど、下の空欄の所にエッチい画像が出てくるなんて。この機能を考えた奴は、天才だぜ……
……腹減ったな。ちょっと食料の調達に行ってくるか。
ついでに、今のステータス上昇でどんだけ強くなったのか気になるし。
───お、居た居た。あの豚の肉、美味しいだよ。ただ、今まではテントの自己防衛機能を使って殺って居たから、肉はあまり取れなかったんだよな。取り敢えず1回だけ戦って見るかな。
こっそり近づいて…… 頭を思いっきり…… はっ!!
バシャ
という音と共に、豚の頭は弾けとんだ。思っていた以上に強くなっていたみたいだ。変身していないのにね……
そうか! この力があれば、あのクソトカゲも殺れるかもしれない!!
あの『焼き肉』の仇は絶対にとってやるからな……
俺は、クソトカゲへの再戦を誓った。
テントの自己防衛機能は、半径2m以内に近づいた敵を、魔法によって相手を内部から爆発させるという、中々エグい代物である。
今日は『東北地方太平洋沖地震』から6年。
テーレ テーテレ テレレレッ ッテッテテーレテーレレー(BGM)
新たな力を手に入れた初火は、『焼き肉』の仇、クソトカゲを倒しに、楽園の中央へと突入する。
強力な敵に苦戦する初火。
繰り返される強化。
そして、遂に千蝴が人化する!!
次回、『勇者の神器はスマホです?!』第5話
『決戦!! 第三楽園区画』
さーて、この次も~ サービスサー(ry
次回は短くなってしまうかと……