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現代神話のエルカヴァリア  作者: 白卯兎 健太
日本編
5/44

この世界の闇

~ホーパステリウム日本拠点~


「ふむ、君があの施設に異世界から召喚された吉川君か」

「あ、はい。吉川天です」

「私は、ジェームズ・ハーパー。この『ホーパステリウム』のリーダーをやっているものだ。よろしくな」

「あ、はい。よろしくお願いします」


 俺はホーパステリウム(略してホープ)の拠点についてセシルから客室に案内されてなぜかついてきたイヴリーンと一緒に待っていたところでかい男の人とセシルが客室に入ってきた。

 でかい。身長は多分2メートルを超すかどうかのレベルだろう。俺の身長は、ギリギリ170に届いてないのでちょっとだけ分けてくれないかなぁ。

 お互いに自己紹介をしたところで差し出された手を取って握手する。うわぁ、手もでかいな!


「セシルから事情は聴いた。ずいぶんとひどい目にあったようだな。私たちも、あの施設の内情を知らなかったとはいえ君に命の危険をさらしてしまったことをお詫びする。すまなかった」

「あ、いえいえ、大丈夫ですよ!確かにヒヤヒヤとはしましたが、あの地獄みたいな施設から脱出できて、こうして無事に、セシル君から助けていただいて。感謝しかありませんよ!」

「そうか、ではその感謝の言葉をありがたく受け取っておこう」


 実際に、あの地獄のような施設から脱出できただけでもありがたい。ところでほかの被験者の人はどうなったんだろう。


「あの、ほかの被験者の方はどうなのでしょうか。ご無事ですかね?」


 俺がそんなことを言うとジェームズさんやセシルは、苦々しい顔をした。まさか…


「一応機密情報を入手するために施設の被害をなるべく抑えることも今回のミッションに含んでいたんだがな……残念ながらどこかから来たのか、EUNの物と思われる飛行型が出現してな…よっぽど機密を俺たちに知られたくなかったんだろうな…そいつは施設従業員もろとも施設を破壊してしまった。……生存者はおそらく期待できないだろうな…。」

「あのカヴァリアは……アルファは相当な腕利きのようだった。4対1でも相当苦戦した。アルファはおそらく”ヴァリアント"だろう」

「ヴァリアント?」


また知らない単語が出てきた。いや、知ってはいるが、どういう意味で言ってるんだろう。

異世界だからこの世界で知らないことがいっぱいだ。


「ヴァリアント……。新世代の人間のことをそういうんだ。人類進化計画のね。もっと細かく分けると今のところ『ファースト』『セカンド』『サード』と呼ばれている。一般人とは違い、魔力や身体能力の上昇のほかにヴァリアント特有のアビリティが使えるのが特徴だ。そのアビリティが発動された場合、顔に魔印まじるしが現れ、オーラも出る」

「魔印?」

「そう、このようにね」


セシルの背中から赤い翼が2対4枚が出現した。すげえかっけーなぁ……と思っていると…

セシルの顔から(両頬から)赤い一本の線がそれぞれ浮かび上がった。光るタトゥーみたいにも見えるが、これが魔印なのか!さらに、セシルの体から水色の光があふれてくる。これがオーラか!眩しくはないな。これがヴァリアントかぁ。でもヴァリアントって確か変異体とか、異形とか……あまりいいイメージの名前じゃないんだけど……。


「魔印は人によって模様が変わる。中にはまっすぐだけだったり、蚊取り線香のような模様も出てくる人もいる。」


なるほどね。ちなみにセシルは3の数字のような魔印だ。右頬は、3の数字を反転している。おそらく左右の魔印はそれぞれ反転して現れるのだろう。


「EUNの連中は、この計画を秘密裏に行っている。私も昔はEUNの一員だった。だがこの組織が腐りきっているところで働くのは気分が悪くてな……セシルたちを救出しEUNから抜けた。俺は、このことを世間に広めようとしてEUNに反発する国などに情報を提供したが…やはりというかEUNの弾圧等を恐れ、みな消極的だった。」

「なぜ、EUNを恐れているんですか?何か切り札を隠しているんでしょうか?」

「それもある。超古代文明の遺跡や技術などは、奴らが独占して調査を行っているからな。一番の理由は、すべての国が軍事的戦力を持たないからだ。だからEUNには逆らえない」

「国に戦力は持ってないんですか。核とか」

「そうだ。すべての元凶であるブラッドフォード事務総長が急に各国は軍事的戦力の放棄もしくはEUNに全て譲渡することを決めてな…もちろん各国は猛反発したが、それに賛成していたエルメル帝国が反対国に宣戦布告……超古代の技術を使った兵器エルカヴァリアなどによってアメリカや中国、ロシアを圧倒した。それ以上に驚くべきは、核がエルメルのバリアによって完全に防がれたことか。それ以降各国はEUNに従わざるを得なくなった」

「核が効かない!?」

「さすがにこれは各国も驚いてな、核が効かないならエルメルに勝てる要素がないというわけだ。結局反対国はエルメルに降伏し、戦争は終結した」

『しかもあいつらはね、世界征服を企んでいるとか適当なことを言っているのよ!一般市民を巻き込んでね!あんなの、正義の戦争じゃなくて一方的な虐殺よ!クズよ!カスだわ!ほんと信じらんない!』

「そ…そんなに外道な奴らなのか!?」


ここまでひどいことをやってるような組織があるのか……想像以上だ…


「EUNやエルメルは各国の脅威がなくなると好き放題の政策を始めた。大勢の人が重税に苦しみ、大勢の餓死者を出し、さらにEUNに不満を持つ者がいれば、容赦なく粛清される。EUNとエルメルの暴挙を許すわけにはいかない。そこで私たちはBSブルースカイを立ち上げた。青空は俺たちの世界では平和のシンボル。平和を取り戻す、全人類が理不尽に殺されないためにはやはりEUNの上層部を駆逐せねばならなかった。ところが、私とBSのリーダーである彼との考えが合わなくてな。その男の名前はヘンリー・ディクソンと言ってな、彼のやり方もEUNとほとんど変わらない。人質や市民を平気で見殺したり巻き込んだりする男だ。彼の考えはわからないでもないが、結局私たちは彼らのやり方に反発しBSからホーパステリウムを組織・分離して今に至るわけだ」

「いろいろな事情があるんですね…」

「君は異世界人で戸籍はないし生きていくにはあまりにも不便だ。もしかしたら秘密警察に捕まるかもしれない。そして君は、ヴァリアントの可能性がある。EUN以外にも君を狙う連中が現れるだろう。そこで私たちは勝手に君を保護することにした。多少不自由なところもあるだろうが許してくれ」


 秘密警察なんてものもあるのか……そりゃ、俺ではこの世界に生き残れる気がしないな。ここは彼らの言うことを聞いたほうが賢明だろう。断る理由もないし、この世界のことも知らないしな。それに俺にもヴァリアントの可能性か……どうやら俺はこの世界で平穏に暮らせないようだ。


「わかりました。こちらこそよろしくお願いします。」


 こうして俺もホーパステリウムの一員となった。





*********









~イヴペディア~

*ホーパステリウム・・・私たちが所属する組織。ホープとも略す。BSから分離した、どこにも属さない第三勢力。今は小さい組織。


*EUN・・・地球国際連合。地国連ともいう。世界の警察というべき存在だったが、裏では非人道的なことを行っている。一部のBSからはEUナチスとか呼んでいる。まあ、やってることは似ている。


*BS・・・ブルースカイ。青空は平和の象徴。だがヘンリーのせいで、一般市民も無駄に犠牲者を出している。


*エルメル帝国・・・すべての元凶。ひと昔前はエルメル国。核すら効かない強力のバリアが張られており、各国を驚かせた。現在はアメリカに代わってエルメルが世界の中心国家になる。ちなみに長い名前(人名含む)を省略するときは最後はう段になる。


*人類進化計画・・・とある真神器から得た情報をもとに、人類を進化し、世界を第2ステージに移行しようという計画。その計画や目的には所々不透明な部分がある。この計画による実験で、何万人もの犠牲者を出しながら、不完全ながらヴァリアントを生み出すことに成功した。


*ヴァリアント・・・人類進化計画によって生み出された新人類。ファースト、セカンド、サードといわれるステージがいる。一般人と比べ、身体能力や頭脳などをハイレベルに高めることができるほか、アビリティが発動するとオーラが発生し、顔の両頬にタトゥーのような魔印が浮かび上がる。一方で、副作用と呼ばれるものもあるが、兵士の生きている間は副作用が起こる確率は低い。ピッチャーが肩やひじを壊す確率と同じようなものか?ちなみに被験体の人間は、通常の人間とはかけ離れた能力を持っており、一人でもすぐに何十人も殺せるため、人ならざるものという意味で異形と言われている……らしい。つまり、世間から人間扱いされない。

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