初ミッション「 BS部隊迎撃」
~オペレーションルーム~
緊急事態が発生したことで俺たちはオペレーションルームに急いで向かった。
そしてリーダーは俺たちが全員そろったことを確認すると……(俺たち6人以外にもメンバーはいるが彼らはまた後で紹介するとして)
「よし!みんな来たようだな。すまんな。もうすぐ夕食って時にいきなり呼び出して」
「いや!ぜんっぜん構わねーぜ!飯食う前に運動したほうがいいからな!」
「俺はそんなに腹減ってないし別に構わん………」
「ひと汗かいた後の夕食のほうがおいしいよ~。ね!アルマちゃん(笑)」
「それで、いったい何が起こったのです?」
3人組……というか、レオン以外の二人はワクワク(レオンは相変わらず眠そうな顔)している中でセシルは真面目な顔でジェームズに尋ねる。
「実はな、BSの連中がこちらの拠点に接近中だ」
「おいおい、またあいつらが来たのか?相変わらず元気な奴等だな!」
「お前ほど元気ではないと思うが……」
「それで敵戦力はどうなのです?」
「基本的にドローンとただの戦闘機だ。だが数が非常に多い」
「私が確認しただけでも30機程度確認しました」
「30……多いな……」
ちなみにこの世界の戦闘機とはただのジェット機だけでなく戦車などの兵器も含んでいる。エルクと比べると流石に戦闘能力は落ちるがコストが安い。しかし戦闘機といえども油断すると、一撃で致命傷を食らいかねない。AFがあればダメージをある程度無効化もしくは軽減できるが、数で攻められればある意味一番厄介な兵器であるともいえる。
ドローンも同様で、ヘリなどの航空機だけでなくすべての無人兵器のことを指す。ドローンの長所はもちろん人間がいらないところだが、まだ今のところ動きが単調だったり、ウイルスに弱かったりなどまだまだ課題があるようだ。
「あくまでも現状では30機だけだが、増援もありうる。セド、レオン、ソランジュの3名で出撃するが場合によってはセシルや天も出撃してもらうぞ」
「え?俺も出るんですか?シミュでもいまいちな成績なんですが……」
「天、お前は後方から支援狙撃すればいい。もしやばそうなら焦らず急いで撤退しろ。そしてその時は、セシルでも誰でもいいから援護してもらえ」
う~む、なるほど。セシルたちのアシスト役を俺がやればいいわけだな。今回が初出撃だから緊張する。
「もし不安だったら、常にAFを張っとけばいいぜ!」
「俺のマナが持たねーよ!」
いくら自分がヴァリアントで魔質が高くなっているとはいえ、常にAFなんて張っていたら5分も持たない。俺のマナが尽きるし……セドリックの奴めちゃくちゃなことを言うな!
「大丈夫だよ天。常にというわけにはいかないが、効率的にAFを展開できれば20分は戦える」
「要は戦い慣れろってことか?」
「そういうこと」
セシルは頷きながら肯定する。
「さ、あまり時間はない。もうすぐ連中がここにやってくる。そのときは盛大にもてなしてやれ」
「「「了解!!」」」
ジェームズの言葉に3人がそろって返事を返す。いつもバラバラみたいなやつらだけど、こういう時にはきれいに揃うんだな。オンオフの切り替えがすぐにできる人間って素晴らしいと思う。俺もこういう人間になれるかなぁ……
そしてついに戦闘が開始した。
3人組のエルクの動き方を見る。流石に上級者なだけあって動きに無駄がない。ただ単調な動きをするのではなく、所々で不規則な動き方で相手の攻撃をかわす。躱せる攻撃は全部躱し、直撃しそうな攻撃にはAFを展開する。俺がここまで動けるのにどれくらい時間がかかるんだろう……
「しかしなぜいきなりリーダーは俺を出撃させようとしたんだ?いくら後方支援といっても下手すれば足手まといになりかねないのに……」
「戦場の雰囲気を知ってもらうためさ。シミュと違って、作戦行動に失敗は許されないし、想定外な事態が発生する可能性もある。戦場では何が起こるかわからないからね。下手をすれば捕虜もしくは死ぬ場合もある。戦場に立たせることで今のうちに死ぬ覚悟を決めさせるんだ」
「なるほど、確かに相手も殺す気で攻めてくるわけだしな……」
殺気立った戦場。普段は殺気なんて向けられることはないからどれほど恐ろしいことかわからない。相手も必死。もしかしたら今日俺死ぬかもしれない。そう思うとますます——。
「力を抜いて」
セシルが俺の肩をポンと置き
「緊張感を持つことは大事だけど、緊張しすぎると体が反応しなくなるよ。大丈夫。俺たちを頼って!誰も殺させはしないから」
イケメンが笑顔で俺を励ます。そして俺は……
「チクショ~~~~~!!!」
俺は泣きながら走り出した。何処かに。
『ちょっと!せっかくセシル君が励ましてくれているのに!』
「アハハ……元気が出てよかったよ」
『あいつ!……ごめんねセシル君。あいつ後で調教するから!』
「いやいや大丈夫だって!」
『ちょっとセシル君!あいつを甘やかしちゃだめよ!』
「大丈夫!気にしない気にしない!」
『気にしなさい!』
なんか負けた気がした。いやもう負けているのか……くそ~なんだあのイケメン!相手が女だったら一撃KOだったぞ!!でもセシルのおかげで不安を取り除けたのは本当だ。あいつは心の中もイケメンなんだな……それに比べて俺は……。ま、後でお礼を言っておこう。
ピンポ~ン♪
「ん?」
携帯のラ〇ンがなった。(ちなみに偽地球でもラ〇ンのようなアプリがある。)
敵増援を確認!俺たちも出撃命令が下った。急いで出撃口に戻る。
「セシル!」
「行こう!」
俺たちは頷きあい、エルクに乗る。
「あれ?なんでイヴリーンもいんの?」
『私もあんたと一緒に出撃するよ!あんたは初心者なんだから私が見えないところをフォローしあげる!』
「それはありがたい!恩に着るぜイヴリーン!」
『ふふん!もっと褒めてもいいわよ!』
コックピット内には小さくなったイヴリーンがいた(精霊族は体を小さくできる)。
まだまだ心細い俺にとっては強力な助っ人だ!
機体のシステムを起動し、魔法盤の起動、各システムのオールグリーンを確認、ラジエーターの冷却機能、ジェネレータの出力も安定していることを確認し万全の状態で戦場に挑む。燃料残量100%確認。……ん?なんだこの0%表示は?だが、問題なくエルクを動かせそうだ。
『今回のミッションではブルースカイの敵増援を確認しています。ドローン30。戦闘機25です。さらなる増援の可能性も考えられますので、セシルさんはできる限りマナや残弾を節約してください。天さんは後方から援護射撃をお願いします。もしもう無理だと判断したら即撤退をしてください。その際セシルさんは彼の援護をお願いします』
ソフィアさんが作戦内容を伝える。
「「了解!!」」
さあ、俺の記念すべき初ミッションだ!