奴隷商人
俺は昼食を簡単に取って、ギルドのおじさんに聞いたこの辺りで一番大きな奴隷商の店にやってきた。
「ギルドの紹介で来たんだが」
「すこしお待ちください」
いそいそと小太りのおやじがやってきた。
「ギルドのご紹介とか、今日はどのようなご用件で」
「とりあえず読み書きそろばん、教養の高い元執事の奴隷っていますか。
大工とか商人とか料理人でも冒険者でも何でもかまいません。
教養の高い奴隷を見せてもらって検討したいですね」
「年齢、性別はどうします」
「男女は均等に買う予定だけど、年齢は気にしていない」
「少々お待ちを。該当する奴隷を連れて来ます、
2人ですね」
「ここ以外にも奴隷商はあるそうですね。今後全て回る予定です。
最終的には10人は買いたいな」
小太りのおやじは少し驚いたが、すぐに商売人らしい笑みを浮かべて
回りの人間に指示を出していた
「マスター、やるとなったら、一気に行きますね」
耳の中で声がする。
「お客様、10分ほどで準備ができます。それまで少しお話を伺っても」
「構わない」
「冒険者以外の奴隷を、それも10名も検討するお客様ってめったにないんですよ。
どうしてかって聞いてもいいですか」
「冒険者の奴隷を大量に購入したいからだね」
「本日は冒険者ではないようですが」
「冒険者の奴隷はギルドとの交渉しだいで人数がかわるかもしれない。
今日は冒険者支援の人員だな」
「そうですか」
ドアが開いて、20名の奴隷が整列し、奴隷商が説明を開始した。
……
内訳は執事が4名、大工が4名、商人が4名、料理人が8名で、全員5年奴隷だ。
さっさと奴隷を下がらせてから商談に入る。
「大体の値段を教えてほしい」
「彼らは借金奴隷です。5年間ですので、お買い得です。
金貨10枚から40枚ですね」
「随分、差があるんだな」
「はい、年齢の高い人は安い、若い女性は特に高い。
まあ人気ですから」
「50歳以上は執事2名と大工2名、商人が1名だったかな。いくらですか」
「本気ですか、不人気商品ですよ。金貨50枚です」
なんて失礼な、俺は……
止めておこう。
「それと30代の女性から料理人2人と商人2人で」
「全員30代ですので、金貨80枚です」
「合計金貨130枚だね、それでお願いがあるんだけど」
クレアが金貨130枚を払う。
「はい」
「まずは水浴びさせて、できるだけきれいな服を着せてほしい。
それから彼らと一緒にしばらく泊まらないといけないんだけど
宿を紹介してくれない。とりあえずツインで5部屋」
「ありがとうございます。もちろんそのくらいはサービスさせて
いただきます」
「彼らが来るまでここで待たせてもらっていいですか」
「もちろんです」