森の少女さん
地上に出たら巨大な人型ロボットが、戦闘を行っていた。
あれって兵器だよな?なんか自分の世界のロボットアニメに登場しそうな兵器だ。
でも、それと比べると実物を見たわけではないが、小さいと思う。5~6メートルくらい?
人型兵器が4機いる。マシンガンやミサイルなどを撃ち、次々とヘリや、…なんだこれ?蜘蛛みたいな4本脚の兵器を次々と圧倒していく…
「す…すごい……」
これって戦争をやっているのか…ファンタジーみたいな人と人同士が戦っていたり、ドラゴンが火を噴いたり、魔法の撃ち合いなどをするようなものではなくて、なんか近未来で起きそうな戦争だ…
お…恐ろしい世界に転移したんだな俺……チートとかもなかったし俺死ぬのかも…
つーかここにいると巻き込まれそう、早くここから逃げたほうがよさそうだ。
俺がしばらく逃げていると人型兵器がこちらにやってきて…
《君、そこで止まるんだ!》
呼び止められた。銃口をこちらに向けられた俺は、反射的に手を挙げた。
え……ヤバイヤバイ!?俺ここで死ぬの!?
「あの……俺怪しい者じゃ」
『君は……EUNの者ではないな。なぜこのようなところに?…と、今は早く安全な所へ』
俺の頭の中に脱出ルートが浮かんだ。まただ。
『君に情報を送り込んだ。さあ、巻き込まれる前に早く!』
EUN?なにそれ??俺を元の世界から呼んだ組織なのかな?この人からは不思議と殺意を感じない。
早くと言われ、森の中へ急いで逃げる。
しばらくルートに従って走り、目的地に着くと……。
森から抜けて湖のある場所に出た。
「の……喉乾いた…」
喉がカラッカラだ。昼食を最後に水分補給をしていない。
この湖飲めるかな?水はとてもきれいで、魚が泳いでいるのが見える。
チョンチョン
誰かに肩をたたかれ、後ろを振り向くと……。
『水分を取りたいの?いい場所を教えてあげる!』
急に耳元で大声で言われ
「うわっ!びっくりした…なんだ、ただの幼女か…」
『失礼ね!誰が幼女よ!こう見えても私は8年も生きてるのよ!』
「8年!?8歳ってことだよね…幼女じゃねーか!」
『だから幼女じゃなーい!』
「わかったから大声で叫ばないでくれ…」
この幼女……もとい少女は幼女と呼ばれるのが気に食わないらしい…
少女は緑色の髪の毛をしており、目は青い。
今はのどが渇いているし、とりあえず幼女…もとい少女についていき、森の中へ入る。……これって第3者から見られたらロリコンと勘違いされたり通報されたりするよな……
「なあ、お前って親はいないの?」
『私はお前じゃない!イヴリーンて名前があるの!』
くるっと振り返り、大声で怒鳴られた。うるさい!
「ごめんごめん。というか、自己紹介してなかったな…俺の名前は吉川天。よろしくなイヴリーン」
『天…いい名前じゃない!!』
「お前って元気だよな――」
『だ~か~ら~!オ・マ・エ…じゃなーい!』
「ごめんごめん。イヴリーンて元気だよな」
いちいちうるさい奴だ……まあ…かわいいから許すけど……。
『いいじゃない!元気で!』
「まあ、そうだなぁ……てよく見たら足が浮いてる…ゆ…幽霊!?」
『いちいち失礼なやつね!そんなんだから彼女を作れないのよ!この万年童貞が!!私は幽霊じゃなーい!』
「いやお前俺のこt」
『私はお前じゃないって!!!』
いちいち気にしすぎだろ……。
「いやイヴリーン!俺のこと知らねーだろ!誰が万年童貞だ!……まあ童貞なのと彼女いないのは否定しないけど(泣)」
最後の一言はボソッとイヴリーンには聞こえないようにつぶやいた。事実ではあるけど……そこまで言わなくていいじゃん(泣)
▶吉川天に精神的59ダメージ!
『なんで私たちのこと知らないのよ。常識でしょ!あんたの脳みそは飾りなの!?』
「いやいや、お前……イヴリーンも失礼なこと言ってんじゃん……」
お前って言おうとしたら睨まれた。お前って言われるのが相当気にくわないらしい。
「実は俺、異世界から来たんだ…信じる?」
『異世界…あんたまさか……ごめんなさい。失礼なことを言ったわね。ほんとごめんなさい!』
「いやいいって……てか信じるんだな」
『あなたEUNからなにかひどいことされなかった?』
「EUN?」
『地球国際連合という組織。略してEUNだとか地国連。裏でいろいろやばいことをやっているらしいわよ…」
「あの組織のことか…まともそうな名前のわりに悪の組織っぽいんだけど…まあ、体をいじられたというか」
『この世界のこと、どれくらい知っているの?』
「俺……この世界のことは何も知らないんだ…来たばっかりで」
『そう…ほら、着いたわよ!はいどうぞ』
意外と近いな。湖から歩いて約5分。木にたわわと実っているのは桃だ。
俺は渡された桃を一口。
「う…うまい!」
『喉乾いたからよりおいしいでしょう?』
彼女もそう言いながら微笑んで一口食べる。桃ってこんなにおいしかったんだな!感動した!!
『私はね、精霊族なの――』
「あ、さっきの人型兵器だ!戻ったほうがいいよな、うん!」
俺は急いで湖に戻る。イヴリーンも俺についていく。
イヴリーンは不満げな顔をしているが、俺はそれに気づくことはなかった。