デーモ君計画を練る
僕は小学校初日から一週間も休んでいる。
その理由は僕の夢だった人間と仲良くなりたいという願いがありえないといわれたのだ。
でもありえないといわれたからといって諦めることはできなかった
だって本の中ではあんなにもかっこよくて、堂々としていて、慈愛の心があったんだから。
そこでふと思い出した。たしか森の中の生き物の中に元人間といっていた魔法使いがいたはずだ。
たしか名前は…そう、マイラさんだ。
彼にはたびたび相談にのってもらっていた。人間のことを聞いたときはなにかトラウマがあるのか答えてくれなかったが、もしかしたら解決策を教えてくれるかもしれない。
森の奥の小さな小屋にすんでいる彼の元に早速向かうことにした。
「マイラさーん、いますか?」
「おるよ、どうしたねデー君?ここに来るのは久しぶりだね」
「マイラさん、今回どうしても相談にのってほしいことがあります」
「ほう、なにかね?私にできることならなんでも聞くよ?」
「実は…僕人間と仲良くなりたいんですよ。でも人間は魔族の敵でそんな人間と仲良くなるのはありえないって先生に言われてしまいました…」
「な、なるほど…確かに難しい問題じゃな。私も人間関係は得意ではないのじゃが…そうじゃのう、ではこうしてみるのはどうじゃ?」
こうしてマイラさんは僕の相談にのってくれた。
彼の作戦はこうだ。
まず人間世界に溶け込むためにはデーモの体はあまりに巨大すぎる。
小学生の今でも身長180cmある。恐らくまだ成長はとまらず最終的には3mを超えると予想できる。
そのために人間社会で溶け込むためには変化の術が必須になってくる。
なので小学、中学は変化の呪文を練習し続けどんなことが起ころうと絶対に変化が解けないように訓練する。
まず必要な魔力変化の術。それ自体は魔力消費は多くはないが人間社会に溶け込むとなると長時間の変化が必要になってくる。
そうなると魔力は多ければ多いほど人間に魔族だとばれる可能性が少なくなる。
「あと、必要なものは人間社会の常識かのぉ…これは私が教えることにしよう」
自信はないがのぉ…
小さく聞こえた気がしたけど僕は人間社会の常識は詳しくないのでそこはマイラさんを信じるしかない。
「ありがとう。マイラさん!僕頑張って魔力を増やすよ!」
「よい。じゃが学校ではそのことをいうんじゃないぞ。卒業まで心に留めておくんじゃ。人間社会にいく高校までおとなしくしておくんじゃぞ」
再度お礼をした後僕はその場をさった。
僕は次の日から学校に行った。
先生にはもう一度将来の夢を聞かれたがその時は棒読みで人間をすべて捕らえますと苦しいごまかしでのりきった。
それからデーモにはつらい日々が始まった。
魔力を鍛える授業は真剣に受けた。これはよかった。人間社会に溶け込むためと考えたら苦ではなかった。
マイラさんに人間社会の常識を学び、毎日なんども復習して頭に叩き込んだ。
両親には正直に話した。
「あ~ん、パパ!デー君がついに独り立ちしようとしてるわ~」
「ママ!僕達はデー君を応援してあげよう!」
「パパ!」「ママ」
二人の世界にいってしまった。
きつかったのは人間を罠にはめる技術だの、人質はどんな人物が適切かなど頭が痛くなるような内容ばかりだったことだ。
でも耐えた。すべては人間と仲良くなるために。
30歳になった。
変化の術はもう完璧にマスターしたし、人間社会の常識はマイラさんに教えてもらったことをすべて覚えた。
できることはすべてやった。後は数日後の入学式を待つだけだ。
できる。僕ならできる。
そう信じてここまできた。
待ってて人間達、絶対仲良くなろう!
デーモ 30歳 身長350cm 体重300kg
人間社会を目前に再度決意を固める