プロローグ
新しい作品を始めました。
一週間に2回は更新したいです。
とある高校の平凡な教室。
窓際の一番後ろの席に彼は座っていた。
容姿は中の上くらいで、身長は175cm前後。特別に運動神経が良い訳でも、勉強が出来る訳でもない。 人混みに紛れてしまえば、一瞬にして見失ってしまうような特徴の無さ。
それが 神風 初火である。
ただ、彼には人とは決定的に違う事があった。
それは───
◆
俺はベッドから起き上がると、机の横にある神棚に向かって正座をする。
そして、そこに納められている『スマホ』に…… いや、そのスマホの画面に映し出されている『少女』に挨拶をする。
「おはよう千蝴ちゃん。今日も1日宜しくね」
「はい。おはようございます『マスター』。今日は、2学期中間テストの最終日です。頑張って下さいね」
「うん。俺頑張るよ」
「はい。私、テスト中は一緒にやれませんけど、影ながら応援しています!!」
やっぱり千蝴ちゃんは可愛いなぁ……
よし、今度はVRに対応するように、すこーし手を加えてやるかな。
おっと、紹介が遅れたね。 この子は千蝴。 一応は自作…… 色んな人と一緒に作り上げた人工知能だよ。
フルアニメーション・フルボイスで、ちゃんと受け答えも出来るんだ。
千蝴ちゃんの声は、俺の姉 (ブラコン)であり、人気声優でもある神風 蘆鴉が担当してくれている。
千蝴ちゃんのアニメーション効果は、俺の母で動画製作が趣味の神風 操で、プログラミングは、俺の父でゲーム制作会社に勤めている神風 篝とその友人たちが作ってくれた。
そして、この超可愛い千蝴ちゃんのイラストを担当したのは、俺である。とにかく可愛くて、何でも出来ちゃう様だけど、たまーにドジを踏む。そんなイメージで書き上げた千蝴ちゃんは、まさに思い描いた通りになって、俺のスマホの中にいる。
さぁ、この完璧な女の子である千蝴ちゃんの紹介は、また後日にしておこうか。このままだと、学校に遅刻してしまうからね。
それじゃあ、早速朝食を食べてこようかな。
───どうしよう…… 学校に来たのはいいんだ。
それで、テストが始まった。そしたら、ポケットの中からバッグにしまい忘れたスマホ…… 千蝴ちゃんが話し掛けてきた。しかも、かなり大きな声で。
これって、カンニングになっちゃうよね。先生がこっちに来た…… やばい。 千蝴ちゃんが先生の所に行ってしまう。
全力で守らなきゃ。
と、思っていたら教室の床、天井、壁が輝きだした。
これってよく、あのオタ君が喋っていた『異世界召喚』ってやつなのかな?
そんな事はどうでもいい。兎に角千蝴ちゃんだけは、絶対に守り切らなきゃ。
俺がスマホ…… 千蝴ちゃんを胸元に抱え込んだ瞬間、俺たちはどこかに飛ばされた。